スプリームスとキャンディーズ~「ドリームガールズ」
日本人は”3”が好き。
三傑とか、三大○○とか、、。そして三人組も。
二人だとバランスが崩れやすい。四人だとあぶれ者が出てしまう。だけど三人だとちょうどいい。
そんな三人組にまつわる映画。2006年公開「ドリームガールズ」。
ブロードウェイミュージカルとしては、1981年から公演しているようだ。ジャージーボーイズもそうだったが、アメリカはまだ関係者が生存している中でも、このようなゴシップを作品にしたててしまうところに、懐の深さを感じる。決していいことばかりでもないのに。
ストーリーは、さほど起伏はない。
「人気グループの光と影」的なものを愛憎交えて描いている、実にスタンダードなものだ。ある意味で安心して観られる内容でもある。この点は、長くミュージカルで人気を博してきたところに由来するのだろう。一方でミュージカル映画としての見どころである歌は、とても引き込まれるものがあった。
特に感じたのは、人種のるつぼたるアメリカが、いかにしてその多様性を受け入れようとしてきたかという苦しみである。
この映画では黒人と白人の対立が隠れた主題となっているが、実際はもっとずっと多くのコミュニティに分かれている。それを内包しつつさらに成長し続けていく克己心がアメリカの強さの源泉なのだと思う。
そう思うと、いつまでも「単一民族」であることを誇りのようにしがみついていることは、とてもせせこましく感じてしまうのだ。
さて、このドリームガールズは、スプリームスが題材。
恥ずかしながら、スプリームスについてはそれほど詳しくない。存在を認識したのもそう昔のことではなかったと思う。それもオリジナルからではなく、キャンディーズのカバー動画からだった。
この中で歌われている、stop! in the name of love がとても印象に残っていた。映像こそ古くはあるが、歌もキャンディーズ自身も洗練されている。
ドリームガールズでは、ジェニファー・ハドソンが助演女優賞を受賞しているのだが、彼女が演じたエフィがまさに主役級の存在感を放っている。素人からデビューまもなくまでは、このエフィがリードボーカルをとっていたのだが、その奔放な言動のためディーナと交替させられてしまう。こういうことは、アイドルグループには珍しくはないのかもしれない。その珍しくはない、そして最も成功したグループの一つがキャンディーズだろう。
キャンディーズは、伊藤蘭がセンターでリードボーカルを取っている印象が強いが、デビュー時は田中好子がセンターを務めていた。
これがデビュー曲の「あなたに夢中」
伊藤蘭がセンターになったのは、5曲目の「年下の男の子」からである。どうも、ファン層を拡大させるため、他の二人に比べて年上感のある蘭をセンターに据えることにしたとか。
以降は、彼女がほとんどセンターを務めることになるのだが、結果としてはこれがよかったのだろう。
ちなみにこれは「わな」という曲で、唯一藤村美樹がセンターを務めた曲だ。
ドリームガールズではエフィからディーナへの交替について、一大事件のように取り上げているが、果たしてキャンディーズではどうだったのだろうか。
ところで、多くのメンバーを擁する米米クラブには、シュークリームシュという女性バックダンサーグループがいる。最初に聞いたとき、その意味がわからなかったのだが、スプリームスを知ってこのナゾも解けたのは、ここだけの話。
シュークリームシュ「浮気なヴィーナス」
今回は何が言いたかったのか、とっ散らかった形となってしまったが、バブル感満載の映像と歌で、締めくくることとする。
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