「自由」なウツボと「自由」な魚
ウツボがいた。そのウツボは小さい時から、奥底に沈んでいた小さなトンネルが大のお気に入りだった。餌は待っていれば目の前を横切るし、食に困ることもない。住処はここにずっといれば良い。なんと楽なことか。そう考え、ある程度大きくなってからはずっとそこにいた。小さい時こそ外の世界にも興味があり、住処の周りを冒険したりもしたもののそこまで大きな発見もなかった。それなら自分が落ち着く場所にいれば良いのではないか、という結論に至ったのだ。
しかし生活していくうちに(ウツボ本人からすれば大した