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【衆議院選挙2021】与野党9党をペット関連政策で比較

10月31日に衆院選の投票が行われますが、どの政党、候補者に投票すればいいのか決め手に欠いている方も少なくないはず。そこで与野党9党が犬猫のことをどれだけ考えてくれているか政策で比較してみました。動物が好きな皆さんの参考になれば幸いです。

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比較条件

対象とする政党は、「自民党」「公明党」「立憲民主党」「共産党」「日本維新の会」「国民民主党」「社民党」「れいわ新選組」「NHK党」の9党です。

比較するのは各党が党公式サイトに公開している以下の「政権公約」「政策集」の中から、コンパニオンアニマルに関するものを対象としています。

・自民党:政権公約2021」「総合政策集2021
・公明党:衆院選政策集
・立憲民主党:政策集2021
・共産党:2021総選挙/各分野政策
・日本維新の会:政策提言 維新八策 2021
・国民民主党:政策パンフレット
・社民党:2021年衆議院総選挙公約
・れいわ新選組:2021年衆議院選挙マニフェスト
・NHK党:基本政策

なお、今回の内容は個人でまとめたものですので、情報に誤りや抜け漏れがあるかもしれません。その場合はTwitterInstagramのDMでご連絡いただけますと幸いです。

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ペット関連政策の有無

最初に、政策や公約の中でペットについて言及していたのは以下の6党です。

ペットの政策を考えている政党
自民党、公明党、立憲民主党、共産党、日本維新の会、れいわ新選組

ペットの政策を考えていない政党
国民民主党、社民党、NHK党

政策が特化している「NHK党」は別として、「国民民主党」「社民党」が言及していないのは残念です。

殺処分問題への言及

殺処分問題や譲渡促進について言及していたのは6党中5党で、「立憲民主党」だけ殺処分問題への直接の言及はありませんでした。

自民党
保護犬猫の譲渡促進等により殺処分ゼロを目指す
愛護動物の不適切な飼育をなくす
動物取扱業への適切な監視、指導
犬猫へのマイクロチップ装着による情報管理
保護団体や業界関係者が譲渡促進に関われる枠組みづくり

公明党
犬猫の殺処分ゼロをめざし譲渡を推進する

共産党
ペットの殺処分を減らし、人と動物が共生する社会を目指す
殺処分を減らすためには終生飼育が基本
里親を探すなど譲渡する数を増やすことが重要
政府が市町村による動物との共生の地域ビジョンの作成を支援
不妊手術への助成制度の創設
譲渡促進の支援

日本維新の会
保護犬・保護猫の譲渡会の活性化等を推進
譲渡困難のケースを殺処分にカウントせず「ゼロ」を偽る自治体が発生している
殺処分の定義を厳格に見直し、動物殺処分をゼロに近づける取り組みを強化

れいわ新選組
命の期限のない公的シェルターを全国各地に設置し、公務員としての専門家を常駐
ペットショップでの生体販売を禁止

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殺処分ゼロを目指すかどうか

殺処分問題の捉え方の違いとして、「自民党」「公明党」「れいわ新選組」の3党が「殺処分ゼロ」を掲げているのに対し、共産党は「殺処分を減らす」にとどめ、日本維新の会も「殺処分をゼロに近づける」としています。キャッチーに「殺処分ゼロ」を使うのではなく、現実的な政策を考えようとする姿勢は好感が持てます。

殺処分問題をどう解決するか

自民党:殺処分ゼロを目指す方法として、「人が動物と共に暮す社会を創出」「不適切な飼育をなくす」「不適切な動物取扱業への対応強化」「マイクロチップ装着」「保護犬猫の譲渡促進」を挙げています。良くも悪くも教科書的な模範解答で、熱は感じられません。

公明党:殺処分ゼロを目指す方法は「譲渡推進」らしいです。その前に「動物取扱業の適正化を図る」とも書いてはありますが、殺処分ゼロは譲渡によって達成できると考えているようです。それは無理でしょう。

