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#逆翻訳ハヤブサ ロングフォーム(みじかめ) その①
私が大好き、逆翻訳ハヤブサのお時間です。
逆翻訳は翻訳作業の一種で、英語だと「バックトランスレーション」と言います。
バックトランスレーション(逆翻訳)とは、翻訳された文書を、元の言語に翻訳し直す作業です。 例えば、英語の原稿を日本語に翻訳した場合、別の翻訳者が日本語の訳文から英語への翻訳を再び行うものです。 このとき、英語の原文を見ずに英訳し、原文と翻訳し直した文を比較することによって、訳文の精度を客観的に検証することができます。
この逆翻訳の仕組みを、日本語の中だけで遊んでみようというのがハヤブサの主旨です。日本語だけで翻訳作業的な楽しみを堪能するために、小説→短歌→小説……、とフォーマット越境をします。
字数制限のある短歌の翻訳が間に挟まることで、情報が意図的に落とされます。その落ちた情報を元に、次の小説を逆翻訳しなければなりません。
残す情報を取捨選択したり、反対に、書かれなかった情報の余白を読み取って復元したり。高い精度を目指しながら、どうしても生まれてしまうエラーを楽しむ。それが逆翻訳ハヤブサ。「ハヤブサ」は語感で決めたので、深い意味はありません。
ハヤブサの遊び方(ハヤブサロングフォーム ver)
① ものずきが4人あつまる
② 1人目が小説を書く
③ 2人目は1人目の小説をみて、小説→短歌に翻訳
④ 3人目は2人目の短歌だけみて短歌→小説に逆翻訳
⑤ 4人目が3人目の小説だけみて小説→短歌に逆翻訳
⑥ 最後によってたかってできあがりをたのしむ
今回は、小説→短歌→小説→短歌 と2ループ繰り返すロングフォームVer。
さらに「小説は140文字前後」「原作小説はひとりめが書く」としました。他にも、以下の名詞縛りルールを適用しました。
◎短歌を翻訳するとき・小説を逆翻訳するときのルール
・翻訳短歌を書くとき、原作小説タイトルの名詞を使わないこと
・翻訳短歌を書くときに使用する名詞は、原作小説内の名詞だけを使うこと
・逆翻訳戯曲を書くときに使用する名詞は、翻訳短歌内の名詞を使わないこと
さっそくハヤブサロングフォームで遊んでみる
あつまったものずき
作成順もこの順番です。
1人目 じゅんき(ウィスキーが飲める)
2人目 てづかっちょ(チーズナンはひとりで食べきれない)
3人目 えこ(イルカが好き)
4人目 りっか(マトンカレー一択)
さてここから1→2→3→4と、時系列にできたものを紹介してもいいのですが、今回は敢えて、後ろから。それぞれの小説や短歌を読んで
「これはどんな小説や短歌を元に書かれたものなんだろう?」
と考えながら、読んでいただけたら幸いです。
ハヤブサスタート!
4人目りっかが、3人目えこの小説を読んで、逆翻訳した短歌。
コンドーム窓から捨てろコンドーム馬鹿ねと笑う妻になるもの
↑この短歌の元になった小説が、こちら↓
3人目えこが、2人目てづかっちょの短歌を読んで、逆翻訳した小説。
今思えば愚かのひと言に尽きるが、童貞を卒業した夜、僕はパニックになった。使い終えたコンドームの中には、先ほど吐き出した精子がぷよぷよと泳いでいたものだから、口を結んで思わず外へ放り投げてしまったのだ。
もしかしたら命になる予定だった、夥しい数の僕の分身。少し悲しい気持ちになりながら、窓から捨てたんだ、と話すと、妻になる予定の女性は「ばかね」と笑った。
↑この小説の元になった短歌が、こちら↓
2人目てづかっちょが、1人目じゅんきの小説を読んで、翻訳した短歌。
初めての
その温もりを
にぎりしめ
壁から放ち
さよならまたね
↑この短歌の元になった小説が、こちら↓
1人目じゅんきが書いた小説。(=原作小説)
壁から手が生えてきた。水をやると喜んでいたので、初めはこどもの手のようだったが、毎日あげているうち、成人の女性の手になった。これ以上家に置いておくには難しい。「ごめんな」野に放つため、初めて手をにぎった。温もりだけは忘れまい。そう思って裏の庭にそっと腕を放った。「バイバイ」
できあがりをたのしむ
リアルタイムで感想を言い合った上に記録を取っていないので、以下はうろ覚えです。
「ぬくもり」が「精子」になっちゃうのはもうこれは、仕方ないでしょ?
貴重な31文字の内10文字を「コンドーム」に費やしているのは何故。
それはね、「松島や」方式だよ。
原作がこういう話だとは夢にも思わなかったなー!
まとめながら4人目が思ったこと
「壁から手を引っこ抜く」という動作が短歌で「壁から放ち」に翻訳されました。しかし、小説は短歌内の名詞が使えません。
そのため次の小説で「壁」という言葉が使用禁止になって3人目では「窓から」になった。ここの変遷がリアル翻訳作業っぽくて、私はとってもお気に入りです。
翻訳者が重要だと思って小説から拾って短歌に使った単語を、次の逆翻訳小説の書き手は使うことができないというところが、このハヤブサという遊びのミソ。
使わなければ、伝えられない。
しかし、使ってしまえば、繋げられない。
翻訳にもその国ならではの単語があり、その「使うべき」と「繋げられない」の板挟みでどのように翻訳をしていくか、訳者の腕の見せ所だったりします。
この4人で作ったものが他にもあるので、随時更新します。
過去のハヤブサシリーズもぜひご覧ください。
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