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小説・詩

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2021年3月の記事一覧

日の名残

日の名残

何度読んでも惹き込まれてしまう。なんでだろう?それに「わたしを離さないで」もそうだったけど、土屋政雄さんの訳って不自然なところが全然なくって、べつの言葉では表せないような表現をさらっとしちゃう。相当な時間をかけて翻訳しているはずなのに、なぜかそういう印象を受けてしまう。すごい。

海辺のカフカ

海辺のカフカ

 10年ぶりに、村上春樹の「海辺のカフカ」を読んだ。「ああ、この話には、こういう意味があったんだ」と改めて気づかせてくれる小説って、なかなか無い。

 たとえばオイディプスの挿話。以下、わたしの記憶に拠りますが、
 ーーかつて、人間は男男、男女、女女として幸せに暮らしていた。しかしある日、神が彼らを半分にすっぱりと切ってしまって、彼らは自身のかたわれを探してさまようことになった。

 これまでは「

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