現役プランナーがゲームの世界観を考えるときにしていること <後編>
1、この記事を見る前に
DRIVE.です。
普段はネット上で作編曲・イラスト制作をしながら、ゲーム会社にプランナーとして1年半勤務しています。
今回は、『ゲームの世界観を考えるときにしていること』についての“前編”から続く“後編”になります。
前編を読んでいない方は、是非こちらを読んでいただいてから、この後編を読むと更に分かりやすく読むことができます。
この後編では、VRChat上で行った「ゲームプランナー講演#2」でお話した内容を、更に深掘りしていきます。
では、前編の振り返りとして、私から例として創った世界観のコンセプトと大枠を見てみましょう。
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<コンセプト>
ゲームジャンルは「ハイスピードアクションRPG」!
×
「移動魔法が使えて、モンスターを様々な剣術と魔法、
特別な力で薙ぎ倒す者達がいる洋風でシリアスなファンタジー世界」
<大枠>
ここは五つの大陸があるファンタジー世界。
古の神々がもたらした魔法の源となる「魔法原点素」を基に、
四つの種族が平和に繫栄していた。
だが、そこに現れたのは世界の支配を企む「魔族」、
そして「魔王」である。
これを打ち倒すべく、世界は平和連合を結成し、
多数の「冒険者」を生み出す仕組みを創り出した。
「冒険者」たちは、世界中に出現する魔族たちを討伐しつつ、
諸悪の根源となる魔王を倒すための術を、魔法と剣術、
そして神々の力で創り出そうと日々奮闘している。
長年に渡り、四つの種族と魔族の戦いが繰り広げられている中、
徐々に勢力を広げる魔族のことを、
この世界の天界に存在する神々は危惧していた―――
この物語は1つの城下町から始まる。
冒険者として旅をする準備を進めていた少年が、
突如として「神紋章」の力を得て、
魔王を倒すために努力し続けるお話だ。
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そして、前回のまとめは「方向性を決めて手順を踏むことで、創り出すものに一貫性が出る、統一感が出る」でした。これを踏まえて、後編では細かい設定についてどう考えるのかを書いていきます。
かなり具体的な部分まで、例を出しながら解説しておりますので、お付き合い下さい。
2、キャラクターの種族・特性
細かい設定についても、大枠を決めた順で進めていきましょう。
①の「世界の基準」については大枠の時点で十分ですので、
②の「種族」から、細かい設定を考えていきます。
“人間族・妖人族・獣人族・龍人族・魔族・神族”
大まかにこの6つの種族が存在しています。
どこかの例えで出した「謎の種族が存在すると噂で流れているが、詳細は不明」については、とりあえずスパイスとして使う想定で置いておきましょう。アイディアはこの時点でも結論は出さずに、消さずに、しっかり残しておくと良いです。
既に住んでいる環境についても決まっているので、ここでは「種族の名称と詳細な種類」と「特性」について考案します。
ファンタジー世界だと、このままの種族名でも良いのですが、更にオリジナリティを出し、魅力的にしていくにはオリジナルの名称を付けるのがオススメです。
人間族なら、「ヒューマン」が一般的なので、ここから少し変化を加えるために、もう1つの単語と掛け合わせた名称にしましょう。「人間族は、中心になって平和連合を創立した」という設定が⑥にあったので…
種族の傾向としても、心の調和を考える、大切にする種族になりそうです。
なので「心」から、外国語で「ヒューマン」と合わせやすそうなものを見つけます。
「心」をイタリア語にしてみると、「Cuore(クオーレ)」でした。詳細な種類も揃えて作ってみましょう。
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「ヒューマン(Human)」×「クオーレ(Cuore)」
=「ヒュークオーレ族(Hucuore)」
<人間族 -ヒュークオーレ(Hucuore)->
・ヒューク(Hucu)
… この種族にはこの種類しか存在しない。
安定した魔法原点素の素質を持つ種族であり、知恵がある。
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これで、オリジナリティのある種族名が出来ました。この掛け合わせる手法が一番簡単でオススメです。
他にも名称の決め方は沢山ありますので、ここは自由に決めると良いでしょう。あなただけの世界です。
種族の詳細な種類については、一番分かりやすく例えられるのが「妖人族」。調査したところ、妖人族はエルフやダークエルフなどの“妖精に基づいた種族”の総名称になっていることが多いです。ここはオリジナリティを名称で少し出しつつ、詳細な種類を書き出していきましょう。
また、詳細な種類を作る場合は、「特性」を付けて区別化すると良いでしょう。特性は、単純なもので全然構わないと私は考えています。
あまりにも特性が複雑すぎると、それを後でどう活用していけばいいか難しくなってしまいます。
ファンタジー世界でよく設定されているのは、魔法や身体に関する能力に優劣が付いていたり、適応している環境が違っていたりしています。環境については、前編の大枠作成「③環境」で既に出来上がっていますね。
