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ありふれた日常から、寝たきりが始まります。

きっかけは些細なことから始まります。どんなことがきっかけで寝たきりになるのか。

寝たきりの原因として、よく耳にするのは『転倒』。年齢が高くなってくると『転倒』は歩行能力を低下させる大きな要因の一つ、また骨折の原因となる1番のリスク。そこで『転倒しないように気をつけてね』『次、こけると歩けなくなるよ!寝たきりになるよ!』とお医者さんやご家族から、心配のあまりに脅し!?がかかります。

しかし、" 転倒 "は些細なことではなく、大きなアクシデント!もっともっと、ありふれた日常の中で寝たきりのスタートをきることにがあります

その典型的な原因のひとつとして『 風邪 』があります。” 体調が悪い ”からといって、2、3日横になってしまったところから一気に加速し始めます。とくに80歳を超えると、加齢のため体力が低下しているため、”安静”という状態が身体機能に対して悪さをし、より体力の低下による身体機能の低下を助長し、動くことを億劫にさせることになります。

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この体力低下、動くことが億劫になることから寝たきりが始まります。少し動くと、息切れがする膝や腰が痛む歩くとフラつく頭がぼーっとする目眩がするなど、このような症状を体調不良の延長線上の病気と思い込んでしまい、本人はもちろん、ご家族などが用心してまだ体調が良くないから休んだほうが良い」と動かないような環境になってしまうことが寝たきりの始まりになるのです。そこから、一気に下り坂になって寝たきりへ転がっていきます。

ここ1、2年の寝たきりの原因は、1位は脳卒中、2位 認知症、3位 高齢による衰弱、4位 骨折、5位 関節疾患になります。ちなみに、2019年の死因の原因は1位 がん、2位 心疾患(高血圧症を除く)、3位 老衰、4位 脳卒中、5位 肺炎になっています。(寝たきりの原因と死因は同じではないのです!!)

寝たきりには、進行性の病などを患ったケースと『えっ!こんなことで!?』というケースとがあるのです。

寝たきりの原因をみてわかるように、病気や怪我を予防することと、寝たきりのきっかけを作らないようにしていくことで寝たきりを遠ざけることができるんです。『歳だから仕方がない』と動くことを諦めると寝たきりへ。諦めるのではなく、『歳だから、しんどくなるのは当たり前!できることをやろう』と適度な受容が必要。この受容がすごく大事です。それが動ける幸せを掴み続ける極意と、今まで関わってきた患者さん、ご利用者さんから教えていただいたことです。

「よし!わかった!」としっかりと意志を持って体を動かそうとする方、「体調が悪いのに大丈夫なの、これ以上悪くならないの」「どんなふうにしたらいいのか、方法がわからない」と不安で自ら動くことを控える方、「仕方がない」と諦めている方など、当事者の皆さんはそれぞれ感じていることが違います。

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ただ、どんな方でも、このような状況から寝たきりになりそうな方には、動く環境を整えることが重要なのです。それぞれの専門家の視点で、動く環境を整える・・・「できることを維持する」「”できること”を”していること”に変えていく」ため、ご家族を含めたサポーター集団が必要なのです。

人は、動くことで心身ともに健康維持できるようになっています。動くさじ加減が人によって異なり、過剰になると、病気を引き起こしたり、怪我したり、痛くなったり、精神的に落ち込んだりします。人によって状況が異なるので判断が難しいのです。

” たかが風邪 ”と思って油断をしたら大変なことが起こります。"ちょっとしたこと"と思いがちなところから、寝たきりのきっかけが始まっていくこと、”億劫”と思ったら、より意識して動くようにすることが寝たきりを予防することにつながります。ご本人、そばにいるご家族も気持ちが辛くなると思いますが、その時だけは少しだけ頑張ってほしいと思います。