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ウェルカム・トゥー・ザ・ワーキング・ウィーク/エルビス・コステロ Welcome To The Working Week / Elvis Costello

東京に来てから初めて入った駅前のレコード屋さんでたまたまザ・クラッシュの「コンバット・ロック」がかかっていた。
その時はパンク好きのT本君が一緒にいて、「お、いい曲かかってるじゃん」なんて言っていたら、店のお兄さんが「こういうの好きなの?カッコいいよね」なんて話しかけてきた。
いろいろと話をしていくうちに「こんなのもいいよ」、なんていくつかレコードをかけて聴かせてくれた。

当時はレコードを買う前にかけてもらって、良かったら買うなんてことが当たり前に行われていた。
今考えたらすごいよね。

しかもこのレコード屋さんは、盤を大量に仕入れてデッドストックしておいて、廃盤になった程よいところで店頭に並べるという、なかなかにテクニカルな売り方をするレコード屋だった。

しかも音楽の知識は豊富で、三人兄弟で経営していたが、長兄がロックとブラック・ミュージック、真ん中がアイドルと歌謡曲、下の弟がジャズとクラシックに精通しているという見事な分業体制を敷いていて、分からないことはほとんどないという修行中の身にはもってこいのお店だった。

結局東京に住んでいた5年間はこの店に入り浸りになった。

国内盤の新品しか扱っていなかったのでT本君はあまり興味なかったようで、ディスクユニオンなどで中古の輸入盤を漁ることになった。

ある日学校近くのデパートの店頭でコステロのサードアルバム「オリバーズ・アーミー」のUKオリジナル初回限定8面デジパック仕様ジャケット盤を買った。
1000円だった。
すごく気に入ったのでそのことを話すと、次の日には棚にコステロのファースト「マイ・エイム・イズ・トゥルー」が置いてあり、これも聴いた方がいいよと言われた。
帯には「初来日記念盤」と書いてあった。

えええええええええええ?
どう考えても廃盤のはずだが。

まあいいやと思い、買って帰り、聴いてすごく良かったと話に行くと
次はセカンドの「ディス・イヤーズ・モデル」が置いてあるといった具合だ。

カモられていると言えばカモられているが、気が利いていると言えば気が利いている。
そんなこんなでずいぶんといろんなことを教えてもらった。

今の音楽知識の基礎はほぼこのお店で培ったものだ。

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