今回の例としては、人間族でも書いた「魔法原点素」に関連する事柄を入れて、区別を付けてみましょう。ここは「自然」を元に、スペイン語で「Naturaleza(ナチュラレーザ)」だったので…
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「エルフ(Elf)」×「ナチュラレーザ(Naturaleza)」
=「エルラレーザ族(Elraleza)」
<妖人族 -エルラレーザ(Elraleza)->
・エルラ(Elra)
… この種族の八割以上を占めている、通常種族。
魔法原点素の扱いに長けており、自然を保持することを優先する。また、女性の比率が多い。
・ダークエルラ(Dark Elra)
… 一割ほどを占めている希少種族。褐色肌が特徴で、
魔法原点素よりも剣術の扱いにとても長けており、身体能力が高い。
・ハイエルラ(Hi Elra)
… 一割以下の割合で存在している超希少種族。
天性で魔法原点素の適応力が異常に発達しており、この種族限定の魔法がある。
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ファンタジー世界の種族らしい名称と詳細が出来ました。
名称を作る手法や、区別を付ける手法として、様々なファンタジー世界の作品の調査を行い、どのようにやっているのかを参考に創り出すと、統一感を出しながらオリジナリティを出すことができます。
では、最後に全ての種族名称と「魔法原点素」に沿った大まかな特性を書き出してみます。
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人間族 - ヒュークオーレ(Hucuore)
… 安定した素質を持つ「調和」と「心」の種族
妖人族 - エルラレーザ(Elraleza)
… 扱いに長けた素質を持つ「自然」の種族
獣人族 - セリヴァレン(Therivalen)
… 特出した属性の素質を持つ「勇猛」の種族
龍人族 - ドラゴアート(Dragoart)
… あまり素質を持たないが、龍そのものに変身できる「独創」の種族
魔族 - デーモヴィックス(Demovix)
… 魔王から供給される別要素が源となる「逸脱」の種族
神族 - ディーアティックス(Deityx)
… 魔法原点素を司っている「全能」の種族
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このように、種族ごとにも方向性を持たせる「単語」を1つずつ入れて、種族が掲げているものにすると、それぞれの種族の性格やデザインのテーマを創り出すときも役立ちますね。
また、対照的な魔族・神族の名称を少し似せたものにすると、より区別化が図れそうです。
とはいえ、これらも実は名称を作っている途中に、途端に思い付いたことなのですが。細かく創っていくと、こうした良い方向性も自ずと見えてくることがあるので、それがやりたいものであれば、どんどん取り入れていくと良いでしょう。
名称を作るときは…“厨二病全開の思い付きに、理由付けができること”が大切です。
3、名称と地形・環境
続いて、地理に基づいた名称や地形・環境について考えます。
まずは「世界そのものの名称」。これがゲームのタイトルになることも多いですね。名称の付け方は前項目でも実践した、言葉を掛け合わせる方式を取りながら、大枠で決めた「情勢」や「文化と社会」を見つつ、付けていきましょう。
例えば、私が創っている世界では…「五つの大陸」と「六つの種族」が大きな構成要素です。
ですが「情勢」から、世界が生み出されてから歴史の途中に「魔族」が現れたと捉えることができますので、“昔は「五つの種族」であり、情勢が平和な状態で、大陸の住人たちがこの世界の名称を付けた”という風に見て取れます。
『地上に住む人間族・妖人族・獣人族・龍人族。そして崇拝対象である神族。神族は、人々には視認できない存在ですが、古の言い伝えから種族の1つとして数えられている』
こんな歴史も見出せますね。
大枠が決まっていると、その世界の簡単な歴史の読み取りを行うことができるので、名称を作る理由をスムーズに出し、より設定に深みを出すことが可能になります。
「“五つ”の大陸」と「“五つ”の種族」の世界。【5(Five)】をキーワードとして、様々な名称の材料を調査していきましょう。
【5】をラテン語にすると【クインクエ(Quinque)】。
また、英語でQuinに繋がる単語として、【ジ クインテセンス オブ~(The Quintessence of~)】という言葉があります。
これは「~の真髄」という意味を持ちます。カッコイイですが、これはどちらかというと「ゲームタイトル」寄りですね。これもアイディアとして置いておきましょう。
また、神々が「魔法原点素」を世界にもたらしたことから、これをラテン語にすると【マギカ オリジネム エレメントゥム(Magica originem elementum)】。
やはり、神々の力から、この世界の歴史が始まっているので、この言葉から世界の名称を出したいですね。
しかし、ラテン語そのままではかなり長い名前に…ということで、あえて文字の部分部分から出してみましょう。
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・「マ」ギカ オ「リジネ」ム 「エレ」メントゥ「ム」
→【マリジネエレム(Marigine Elem)】
