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#ショートショート
掌編「歪なクッション」
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星語《ホシガタ》掌編集*11葉目
(3355字/読み切り)
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チクチクチク、チクタクチク…。
気づけば、どこかの寒々しい暗闇の中、肩にショールもかけず、小さな蝋燭の灯りに目を凝らしながら、───何かを必死で縫っていた。やたらとちいさな…10㎝あるかないか。ぐらいのなにか。
今様色…?紅色…?いや、もっと彩度が高い……猩々緋《しょうじょうひ》色…?の何か、一部が丸かっ
掌編「鳩目町仕様ネイビーモデル67」
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星語《ホシガタ》掌編集*8葉目
(2662字/読み切り/挿絵付)
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陽炎の中、ゆらり、青い屋根連なる白ばんだちいさな町、霞んで揺れた。
──ここはどこだ?
これは残像?それとも────
ふと気づくと、わたしは、光の爆発の中、坂の上から遠く水平線が見渡せる、どこかの町の只中に突っ立って、ノースリーブのワンピースをなびかせ、眼下に広がる青を見ていた。
照
掌編「そんなところも?どんなところも」
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星語《ホシガタ》掌編集*7葉目
(1143字/読み切り)
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「なに読んでるの?」
色の薄い板張りのダイニングに、東からの白い光。くっきりと窓の影が描きだされていた。今日の空は何色だろう。
継ぎの当たった二人掛けソファから巨体をはみ出し寝そべりながら、日曜の朝からスマホをだらだらと読み耽る、わたしの………恋人?いやなんかもうそういうのではない。家族?腐れ縁
掌編「畜生。月が綺麗だな!」
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星語《ホシガタ》掌編集*1葉目
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”言の葉国《ことのようこく》”
南南西の方角の雲の中にある人口9人の小さな国。
——いかにも耳触りのいい国の名前に騙されてやってきた、俺は詩人。
藤月《ふじつき》程前からこの"国家"に配属された、職業詩人だ。
俺は”募集”を見つけた時、てっきり笛を吹いて大地とともにゆうらりと暮らせるものだと思って志願した。詩人たるもの働いたら負け