見出し画像

ティール組織で考えるブランディング

ティール組織という概念が、どこまで多くの人に知られ、理解されているのでしょうか?
ティール組織は、フレデリック・ラルーさんの本で、日本では2018年に発売されるや10万部を突破したベストセラーなので、大手企業の人事、人材、組織開発、マネジメントに近い方々や最新のビジネスの情報に触れる機会がある方々ならそこそこご存じだったり、少なくとも「ティール組織」とか「ティール」という言葉は聞いたことがあるのかなと思います。
ただ、僕が中心的なお客さんとしている小さな会社の経営社さんの世界では、ティール組織?何それ?という方も実はとても多く、知られていないのが現状です。

なので、ティール組織について、どこからお話ししたらいいか迷うのですが、ティール組織については、僕なりの理解や気づき、考え方について、また機会を見てまとめるとして、今回は、ティール組織というラルーさんのアイデアとティールに向かういくつかの段階において、ブランディングがどう機能するかというのは、とても興味深いので、そのあたりを考えてみたいと思います。
なぜなら、今という時代は、誰もがもうわかっているように、大激変の時代で、何もかもがひっくり返るようなハンパない大変な時代段階に突入してきたなと思います。
もう使い古された言葉ですが、時代はこれまで体験したことが無かったような未体験ゾーンの中を進んでいるようで。。。いったいどこに向かっているのだろうと言う感じです。この大激変は、AIやロボットを始め、シンギュラリティとか今後、10年はまだまだ変化は続くのでしょう。。。



経営トップの意識の在り方で、組織の発達段階が決まる

世界は大きな変革のうねりの中にいますが、小さな会社は、そのうねりの中で、ある意味で、そのうねりの中の小さな波、さざ波だとしたら、時代の大きなうねりに関係なく商売はできるし、あまり影響を受けにくいとも言えます。しかし、うねりは大きく動いているので、その影響を受けないわけにはいきません。
大きなうねりに翻弄されるのは、大きなビジネスをしている会社とも言えますが、そうした会社は大型の貨物船のように、大きな嵐のうねりの中でも進めるように創られているのが基本で、また、耐えられるように操縦していかなければいけません。

さて、ティール組織というのは、ざっくり言うと、組織の発達段階があって、ラルーさんのアイデアでは、5つの組織モデルの分けられ、組織が進化していくというようなニュアンスで表現されています。
これは、組織が進化するというよりも、会社がどのような方向、世界を目指しているかによって、そこに集まってくる人がどのような人材、人なのか、そして、そんな人々が創る組織だから、そのようになっていくと言うのが僕の見立てです。
では、その会社の方向性を決めるのは誰かと言えば、経営者であり、大きな組織だと経営陣と言うことになります。

つまり、経営トップの意識の発達段階が、この5つの組織モデルで表される段階のどれかによって、組織、組織風土、組織の発達段階が決まると言ってもいいでしょう。
組織のTOPの意識状態=意識レベルと言い切ってもいいかもしれません。それによって、組織が決まってくる。経営者の発達段階以上の組織にはなり得ず、経営TOPの意識が変わる。また、進化しないと、組織は変わりようがないと言うことです。

今話題のビッグモーターの問題は、まさに、この経営者、経営陣の問題であり、彼らが生んだ組織風土がそのまま問題を起こしてきたと言えるでしょう。

では、ティール組織の5つの組織モデルについて見てみましょう。

この5つの組織モデルについて、ここで詳細に解説していると、この組織モデルとブランディングについて語れなくなるので、敢えて詳しくは説明しませんが、ここにまとめているように、それぞれの組織の形態というか、性質があります。組織風土と言ってもいいでしょう。

あなたの会社は、どんな組織だと思いますか?
小さな会社で、社員数が数人だとしても、2人以上いたら組織なので、もしくは、経営者が全てだとしたら、経営者としてのあなたは、この5つのうちのどのタイプでしょうか?


