日本の高校生、海外への意識格差、鮮明に。
昨日は北海道の十勝の高校に行ってきた。依頼の内容は、生徒の海外意識を醸成して欲しいというもので、ワールドワンダーと言うイベントを実施。
正確にいうと当社のスタッフたちが、行ってきてくれた。
去年も同校で行い好評だったもの。リピートオーダーは嬉しい。しかし、この活動を通じて毎回アンケートを取るのだが、それを通じて、日本国内でも海外意識に大きな格差が生じていることが明確になった。
今日はその事実と解決法を提案したいと思う。
世界に興味を持たせるメカニズム
何をすれば、海外への意識が高まるのか。
何をすれば「世界から進路を選ぶ」様になるのか?
実は自分たちはそのやり方を知っている。って偉そうに言ってるが、実は、そんなに難しい話しじゃない。
そのやり方とは、海外に行った人のロールモデルに会わせるのだ。それも、歳離れたおっさんではなく、年齢の近い先輩に。
海外も上京もメカニズムは同じ
十勝の高校生にとっては、上京するのと海外に行くのは地元を出ると言う意味ではそう大きく変わらないと思う。しかし、十勝から東京の大学に進む人は一定数いるが、海外に出る人はさほどいない。
何が違うのか?
理由はひとつではないが、根本は、出会いであり情報の量、だと思う。
東京に行って地元に帰ってきた友達や親戚。東京から転勤できている方であれば、日本の郊外でも会う機会はあるかもしれない。しかし、海外で留学をして十勝で働いて活躍している人、となると、殆どいない。
海外の話しは、テレビやYOUTUBEなどのメディアからでしか聞く機会がない、というのが現状だ。
出会う機会も、情報もなければ、地元の人からすれば異国は異国のままだ。海外への意識や留学したいという思いは育めない。
海外意識の格差、鮮明に。
一方で東京の高校生はどうか?日本では1990年代から2000年代にかけて海外に留学する人が増えた。
中国や韓国などは海外に留学したら、そのまま居座る人が多いが、日本人の多くは日本に帰国する。
その理由はさておき、留学して海外で学んだ日本人の多くは中心地、つまり日本で言えば東京に仕事を求める。やれ外資系金融やコンサルタント、ネームバリューのある一流企業で働きたがる。
それはそうだ。留学したのは少しでも世界で活躍したいからだ。また、高い留学費用、奨学金を返済するには高い給料を出してくれる仕事に就く必要がある。都心に人が集まるのは必然のことだ。
人はお金と情報のあるところに集まる。そういう社会の構造が、結果として地方と都心の「海外意識の差」を生んでしまうのだ。
ロールモデルに会う機会を増やす
という訳で、私たちは日本の高校にワールドワンダーというイベントを実施している。
目的は高校生がロールモデルに会う機会をつくること。北米やヨーロッパ、アジアに留学した人。学校によっては国内でも地元から出て違う地域の大学に進学した人をパネリストとして呼んで話しを聞かせる。
数字で見るロールモデルと会うことでの意識変化
去年からはじめたこのイベントだが東京の高校、宇都宮、仙台などなどのべ10校程度は実施してきたがその効果はてき面だ。
しかし、複数校やってきたからこそ、その格差に驚く。
以下は2つの高校での事例だ。
東京都の私立高校の事例
上のグラフを見てもらいたい。昨年行った東京都の私立高校でのワールドワンダー。海外に興味はあるかという質問に対して、左がイベント前、右がイベント後の結果だ。
イベント前から留学に興味があった生徒は25人いたが、イベント後にはこの数が54人にまで増えている。また興味がないという生徒10名もイベント終了後には0人に。
北海道の私立高校の事例
北海道でも同じように、海外への興味が醸成できている。
もともと「もっとも興味がある」生徒は26人だったものに対して44人に。
「興味がない」と答えた生徒も133名いたものが70名に。
つまり、出会い、価値観の共有、憧れ、こういった感覚を生徒に持たせれば海外への興味も育つ事が証明された、という訳だ。
地方格差も鮮明に
しかしこのイベントの成果もさることながら驚いたことは東京と地方との、海外への興味の度合いの格差だ。
イベント前の「最も興味がある」と答えた人の割合の差は以下の通り。
東京(北区):99名中26名→26.3%
北海道(十勝):309名中26名→8.4%
もちろん、受講した生徒の数や、コース編成なども異なるが、大きな差が見られる。ちなみにこの傾向は他の高校でも同様に見て取れ、地方に行けば行くほど海外への興味は薄くなる。
ワールドワンダーを日本中に届けたい
自分はこの活動は日本社会のためになると思っている。
もっと言うと、やらないとダメだと思う。
この時代において、狭い社会だけしか知らないで人生を終えることがハッピーだとは自分には思えない。
とりわけ、時代の流れは速く、海外との移動や交流が盛んになっている今。
日本だけ、地方に生まれた子供たちだけが世界に取り残されてはいけないと思うのだ。
東京で起きたことは数年度に地方に拡が……らない
仕事がら、いろいろな校長先生と話をする機会がある。
教育の世界では良く「東京で起きた事は、地方でも数年後に起こる」なんて話を良くする。
確かにそういう事は多いのは事実だと思う。
でもこの海外意識の格差については、そもそもの格差の原因が原因だけにほっておいたら地方との差はドンドンひろがっていくと思う。前述したように留学した人は皆、中心地で働くからだ。
つまり、このままほっておいたら地方はどんどん世界から取り残されていく未来しかない。
離れ小島に生まれた日本人が、東京を知らずに離れ小島だけで人生を終えるのか?それとも、東京や大阪などの都心を知り、海外を知った上で、自分の人生を決めるのか?考える機会を提供したい。
という訳で、学校の先生方、自治体の方々。必要であれば、ぜひお声掛けください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?