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少し魔法寄りのファンタジー世界である大枠とは、かなり当てはまるような響きになったと思います。
名称は色々な外国語から調査して、様々なパターンで出すことができます。
もしくは“言語が一から作られている”という場合であれば、完全オリジナルで独特な名称も全然アリです。単語を逆にして「ムレエネジリマ」でも。
名称の理由付けが大枠で出来ていれば、その分自由度も高くなるわけです。
ここでついでに、ゲームタイトルの名称も先ほどのアイディアから、
【ジ・クインテセンス・オブ・マリジネエレム(The Quintessence of Marigine Elem)】としましょう。
『この世界、マリジネエレムの真髄。それは五つの種族のお話だ。』
色々な意味合いを込めたタイトルまで出来てしまいました。本当にこのゲームが創りたくなってきますね。実際にこの世界観を使用したゲーム企画を、企画書から作成するような、レクチャー記事も書く予定ですので、お待ちいただければと思います。
さて、次は地形についてです。大枠から、既に陸地・海・天体の概念については地球を基準とした世界と決めているので、それを基に「五大陸」の配置から決めていきます。
ここはシンプルに「方角」から決めていくと、位置関係も分かりやすいので“東大陸・西大陸・南大陸・北大陸・中央大陸”という配置にしてみました。こうすると、すぐに地図に書き起こせそうですね。
地球を基準とした世界、という大枠が決まっているのであれば次はそれぞれの環境を想定し、主に住んでいる種族を指定するところまで考えることができます。
少し気候の仕組みについて調査することになりますが、ファンタジー世界という仮想ですので、厳密に合わせる形でなくとも問題無いです。
地球ならば、自転の構造から「北半球」「南半球」で気候と環境が全く違います。この仕組みをそのまま使いつつ、大枠で決めた種族の適応している環境を照らし合わせて、それぞれの大陸の環境を書き出してみましょう。ついでに大陸の名称まで決めてしまいます。
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・東大陸 <ヴォストーレ大陸(Vostore)>
… 安定した気候で春夏秋冬の季節がある環境。
主にヒュークオーレ族(人間族)が住む。
・西大陸 <レーザパド大陸(Lezapad)>
… 森林等の自然を主とした環境。春と夏を行き来し、雨が多い傾向。
主にエルラレーザ族(妖人族)が住む。
・南大陸 <セーヴェルン大陸(Severn)>
… 砂漠が主な地形であり、暑く乾燥した環境。極端な南地方に極寒の地域がある。
主にセリヴァレン族(獣人族)が住む。
・北大陸 <ユーグアーツ大陸(Yugarts)>
… 基本的に冬の気候が続く環境。活性化した火山や地底も存在し、両極端な地域が多い。
主にドラゴアート族(龍人族)が住む。
・中央大陸 <セントラル・マリジネ大陸(Central Marigine)>
… 東大陸と同じく、安定した気候で春夏秋冬の季節がある環境。
平和連合の本部があり、四つの種族が殆ど均等な割合で共に住んでいる。
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それぞれ地球基準で、環境や住んでいる種族について決めることができました。地理的な話は、何かしらを基準にする場合にはまず調査し、遠慮なく参考にすることが大切です。
一から創り出した基準の例として、「海や天体の概念は無く、全ての陸地が浮いている」という世界であれば…参考が無い分、少し大変にはなりますが設定が完成し始めたときの自由度と魅力は、更なるものになるでしょう。
大陸の名称については、基本的にロシア語における方角と、主に住んでいる種族名を掛け合わせて作っています。
「主人公の少年はヴォストーレ大陸にある、ヒュークオーレ族の国における城下町出身の見習い冒険者」
これでファンタジー世界らしいプロフィール文を作成できるところまで来ました。
4、情勢と歴史を想像する
今度はこの世界観の情勢について、より深く考えていくことになります。
大枠から『四種族&神族 vs 魔族』という状況になっていますが、
細かい中身が果たしてどうなのか、掘り下げるように決めていきましょう。
まず、四種族それぞれの関係性についてです。
大陸それぞれに四種族が設定されているので、魔族たちが出る前までは別々で住んでいそうです。魔物たちが出てから、どのように手を取り合ったのか、また対立したことはあったのか…そして、今はどのような協力関係にあるのか。
過去~現在までの歴史を作るようなイメージで書き出していきます。過去の理由付けがあると、現在の情勢に説得力が出るので、大まかでも構わないので決めていきましょう。ここで、種族ごとの特性とそれぞれ掲げている方向性(性格)を振り返ってみます。
人間族 - ヒュークオーレ族 … 安定した魔法の素質 「調和」「心」
妖人族 - エルラレーザ族 … 魔法の扱いに長けた素質 「自然」
獣人族 - セリヴァレン族 … 特出した属性魔法の素質 「勇猛」
龍人族 - ドラゴアート族 … あまり魔法の素質が無いが龍に変身可 「独創」
こう見ると、方向性としては協力しやすい、対立しやすい種族が見えてきますね。