ティール組織のアイデアの源泉

実は、このティール組織の5つの組織モデルは、そのベースになっているものがあります。それは、ケン・ウィルバーインテグラル理論であり、さらにその元となるクレア・W・グレイブス8つの意識レベルです。
これについては、僕の会社のブログに書いているので、こちらをお読みいただけたらと思います。

この大元となるグレイブスが考えた、人間(人類)の意識の進化発達段階は、10万年前の生きるためだけに生きていた人類が、5万年前、1万円前、5千年前と意識的な覚醒、進化があって、その段階毎に獲得した意識段階、世界観、世界の捉え方が成長、拡大していきます。
自分が見たり体験することに反応するだけの狭い世界観から、自分を外から見る←客観視できる意識段階、もっと大きな観点で物事を捉えたり、世界の中での自分自身を見つめられるようになる段階、そして、宇宙的視野で自分や世界を捉えていく。。。映画2001年宇宙の旅も同様のことが描かれています。

この図を見て驚くべきは、現在は、まだオレンジが多数派を占めているようですが、グリーン型の会社も比率を高めていて、今後はグリーンな会社でないと存在しにくくなってくると思われます。
さらには、ティールに向かっていくわけですが、過去10万年前から見ると、この百年くらいでで急激に進化してきているわけです。人口の20%がひとつの意識段階に達する急激にその意識段階が拡がって行くそうです。
2030年〜シンギュラリティと言われる2045年には、最終的に、この矢印がほぼ垂直になっていくことを考えると、ティールしか生き残れない、そして、ティールを超えていく世界になっていくと考えられますが、その時、僕たちの世界はどんな世界になるのでしょうか?

ティール組織の5つの組織モデルでは、いま現在、この時代においても、それぞれの発達段階での意識レベルの人々、人類が存在していて、例えば経営なら、経営者の価値観や意識段階によって、それぞれの組織形態を創っていく、もしくは、経営者自身がそうした価値観で生きていると言うことが言えるでしょう。

例えば、未だ多いのが、オレンジ型の組織達成型の組織です。この組織は、経営者が実現したいビジョンがあって、目標設定し、その目標を達成するために行動します。
会社を大きくしたい。成長させたい。収益を上げたい。業界No.1になりたい。そんな目標を持つ組織は、オレンジです。
オレンジの組織は、目標を共有して、その実現に向かうので、その目標が組織の思いひとつになれば、組織に所属することに違和感や不満は無いと思うし、皆でそれを達成しようというのは、喜びに繋がって行くのでしょう。

アンバー型の組織は、順応型と言われ、軍隊や警察のような組織で、トップダウンの階層構造を持つので、上の決定事項や命令を実現していくために組織が階層的に構成されていて、上下関係や規律で秩序が保たれています。上の言うことは絶対です。

レッド型の組織は、衝動型と言われ、独裁者のような一人の圧倒的な力を持つ者が支配者となって君臨するような世界、組織です。こういう組織は、組織を力と精神的な恐怖感で支配します。

例のビッグモーターは、アンバー型の組織で、話題の元副社長はレッドだったんだろうと思います。
なぜ、経営者の意識段階が、このようなレベルになるのかについては、いろいろとお話ししたいのですが、それもまたどこかで語りたいところです。
それはまさに、ケン・ウィルバーの意識の進化、発達を理解するとわかりやすく、また、発達心理学やアドラー心理学なども参考になるでしょう。

こうした意識段階でのブランディングを考えるに(ようやくブランディングの話が出てきた!笑)、レッドの組織は、力による支配であり、経営者のやりたい放題。自分の価値観を押しつけ、自分が表現したいように好き勝手に表現します。
お客さんのクレームも受け付けなければ、気に入らなければ客と認めないし、塩を撒いて追い返すかもしれません。自分が欲しいものを得るためには手段を選ばず「お前のものは俺のもの」(どっかで聞いたことあるぞ)自分という存在を崇めさせる。

いかに自分に注目を集めるか、派手な見た目で、威厳があって、俺を、私を見ろ〜と言うような強烈な印象を与えます。ブランディングと言うよりも、そのと下々の上に立つ存在誇示するような演出と言った方がいいでしょう。
近年でも、成熟していない国で、こうした独裁者が現れることでイメージできるかと思います。(政治的には奥深い裏の背景があるので、一言では言えませんが)
簡単に言えば「ジャイアンブランディング」でしょうか・・・まあ、ジャイアンも可愛いところがあるので、ジャイアンには悪いかもしれません。

