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ライカでテーブルフォトを試す

 少しでもM型ライカ(以下、ライカ)に詳しい人なら知っている話だが、ライカレンズの最短撮影距離は70cmがほとんどであり、テーブルフォトでグッと近付いた写真を撮ることはできない。それでもテーブルフォトを撮る場合は、テーブル全体を写すか、最短撮影距離ギリギリで被写体を撮っておき後でトリミングする選択肢がある。こう書くと一見トリミングで寄ったテーブルフォトができそうだが、被写体から最短撮影距離70cm離れる必要があるため、必然的に立つかテーブルから大きく離れて撮影することとなり現実的ではない。(レストランでパートナーが突然立ちあがりカメラを構え始めたら、貴方はどういう気持ちになるだろうか?)

 では諦めるしかないかと言うと、そうでは無い。ひと工夫することで簡単にテーブルフォトが可能になるのだ。なお、そもそも論として、被写体に寄ったテーブルフォトを撮るならばスマホやコンデジを使うべきと言う意見がある。それはおそらく正しい。ただライカオーナーとしては、そんな正論は百も承知で、それとは別次元の話としてこの世のあらゆるものをライカで撮りたいという野望を一度は持つのではないだろうか(少なくとも筆者はそうだ。)。だから、スマホやコンデジで撮る、と言う”正しい”意見には耳を貸さず、どうすればライカでテーブルフォトが可能になるか書いてく。

 ライカで寄ったテーブルフォトを撮ろうとした場合に必要なこと。まずは背面液晶が使えるMもしくはM10(当然、-Dは除外)であること、そして30-50cmほど寄れるレンズを使う事である。では、寄れるようになる手段は何があるのか。下記に列挙した。

①クローズアップレンズ(レンズの先に付ける拡大鏡)

②R/Mアダプタを使ってR(ライカのレフ機)マウントのレンズ

③F/Mアダプタを使ってF(ニコンのレフ機)のレンズ(not電磁絞り)

④L/Mアダプタを使ってL(スクリュー)マウントのレンズ

なお先に結論を言うと、①のクローズアップレンズを使うのが圧倒的に楽である。なぜなら②ー④の選択肢はテーブルフォトのためにアダプタとレンズを購入する必要があり、さらには常日頃からカメラバックに入れ持ち歩く必要があるからだ。実際筆者はニコンのレンズでやったことがあるのだが、いつ使うか分からない重いレフ機のレンズをカメラバッグに所持することは、精神的にもカメラバッグのスペース的にも良いものではなかった。一方でクローズアップレンズは、フィルタ程度の大きさ、軽さであるため、非常に持ち運びが楽である。さらには、レンズの先に付ければ良いだけなので、いつものレンズの延長先で使える。こだわりさえ無ければ、クローズアップレンズを使うのが正解であろう。

 さて、それでは実際クローズアップレンズに付けるとどのような写真が撮れるか写真と共に説明する。始めに条件を言うと、被写体はマックのコーヒーカップ。写真は輝度調整やトリミングを一切しないJPEG撮って出し。カメラはM10-P、レンズはノクティルックス。肝心のクローズアップレンズはこれ(notマルミ製品)を使った。理由は収差が限りなく抑えられており、画質劣化が限りなく小さいからだ。余談だが、ノクティルックスには装着する際にはステップアップリングを利用している。(↓これ)

 なお、先にライカレンズがそのままではグッと寄ったテーブルフォトに向かないのかを示した後に、クローズアップレンズを装着した写真を示す。

先ず、席に座ったままクローズアップレンズを使わずに開放(F0.95)で撮った写真。ぼやけ過ぎて何が写っているのか判別できない。テーブルフォト以前に写真として失格である。

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引き続きクローズアップレンズを使わずに開放のままピントがあう場所まで離れて撮影した。被写体にピントは合っているが、寄った写真とは言えない。

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F5.6まで絞っても、席に座ったままではやはりピントが全く合わない。ライカレンズは寄ったテーブルフォトに向かないことが、再確認できたと思う。

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さて本番。ここからは、クローズアップレンズを付けて撮影。

実際のテーブルフォトは絞って撮るが、開放の描写が気になったので撮ってみた。開放だと減光orケラれが多く出てしまう。

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F5.6まで絞ると減光orケラれが消え、カップの文字にピントが合っている。これであれば、ライカレンズでも寄った写真が撮れると言える。

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F5.6。撮影する角度を変えた。こちらも問題なく文字にピントが合っている。

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縦画像。F2.8。正面の赤いマークにピントが合っている。

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 最後にまとめ。写真を見ての通り、クローズアップレンズを使えばライカでもテーブルフォトが使えるのである。ノクティルックスだけかもしれないが、開放で使うと減光orケラれが出てしまうが、テーブルフォトは絞って撮るので実質的な影響はない。なお、今回クローズアップレンズはNo.3を使ったが、これはノクティルックスの最短撮影距離が100cmと他のライカレンズより30cmも長いためであり、他の50mmレンズであれば(eg.ズミクロン)などであればNo.2の方が良いかもしれない。自分の使っているレンズにはどのクローズアップレンズを買えば良いか、については一概に言えない所もあり、一番良いのはそれらしいのを全部購入してみることである。ACでないものは安く買えるので、先ずはこれを買って距離感を試してみる方がいいと思う。多少お金がかかってしまうが、他のマウント用のアダプタやレンズを買うより、ずっと安上がりで済む。

 さて次回は、なぜスマホやコンデジではなく、ライカでデーブルフォトを撮りたいか、全てのものをライカで撮りたいという”ロマン”以外の観点で短い記事を纏めるつもりだ。

それでは、良き写活と良きnoteライフを。

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