「調和」と「自然」は要素がとても似ているので、人間族・妖人族は一早く平和連合を組んでそうです。
逆にこの2つの種族と、龍人族の「独創」はあまり嚙み合っていないので
少々対立しながらも、最終的には合意したような動きになるでしょう。
また、獣人族の「勇猛」を龍人族の「独創」でサポートする…獣人族は魔族たちに果敢に挑むため、龍人族が独創的な兵器と能力で補助しようとこちらでも連盟を組んでいそうです。こちらでも連盟を組んでいそうです。
このようにして、方向性があると見比べができるようになります。
また、最初に決めたコンセプトから「洋風でシリアスな…」と決めているので、少しばかりシリアスめな“スパイス”を入れてみたいですね。
では、これらを参考に情勢の流れを整理してみます。箇条書きに書き出す際は、必ず時系列順にすると良いです。
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<魔族出現前>
→魔族が存在せず「戦い」の無い世界では、既に四種族が手を取り合っていた
・神々が四種族を大陸に産み落とし、それぞれで数々の国を創立し、
大陸ごとに連邦制で政府を立てた
・魔族が出現する前までは、四種族は大陸ごとに別々で住んでいた
・異種族間の交流や貿易もあり、中央大陸は古くから貿易施設があった
・中央大陸の交流から、異種族間でいくつかの決まりが増え
【マリジネエレム】という世界名称が生まれ、日々繫栄していた
<魔族出現直後>
→「戦い」への備えが無く、緊急で協力体制を整えた
・魔族出現後、四種族は対策するも戦力が足りず、他大陸の異種族に助けを求めた
・まず「人間族」と「妖人族」が即席で「友心平和連合」を結成し、力を合わせた
・それに続いて、「獣人族」と「龍人族」が「戦闘連盟協定」を結託し、力を合わせた
・一先ずは沈静化され、中央大陸で四種族の
リーダー陣(連邦政府の首相等)が集まり、会議を行う
<第一次魔王討伐作戦まで>
→「戦い」に使用する資源の方向性が対立するも、いくつかの出来事が転機となる
・「人間族」と「妖人族」は魔法を中心に、資源を使わず自然を守りつつ
「魔法原点素の結晶」を抽出する技術を開発、共有を提案
・しかし「獣人族」と「龍人族」は魔法の特性が特殊であるため、
大陸の資源を有効活用して兵器を開発していた
・この2グループの方向性が合わず、紛争は無かったが一時冷戦状態に
・魔族たちが突如として暴走、力を増幅させ続けている状況に四種族は混乱、
2グループはそれぞれ戦うも沈静化できず
・天界から見ていた神々がこの状況を見て間接的に助けようと、
戦闘に長けていた英雄たちに「神紋章」の力を授ける
・英雄たちを中心にして再び沈静化、魔界の存在を一度突き止め
「第一次魔王討伐作戦」を実行
・魔王の手により英雄たちは亡くなるも、「神紋章」の力は他の者へ受け継がれる
<『マリジネエレム平和連合』結成まで>
→四種族が「戦い」でも手を取り合う世界へ
・「人間族」の英雄1人のみが生き残り、全世界へ「四種族の結託」を訴える
・四種族はそれぞれ会議し、一定の資源と兵器、
戦力等を共有し世界中で協力することを決める
・『マリジネエレム平和連合』が結成され、中央大陸に本部を設置
<「冒険者」の仕組み形成から現在まで>
→1つの目標のために自由に協力し、交流できる世界へ
・全世界で魔族の完全討伐、魔王討伐を目標として「冒険者管理会」および
「ギルド」を創立し仕組みを形成
・「冒険者」となった勇敢な者たちは、世界中で魔族を倒し続けていく
・四種族がそれぞれの大陸、国に入ることが自由となり、共存共栄の時代となる
・魔界の所在を再度突き止め、「第二次魔王討伐作戦」を実行するのが今後の平和連合の目標
・現在は魔族の力が次第に増幅し始めており、今後の動きを神族を含む
「五種族」が危惧している状態に
+魔族側は世界を支配するため、世界の人々から
「魔法原点素」の力を吸収し、力を増幅させている
+神族側は「神紋章」を授けるための準備を進めているも、
授けることのできる器のある人物が少ないために危惧している
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大まかになりますが、出来ました。これだけでライトノベルの外伝的なものを一冊分書けそうなぐらいですね。大枠で決まったこと等を参考にしながら、要素の間と間にどのように変化していったのかを理由付ける情勢を入れています。
大枠と前工程で決まっている細かい設定があれば、スムーズに情勢を書くことができるので順序は大切なのです。
最初からすぐに連合を組んだ、でも平和的で良いのですが、種族ごとの区別と特徴、世界が協力する展開を更に魅力的に引き出すために一度対立が入る“スパイス”を設けています。
実際にそのスパイスを理由付けとして、神々が「神紋章」を授けた理由や
そこから連合を組んだ理由にまで繋げることが出来ています。
また、ゲームの中で主人公とは仲間として関わることになりそうな「英雄」、クリア条件になりそうな「魔王討伐作戦成功」という要素も出てきました。
これらも、前編で説明した「ブレインストーミング」と同じように、まずはアイディアを書き出しつつ、そこから連想された情勢をどんどん書き込んでいるイメージです。
連想されたものは、いつかどこかできっと役に立つので、ここで使わなかったとしても置いておくと良いでしょう。
これで、あなたの創り出している世界の歴史も創造できましたか?