オレンジ型の組織は、そういう意味では、目標達成のために、より民主的で、組織の構成員には、協力してもらわないといけないし、意欲的であってもらわないと目標を達成することはできません。
そのために、経営者は組織の人々への心配りやどう組織のモチベーションを高めていくのか、また、何よりもどこへ向かっているのかビジョンとゴールを明確に示し、その目的や価値観についてしっかり共有して、どういう状態だったらいいのか、具体的な数値確認できる指標として、KPIを設定したり、PDCAを回しながら改善するなど、はい、まさに今、もっとも多くの会社がそこにいて、ブランディングもインナーブランディングとして、もっともニーズがあるのがここなのでしょうか?
ブランディングの目的は、目標を達成するためにあって、インナーブランディングにおいては、経営コンセプトを共有し、浸透していく、企業風土や文化を創っていくためにあると言ってもいいでしょう。


進化するグリーン型組織にブランディングは必要ない?

さて、5つの組織では、ティールと言う進化型に行く前に、グリーン型の組織があります。多元型とされていますが、言葉だけ聞くと意味がわからないですね。
このグリーンの組織は、組織メンバーが主体的に行動できる組織と言うことで、ボトムアップ式で意思決定が行われることが特徴だそうです。
メンバーがそれぞれ自由に行動したり、表現していくことが認められますが、もちろんそれは、組織がベストな状態で機能していくことが前提で、皆が好き勝手やっていくだけなら、カオスになるだけです。

グリーンの組織は、オレンジの進化形なので、組織の皆が会社のビジョンやゴールを共有していることは当然です。
そして、最終的な決定権は、マネジメント側にあります。つまり、経営TOPと言うわけです。その決定権は、当然責任を伴うので、経営責任は経営者です。
このグリーン組織のブランディングは、外から見ると、つまり、お客さんやその存在を知る人から見ると、社会的に存在が美しいというか、そこで働く人々の尊厳を大切にして、働き方が自由で、互いに尊重し合って、いい組織いい会社を共に創造していこう。そして、社会や環境への配慮も忘れずに、思いやりを持って世界を創っていこうと言うような、あったらそんな会社で働いてみたいなとか、仲間になりたいなと思う人も多いだろうし。そんな会社にできたらいいなと思う経営者の方も多いでしょう。

職場の心理的安全性のことが、最近よく言われますが、こういうグリーンな組織風土なら、そういうことも丁寧に配慮されていると思うし、働く人同士がそこへの意識が高いはずなので、こういう会社で働ける人はラッキーでしょう。ただ、会社として、利益の追求よりも、どういう存在であるか=Beingを追求していると思うので、会社の収益は健全に充分得る構造を持っているでしょうが、社員は、その利益について組織のバランスの中での配当を理解し、生活やお金のために働くのではなく、自分の生き方とマッチして、自分らしく生きることができる道のひとつの選択として、このような組織、場所を選ぶことでしょう。
ブランディングとして見ると、グリーンな組織であること、そこを目指して活動すること自体がブランディングでもあります。
ブランディングとして、特に積極的に活動する必要もなく、水道の蛇口をひねれば水が出てくるように、ただやるべきことをやる
丁寧に活動を表現していくことで、多くの人から、また、社会的に共感を得られる会社になると思うので、その存在自体がブランドになり得るはずです。


指揮者不在で、最高の音楽を奏でるオーケストラ

さて、人類、そして、組織はここを目指し、超えていく。。。
ティール→進化型。この組織は、ある意味で、組織の中心がありません。つまり、リーダー不在で組織が自動的、自発的に活動するという究極の組織になります。

例えば、僕たちの身体は、細胞によって形作られていますが、それぞれの細胞は、同じDNAを持っていますが、身体のどの部位を構成するかによって、その細胞の機能は変わります。そして、細胞たちは脳の命令を聞いているわけではなく、互いに連絡を取り合って、必要なものを供給したり、やり取りしていることがわかっています。(←かなり雑に話していますが)
ここでお伝えしたいのは、それぞれが誰かの命令やリーダーがここに行こうとビジョンを掲げ、ゴールを目指して一致団結して行動するのではなく、組織としてのテーマが見出され、それを実現するために、そこで働く人々は自身の喜びの中に、その仕事、活動を行う。自分が組織の中で何をすべきかを考えて、自発的に必要なことを行っていくというものです。

