マガジンのカバー画像

美術せんにんの記録

41
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

”加山又造ルーム”はまさに異空間

”加山又造ルーム”はまさに異空間

先週9月24日は、日本画家・加山又造の誕生日であった。
それを記念して、竹橋の東京国立近代美術館のある一室が、彼の作品で占められていた。

「悲しき鹿」
一番目を引くのは、一面にひかれた縞模様。荒涼とした大地や空気をも表しているかのようだ。

「春秋波濤」
琳派のよう、と言ってしまえば簡単だが、それを完全に吸収し超克している作品だと思う。すなわちここにはその祖たる光琳も宗達もみじんも頭をよぎること

もっとみる
マネの真似をして印象派は生まれた~「西洋美術の歴史7」

マネの真似をして印象派は生まれた~「西洋美術の歴史7」

印象派というと、モネやルノワールの名前がまずあがる。
少し詳しければ、その先駆にマネがいることも知られることだろう。
しかし、このマネの革新性がいまいち分からない。
確かに絵はいいなぁとは思うのだが、どうにも現代の視点から脱せないからか。
それを本書を読んで、かなりクリアに理解できた、気がするので紹介したい。

マネが活躍したのは、フランス第二帝政期から第三共和政期にかけて。
政治も大きく揺れてい

もっとみる