5、文化と社会とデザイン
「文化」と「社会」と「デザイン」。
この辺りも、世界観を表す上では欠かせないものです。
大枠で決めたことを見て、もし前述の工程で細かい設定した内容から、矛盾点、補足したい点があれば、ここから直し始める形になると思います。
例えば…
・魔法を主流として建築・農業・交通等の基本的な文化が創設
→ただし「獣人族」「龍人族」は特性が特殊、資源活用し機械類も開発
歴史の<第一次魔王討伐作戦まで>の部分で決めた事柄ですね。確かに世界中の基準としては魔法が主流ですが、種族によって少し元の文化が違う状態になっている、と見出せるでしょう。
では、この内容から更に「文化」と「社会」がどうなっているのかを考えていきます。
この世界観の中心となっている四種族、そしてその四種族たちが創った社会、これからの世界の未来を担うであろう冒険者の仕組みについても、
大枠や他設定から書き出していきましょう。
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<四種族協力文化>
・農業、自然保持はそれに特化した魔法を持つ妖人族が主に行っており、
これに関する管理会も妖人族がリーダー陣である
・農業と自然保持に関して、ここに人間族の更なる知恵を加え、
効率良く農業や他産業も発展している
・建築、機械開発は龍人族が開発を八割以上担っており、
技術研究所をどの大陸にも創設している
・獣人族は魔族討伐を主な業務とした傭兵・騎士団を各国に配置しており、
龍人族が開発する兵器等の管理も行っている
・交通系は妖人族の魔法と龍人族の開発により、専用の飛行船や
陸地用・海用運行船を主として配備している
→以上を主として、資源や戦力共有を四種族間で行っている。
・主にこれの管理雑務をしているのは、連合創立時に中心となった人間族であり、
その状況や程度を定期的な平和連合会議で確認している。
<種族それぞれの文化>
・人間族… ヴォストーレ連邦内を中心に、都市や町作りに精を入れている。
他種族の文化も取り入れ、広い属性の魔法を使用する。
・妖人族… レーザパド連邦内を中心に、魔法研究がとても発達している。
他種族に魔法技術を伝えつつ、大陸内の自然物確保にも努めるようにしている。
・獣人族… セーヴェルン連邦内を中心に、多くの冒険者を排出し独自の戦闘団体も次々と展開。
特出した魔法特性により、妖人族に協力することも多々ある。
・龍人族… ユーグアーツ連邦内を中心に、機械類の技術がとても発達しており、
それで構成されている都市も存在。そのため、極端な環境下でも快適に過ごしている。
<共通する文化>
・全ての人が天性として持つ「魔法原点素」を元として、魔法は日々研究されており、
汎用的なものから戦闘用の魔法まで資料化されている
・この世界独自の魔法言語「SIVS(シブス)」が主流となっており、
子どもの頃からこの言語文字を魔法で書き出せるように教育する機関・施設がある
・人々は神族の姿を認知できないが、日々平和を望んで崇拝している者が多い
・この世界では「星歴」を使用しており、400日を1年としている。
また、月や時刻も地球とは少し違って1年が8ヶ月。1日25時間となっている。
(つまり、1年が8ヶ月 / 1ヶ月が50日 / 1日が25時間 /
1年=8ヶ月=400日=10000時間 である)
<共通する社会>
・数多くの国があるが、殆どは大陸ごとの連邦
(ヴォストーレ大陸は人間族を主体とした「ヴォストーレ連邦」)の下で動いている
・意思決定権を持つ順に
「マリジネエレム平和連合」「各連邦」「各国」「各都市」「各町・村・郡など」
・方向性の違いにより、いくつか独立している小さな国も存在する。
例として、ハイエルフのみが在住している、魔法研究に特化した国がある
・種族間などにおける差別行為は平和連合規律により禁止されており、皆平等に暮らしている
(差別行為に関して、犯罪者集団も少なからず存在し、
奴隷商売などを行っている闇市があるが通年厳しく取り締まっている)
・魔族は殆どがダンジョンなどの極端な環境下に存在しているものの、
都市・町・村・郡の外である場所に野良で徘徊していることもある
・魔族討伐のために各国が軍・騎士団・傭兵などを編成し、
日々作戦を立てて戦闘しているが、魔族の力も強く戦死者は多い
・とても希少な人数だが、神族の力を受け持った「神紋章」を持つ者がおり、
英雄として平和連合管理下で育成され、指揮官として配属されることがある
(「神紋章」を持っていることを隠している者も少なからず存在する)
<冒険者の仕組み>
・平和連合の下で方針を決定している「冒険者管理会」が「冒険者ギルド」を管理しており、
ギルド側が冒険者たちを魔法でリスト化・資料化し、管理している
・魔族討伐や資源収集、その他依頼をギルド側が市民や国から受け、