共産党:殺処分を減らす方法として、「なによりも飼い主の責任として、終生飼育が基本」としています。基本なのはその通りですが、それだけでは無理です。動物愛護管理法の改正についても詳しく解説してありますが、共産党として何をすべきだと考えているのかわかりにくいのが残念なところです。

日本維新の会:殺処分ゼロが数字だけ独り歩きしてしまう弊害を挙げています。しっかり現場の声を聞き、勉強されている先生がいるのだと思いますが、「殺処分をゼロに近づける取り組み」が具体的に何なのかは書かれていません。一応、「譲渡会の活性化等を推進」とも書かれていますが、それだけでゼロに近づけることはできません。

れいわ新選組:殺処分ゼロを目指す方法として、「命の期限のない公的シェルターを全国各地に設置」とあります。ティアハイムのような民間施設ではなく、運用は公務員がするそうなので殺処分しない愛護センターということでしょうか。殺処分しなければゼロは達成できますが、税金を使って犬猫を無限に飼養し続けるのは非現実的です。

だからこそ、「ペットショップでの生体販売を禁止」して供給源を限定していく考えなのでしょう。方向性としてはありですが、業界で働いている人たちの雇用はどうするのでしょうか。保護団体や活動家の皆さんが理想として「生体販売の禁止」を掲げるのは理解できるのですが、政党がマニフェストとして掲げるのは無責任な印象です。

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動物虐待への言及

最近、特に温度感が高まっている分野です。動物虐待は動物の問題に限定されず、最終的にターゲットが人間になるという根深い問題でもあります。しかし、この問題について言及していたのは「自民党」「公明党」「立憲民主党」「共産党」「日本維新の会」の5党でした。

自民党:​​「愛護動物の虐待を無くす」

公明党:「動物虐待防止の取り組みを着実に進める」

立憲民主党:動物虐待に重点を置いているらしく「虐待行為に対する罰則の強化」「アニマルポリスの設置」、そして「所有権はく奪」と「緊急一時保護」制度の創設を検討と「虐待飼育下にある学校飼育動物の救済」を挙げ、他の党と比べるとかなり突っ込んだ政策になっています。

共産党:改正動物愛護法の罰則強化について解説されていましたが、共産党としての政策はよくわかりませんでした。

日本維新の会:「虐待を監視するアニマルポリスを創設」

動物虐待に関しては「立憲民主党」と「日本維新の会」が一歩踏み込んで言及している印象でした。アニマルポリスや所有権のはく奪は、権力や権利が関わってくる問題でもあります。他の党が慎重になるのは仕方ないと思いつつも、早急に議論を深めてもらいたいです。

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避難についての言及

ペットの避難について言及していたのは「自民党」「公明党」「立憲民主党」「共産党」「日本維新の会」の5党でした。自民、公明、立憲、維新は「同行避難」で、共産だけ「同伴避難」でした。同行か同伴かで差が出ましたが、どちらが良いかは議論の余地があります。まずは災害発生時に混乱しないルール、体制づくりを急いでもらいたいです。

動物関連政策への言及

公明党だけ動物看護師について言及していましたが、業界の絡みでしょうか。畜産動物の福祉向上について言及していたのは「公明党」「立憲民主党」「共産党」「れいわ新選組」の4党でした。実験動物については「立憲民主党」と「共産党」が言及していました。

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まとめ

各党の政策をペット視点で見てみると、熱心に考えているなと思えたのは「共産党」と「日本維新の会」、ちゃんと考えているなと思えたのは「自民党」と「公明党」でした。ただ、「共産党」は野党視点で解説している感が強く、党としての主体性が見えにくかったのが残念です。

「立憲民主党」はちゃんと考えているようで殺処分問題には言及せず、動物虐待はしっかり言及しているところからアンバランスな印象を受けました。動物の項目が後から追加された経緯もあり、まとめきれなかったのかもしれません。「れいわ新選組」はアイデアベースで政策に落とし込めていない印象でした。

期日前投票はもう始まっていますが、投票日は30日です。どの党に投票するか、誰に投票するか、ペット視点での政策比較が参考になれば幸いです。

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