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美術せんにんの記録

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#山種美術館

言われてみればセザンヌらしさも~山種美術館「奥村土牛」

言われてみればセザンヌらしさも~山種美術館「奥村土牛」



山種美術館ファンであれば誰もがその作品を目にしたことのある奥村土牛。
今回彼の個展であったが、改めてみるととても新鮮な発見があった。

彼は若いころ当時の師匠に買い与えられたセザンヌの画集を見て、強く影響を受けたという。
そう言われてみると、特に若いころの作品に色濃く表れているように見えた。

「雨趣」(1928年・39歳)
建物と緑とが、とても堅牢に画面を構築している。雨を主題としていること

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玉堂の作り出した原風景~山種美術館「川合玉堂」

玉堂の作り出した原風景~山種美術館「川合玉堂」



川合玉堂のまなざしは優しい。
このように言われることが多い。その作品も、曰く日本の原風景、曰く失われたニッポン等。
しかし、日本の原風景とはこのように穏やかなものなのだろうか。

たとえばこちら「早乙女」という作品。
ちょうど今くらいの時期だろうか。乙女たちが田植えに励んでいる。ずっと腰をかがめているから伸びをしているところだ。
彼女たちのおしゃべりが聞こえてきそうだ。唄なども歌っているのかも

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ある意味で美人画?~山種美術館「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」

ある意味で美人画?~山種美術館「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」

秋晴れに恵まれたこの週末、一匹の猫に会いに山種美術館へ足を運んだ。

「竹内栖鳳《班猫》とアニマルパラダイス」展である。
(掲載しているチラシは、コロナ前に配られていたものなので会期が異なっている)
目玉はやはり、この「班猫」。山種美術館の看板ネコとも言えるほどの名品となっている。

背を見せつつ、首を曲げてこちらを見上げる目は、媚びているようにも見える。その見上げるような肢体が、しなを作ってなん

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