冒険者たちはその依頼内容を日々こなしており生計を立てている
・世界中で冒険者を歓迎する風習があり、冒険者から
国直属の騎士団・管理会に引き込まれることもある
・冒険者内にもランクが存在し、ランクが高い者ほど
魔族を討伐し続けている実績を持っている
・冒険者として、ギルド管理の下で独自の団体を創立している者もいる。
例として、回復魔法に特化した神紋章を持つ少女がヒーラーを集め、団体を結成している
・活躍できる冒険者を目指す者の育成のために「冒険者学校」を創立している機関があり、
大都市で教育が展開されている
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ファンタジー世界の作品を多く参考に取りながら、大まかにそれぞれ書き出してみました。登場する種族の関係性や特徴をより深く掘り下げながら、世界で共通することについても設定を盛り込んでいくイメージです。
既に情勢や歴史まで決まっていると、それに沿って多くの事柄が想像でき、文化や社会についてどんどん書き出せるのではないかと思います。
「ヤバい!沢山書きすぎた!」という場合でも、これは補足事項だから、と大まかに書き出すときは一旦別のメモに移動しておくと良いでしょう。
「ちょっと少ないかも…」という場合でも、創っている世界と傾向が似ている作品を遠慮なく参考にして、使えそうな要素を書き出してみると良いでしょう。
というわけで、世界観について細かい設定まで決めることができました。
この手順でここまで詳細が分かるように書き出しておけば、ゲームの企画をする上では申し分ないぐらいのものになります。シナリオを書き出すときも、書き出した詳細が後押ししてくれるでしょう。
とはいえ、私の例の場合だとちょっとやり過ぎなぐらいですけどね。
もっと大まかで、簡単なものでも大丈夫です。
6、「主人公」の目線から世界を見る
ここからは世界観そのものを説明するときに、更に魅力的に伝えやすくするよう「主人公」の目線から世界を見て、シナリオを書き出してみる段階に入ります。
大枠ではこのように決まっています。
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・主人公は人間族の少年で、見習い冒険者
・物語は、この少年が突如として「神紋章」の力を得て、魔王を倒すために日々奮闘するお話
・物語の中で、様々な種族の仲間、そして「神紋章」の主である神族と出会う
・魔族側は、主人公の存在を危惧して更に動き始める
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大枠を決める段階でこれを決めるのは理由があり、細かい設定を決めていく段階になった時に「設定する優先度」がこれで決まる、というお話をしました。
この少年の設定であれば、とある町からの冒険話になりますね。とある町がある国と連邦、その周りの簡単な状況から設定していくことになります。
誰でも比較的設定しやすいパターンです。
これが「国王の娘」という風になってくると、その国と連邦の政治状況、家系の状態…かなり重要な設定が最初から必要になりますね。「悪魔の少女」のパターンでも、魔族側の設定を練らないといけません。
という感じです。
やはりゲームの企画段階で世界観を考える場合は、コンセプトに沿って分かりやすくする必要があります。
世界観を創った人からの主観では、これが難しくて意外とまとめにくい…
ですので、“世界観の登場人物”から見たとき、客観的にその世界を見たときにどう書けるのか、という想定をしてみます。
「ハイスピードアクションRPG」というコンセプトから、「主人公」をアクション操作するイメージができるので…
ゲームのストーリーや進行内容は「主人公」の目線から、プレイヤーへと語られることになります。
企画段階では、その目線から世界の概要と序盤に展開されるシナリオのみ…ということが殆どですが、実際にプロットとして中盤~終盤まで書き出していく、ということもあります。
では、シナリオを書きやすくするために、まず主人公の設定を書き出してみましょう。細かく設定した世界観があれば、ある程度書けるかと思います。
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<リオス(本名:リオスノード・グローサー)>
・ヒュークオーレ族/ヒューク男性/15歳
・[ヴォストーレ連邦]-[アイリシア国(仮)]-[プレリュード城下町(仮)]出身
・銀髪に赤髪のメッシュが入っており、黒と赤を基調としたコスチューム。眼鏡をしている
・性格は心優しく真面目であり、人のためならどんな状況でも手を伸ばす熱血な少年
・戦闘に関しては感情的に動いてしまうこともあるが、普段は冷静に分析することも行う