現実はどうかわかりませんが、比喩的に聞いていただきたいのですが、例えば、バルセロナにあるアントニオ・ガウディが設計したサグラダ・ファミリア教会は、多くの方がご存じの通り、いまだ建築中です。
サグラダ・ファミリアは1882年に着工し、100年以上の歳月をかけて、2026年の完成を目指して工事が進められています。
この工事に関わる人々は、もちろん仕事として請け負っているだけの人もいるかもしれませんが、ここで働く多くの人は、サグラダ・ファミリアの建築に関われることを誇りに思っていることでしょう。
そして、彼らの中には、サグラダ・ファミリアの完成図が頭の中に、心の中に描かれていて、サグラダ・ファミリアの完成を夢見て、日々、今日の仕事に取り組んでいる事と思います。

以前、とある番組で、オオスズメバチの巣作りのドキュメンタリーを見ました。女王蜂1匹から巣作りを始めて、どんどん卵を産んで増えていき、蜂たちが増えるに従って、当然巣も大きくなっていくわけですが、蜂たちはそれぞれに役割を持っていて、誰がその役割を任命したわけではないのに、それぞれがそれぞれに機能的に活動していきます。
DNAの中に、ブループリントがあって、周りの環境、状況によって、自動的にスイッチでも入るのでしょうか?
そういう意味で、リーダーは個々の中に存在し、報酬のためにではなく、それは結果的に得るものであり、大きな意思のために貢献することを喜びとして、仕事をするのでしょう。
自己組織化とは、そのような感じで、皆が何か見えないものを共有しているかのごとく、活動するのです。

ティール組織はそのように、リーダー不在で形作られる組織指揮者不在で、最高の演奏ができるオーケストラです。

こう考えると、経営者の意識の発達段階が組織モデルを決めると考えた時に、ティールは、そもそも経営トップがいない組織ということは、誰が会社を創ったの?って事になりますが、それはいろんな発生形態があって、また、ティールを深掘る時に、語りたいですが、ここでは経営者が、経営を手放すと考える。その領域と言うことですね。


ティール組織はブランディングを超える

そこで、ティール組織のブランディングを考えるとき、ブランディングの定義にもよるのですが、これはもう、ブランディングを超えていて、わざわざブランディングを持ち出すレベルでは無いような気がします。

ティール組織の活動は、それ自体が受容、理解、愛、コンパッションレベルじゃないと運用できない組織なので、そんな組織の活動は、何もしなくてもただそれだけで共感を得る
ティール組織は、注目されること、評価されることへの意識がないか、希薄なので←目的は、自分たちが自律的に実現しようとする拡張された意識の世界と考えられるので、社会的に評価されるとかされないとかを超えて活動し、それが世界や宇宙に貢献している、してしまう。そんな組織だと思うのです。
なので、場合によっては、多くの人の目に触れないところで、人知れず活動している組織で、一部の人には知られている。どういうことをやっているのかよくわからなかったり、透明で主張が限りなく低く、ティールの意識レベルにならないと、彼らが何のためにそれをやり続けているのか?活動しているのかの意義や目的はわからないかもしれないのです。
ティールの段階は、非常に深く高次で、今の世の中で、本質的なティール組織というのは、もどきは多々あれど、なかなか目にすることはできないのかなと思います。

なので、今回、まとめながら考察してみて、ブランディングが必要な組織段階は、オレンジからグリーンへと向かうプロセスの中にある会社にとって、ブランディングが最も機能すると、僕的には感じました。

小さな会社は、社員数が少ないので、皆の意識が進化、拡張できれば、グリーン組織へと進化可能でしょうし、個人事業主さんであれば、自分自身の自己変容と意識的拡張、進化が得られるなら、グリーンからティール的な意識へのアクセスも可能になるのかと思います。
ティール組織へ向かうことでブランディングを超えていくか、ブランディングを活用して行きながら、組織的な意識的成長、進化を目指すのか・・・
まずは、自分自身の意識段階を確認してみたいですね。。。


ブランディングやマーケティングの初回無料相談もやっています。
お気軽にご相談くださいね。

お問合せ、ご相談はこちらから


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?