・たまにドジ少年になる(何もない所で転ぶ)
・父、母、姉、自身の4人家族構成であり、全員ヒュークである
・父が現役でアイリシア国(仮)直属の騎士団長であり、母も元魔法研究者。
姉が最高ランクの冒険者(アーチャー)として活躍している
・父と姉に憧れ『槍』と『小盾』を使用した戦闘スタイルを学び、
母にお世話されながら「冒険者学校」で修行している
・冒険者なり立て(学校に入学したばかり)なので、冒険者ランクはまだ低い
・本人曰く「将来は世界で一番人々を救うランサーになりたい」
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ここも、比較的やりやすいように正統派な主人公にしてみました。この少年から、この世界がどう見えるのか。少年からの一人称視点で、現在の日付や状況も兼ねて書き起こします。
この時に、シナリオを実際に書き出すような文章にしても構いませんし、箇条書きでも構いません。一度自分に分かりやすい形でやってみましょう。
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・今は星歴5406年3月39日、春が訪れ、冒険者学校に通い始めてから少し経過した。
・母さんにお世話になっているので、依頼をこなして家計を楽にしようとしている。
・冒険者学校で、自分と同じように活躍したい志を持っている仲間と共に頑張れている。
・しかしながら、最近は魔族の力が強まっている噂があり、討伐依頼へ行くとかなり強かった。
・今住んでいるアイリシア国、プレリュード城下町の騎士団でも、
先日の大型魔族討伐作戦で10分の1がやられた。
・プレリュード町の周りはまだ比較的平和な状況に見えるが、
野良にいる魔族が少し増えているように見える。
・マリジネエレム平和連合から各国への通達として、
魔族が増えている傾向があると警告されていることが、父の手紙から分かった。
・姉からも伝達魔法で連絡が入り、「第二次魔王討伐作戦」を
実行する頃合いが不透明で、戦力も調査も足りていないらしい。
・増してや「神紋章」所持者の英雄も少ない状況で、世界中が少し不安な状態になっているだろう。
・だからこそ、世界は未来を見出すために手を取り合っている、
新しい魔法や技術も出ていると新聞や掲示板を見ると分かる。
・「少しでも、世界で活躍できる冒険者にならなければ。」仲間と共にそう誓っている。
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主人公から見た世界観の状況は、このように「深い理由までは見えない、表面上の状況」となります。しかしながら、企画段階で世界観を伝える上では、このような見方をした要素で整理されている方が伝わりやすくなります。
深い理由は、あくまで理由付けであり、「ゲームのストーリー内などで、後々明らかになる」ものです。ゲームを面白くする上では、それらは“伏線”として、大事に取っておきたいものになるでしょう。
また、最初のゲームの導入として、世界についてのムービーが流れることを想像してみましょう。そこでは、世界や国の名称、昔にあった出来事を大まかに話、表面上の状況がナレーションで読まれ、紹介されるものになるかと思います。このイメージで、企画書に載せるような文章でまとめてみます。
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『今は星歴5406年3月39日。舞台はファンタジー世界「マリジネエレム」。
神々が四種族を大陸に産み落とし、それぞれで数々の国を創立し、
大陸ごとに連邦を立て、手を取り合っていた。
しかし、世界に突如として【魔族】たちが出現。
四種族は力を合わせ、強大な力「神紋章」を持つ英雄の導きの下、
魔族たちを一度沈静化させた。
四種族は魔王討伐のために冒険者などの育成に励み、
比較的平穏が保たれている様子だった。
だが、魔族の力が増幅していることが明らかに分かり、
それに対応できる戦力が無く、未来が見えない状況だった。
これを誰もが不安に思っていた。
これを解決するべく、主人公のリオスは立ち上がる。
日々奮闘する中、魔族たちが町を襲撃し、
何としてでも守ろうとする中、主人公に「神紋章」が宿る―――』
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このように、細かい設定を作ってから、主人公視点で世界観を整理することで、文章としてあらすじを書き出すときに「世界の大まかな情勢と成り立ち→今の状況を客観的に見たもの→物語・ゲームの始まりのきっかけ」という構成で見出すことができ、より分かりやすいものとなります。
これで、あなたの世界を他人にも紹介できるような、
あらすじが出来上がりましたでしょうか?
7、物語は「起」と「結」から繋ぐ
ここからは世界観作成においての、ちょっとしたポイントになります。
世界観を作る上では、「起承転結」が必要になります。より深く、魅力的な世界を創り出すために、世界の情勢、主人公から始まるシナリオ…を書くことになるでしょう。
そのときは、「起」と「結」から創り出すことをオススメします。「何をきっかけにして、結果どうしたいのか」という、これもコンセプトのようなものです。
起承転結をそのままの順に作ろうとしても、最終的に結果の理由付けが繋がりにくくなる現象が発生し兼ねません。
ですので、「起」と「結」から創り出し、「このきっかけから、この結果に繋ぐにはどうしたらいいのか」というのを考えて、大枠で決めたことも基に「承」と「転」を書き出しましょう。
例にすると、大抵はゲームの導入とクリアを一辺に考えるイメージです。
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起「四種族で平和に過ごしていたけど、人々を襲う魔族が現れた」
結「魔王を討伐して、魔族の存在しない平和な世界になる」
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ここから、「承」と「転」を大まかに考えます。
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起「四種族で平和に過ごしていたけど、人々を襲う魔族が現れた」
承「魔族が力を増幅させる中、主人公が神紋章を授かり、
力を使いこなすために奮闘する」
転「第二次魔王討伐作戦を実行するも失敗、更に世界は成長を目指す」
結「魔王を討伐して、魔族の存在しない平和な世界になる」
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例としては、このような感じになります。
「魔族が力を増幅させて強くなる」ことに対抗できるよう、
「主人公」を軸に状況を昇華させる。
「世界」も強くなり、魔族を上回る出来事が展開される。
としてみました。
これは主人公等のキャラクター自体を作成するときも同様で、その人物の「行動するきっかけ」「目指す目標」が無いといけません。
何かと似ていますね。そうです、私が「ゲームプランナーになった経緯」を書いた時の「目標を立てるところ」の段階です。
動機が生まれ、目標を立てることで行動できる。その目標を達成するために、そのような行動をすると良いのか。これを考えるには、やはり前提が必要になるのです。何事にも通じるかと思いますが…
世界観を考えるときにも、是非実践してみてはいかがでしょうか。
8、「モチーフ」からさらに深く
これも世界観を作る上でのちょっとしたポイントになりますが、何かしらの「モチーフ」を参考に、「キーアイテム」や「情勢」を創ってみると良いでしょう。
調べてみると、多くのゲームで「キーアイテム」という存在があるかと思います。
例えば、「Fate/GrandOrder」では「聖杯」がそうですね。また、「GranBlue Fantasy」を例に上げてみると、実はそれが人物「ルリア」として現れています。(この場合だと「キーパーソン」ですね。失礼致しました)
私が今回例として創り出した世界観でも、世界の情勢が変わるきっかけとして「神紋章」と「魔法原点素」が「キーアイテム」になっています。
キーアイテムを用意しておくと、それを中心として世界観を創りやすくなるので、ゲームだけでなく小説や映画でも、この手法が多く取られています。
「モチーフ」として、キーアイテムが「宝石」「楽器」「紋章」…
現実世界にある物から、考えることができますね。宝石なら“世界の魔力を生み出している魔石”になりそうです。
また、楽器ならキーアイテムにするには少し難しそうですが、「サブ要素」として、情勢に充てることができます。
四種族が「四重奏(カルテット、Quartet)」の楽器編成の状態を応用した情勢で、魔族が入り込んだことによって「五重奏(クインテット、Quintet)」の楽器編成をイメージした情勢へと変化する。
という風にすることも可能です。
このポイントは、「調査」と「参考」によって更に深い世界観を創り出しやすくなる、という手法になりますので、参考程度にしていただければと思います。
9、成長し、良い物を生み出すために
では、ここからまとめに入ります。「工程」と「調査」と「参考」を大事に取るべきだと、前編にてお話しましたが…
「調査」と「参考」は、その量によって“作られる物のクオリティがかなり違ってくる”と私は考えています。
今回、私が例として創り出した世界観についても、“何十”もの作品を読んでは調査し、参考にしています。
実際に出版されているライトノベル、資料集、ネット上で公開されているファンタジー世界の作り方を解説したものなど…
「調査」と「参考」は、いわゆる「リファレンス」元となります。この世界観を創り出すことだけではなく、イラスト制作・楽曲制作・デザイン制作についても、クリエイターの方々は最初からとても高いクオリティの作品を出せるわけではありません。
やりたいことをやるために「見て参考にする」技術を身に付け、毎日のようにこなすんです。
“誰もが最初は「初心者」であり、成長する人は「正しい工程の上で」「やりたいことを明確にして」「見て参考にすること」を習慣にしている”
高いクオリティの作品を「見て参考にする」ことを沢山やる人ほど、次々と成長し、素晴らしい作品を生み出している印象です。
逆にリファレンス元が無いと、「高いクオリティの程度」が分からずに右往左往し、自分でも何か納得がいかない作品になってしまうことが殆どです。
「調査」と「参考」を沢山細かく取り、正しい「工程」をしっかり踏む。とはいえ、これは私個人の見解であり、絶対正しいというわけではありません。人によっては、他の方法や工程が合う、という方もいます。
少なくとも、私はこの方法を循環させることで、作品の制作においてはクオリティを上げ続けることができていました。
ゲームの企画、世界観の構築でも、これは通ずるところがあるのではないかと思います。
10、最後に
さて、長くなりましたが今回は「世界観を考えるときにしていること」をテーマにして、実際に現場でどう考えているかを解説しました。(また、前回よりも長い…合計30000文字という長文になってしまいましたが)
何かしらの参考になれましたら、嬉しい限りです。
次回は「ゲームの企画書・仕様書を作るときにしていること」について解説する予定で、VRChat上でも「ゲームプランナー講演#3」として、来月開催しようと思っております。是非楽しみにお待ちいただければと思います。
というわけで、次回もお楽しみに。
Game Planner <DRIVE.>
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