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佐藤寿人の眠りを妨げた、恐るべき重圧。「あの一週間、生きた心地がしなかった」

本特集企画「決戦前夜~眠れない夜の裏話~」では、アスリートやスポーツ指導者などの「決戦前夜」に迫ります。第4回のゲストは、元サッカー日本代表、2022ワールドカップでは現地取材でも活躍する佐藤寿人さんです。

前回の記事では「眠ることを苦にしたことはない」と語るほど、安眠できる体質だったという寿人さん。そんな寿人さんでも、現役時代に経験した「ある一週間」では外に出ることすら億劫になるほどプレッシャーを感じ、寝る際にも心が休まらなかったようです。

その一週間とは何か? 

21年間もの長期に渡って現役生活を続けられた秘訣についても伺いました。

(インタビュー:澤山モッツァレラ)

あの一週間は、生きた心地がしなかった。 

サンフレッチェ広島では、2012年にJ1リーグで初優勝することができました。もっとも、優勝が決まるまでの一週間は、生きた心地がしなかったですね。後にも先にも、あれほどのプレッシャーを感じたことはありませんでした。

ホーム最終戦となるセレッソ大阪戦で、自分たちが勝って2位のベガルタ仙台が負ければ優勝が決まる状況。周囲の様子も、普段とは異なりました。試合前の一週間は、行く先々で「優勝してくださいね!」って声を掛けられるんです。本来ならうれしいことなんですが、その時は重圧を感じてしまいました。

僕の妻も、いろんな場所で「頑張ってください!」って言われたそうで(笑)。あの一週間だけは、人に会うのがストレスになりましたね。なるべく、外に出歩かないようにしていました。寝る時にも、心が休まる状況ではなかったです。

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長く広島でプレーしていた選手たちも、特にプレッシャーを感じていたと思います。カズ(森崎和幸、現サンフレッチェ広島クラブリレーションズマネージャー)、コウジ(森崎浩司、現同アンバサダー)もそう。彼らは下部組織からプロになって、「優勝できない広島」というイメージと戦ってきたと思いますから。

ミハエル・ミキッチ(引退)だけは、クロアチアでリーグタイトル経験を持っていました。でも、勝者のメンタリティが備わっているようなチームではなかったですね。むしろ、「皆で、初めての景色を見に行こうぜ!」という感覚でした。

開き直っている部分もあったと思います。セレッソ戦の前節で浦和レッズに敗れたのですが、それでも自力優勝の可能性は残っていました。「残り2試合勝って、自力で優勝を決めよう」というムードはあったので。浦和戦の負けを引きずっていたら、違った結果になっていたと思います。


あえて、試合前のルーティンを作らなかった理由。 

僕は基本的にポジティブですし、試合前はいつもゴールを決めたりカップを掲げるシーンを想像してから臨んでいます。でも、あの時は「もし勝てなかったら」というネガティブな感情が出てきました。それを押し殺すのは、すごく大変でしたね。

プレッシャーをコントロールするために、試合前のルーティンをやる選手もいると思います。ですが、僕は「これを絶対やる」というものはあえて作りませんでした。

例えば、試合前に何かを食べたり飲んだりすると決めたとしても、環境が変われば常に実行できるとは限りませんよね。実行できなかった時に不安になるくらいなら、ルーティンを作らないほうがいいと思ったんです。

唯一、ゲン担ぎでやっていたのは利き足である「左足からピッチに入る」ですね。ピッチに入ってからは芝生に手で触れて、「今日も、ケガのないようにお願いします」と願掛けをしていました。

右足から入った試合は、覚えていませんね。多分なかったと思います。もしあったとしたら、集中できてないってことなので(笑)。

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体重を増やしたことで、「スーパーゴール」が増えた

現役時代はシーズンを棒に振るようなケガこそなかったですが、2010年9月から2カ月ほど負傷離脱を経験しました。試合中に芝生に足を取られて、肩から落ちてしまったんです。30歳手前で、初めてのケガらしいケガでした。

ただ、結果的にはこの2カ月があったから、コンディショニングをさらに意識できるようになりました。キャリアを長く続ける上で、あの時期に自分を見つめ直せたことは良いきっかけになったと思います。

2011年のシーズンが始まる前は、チームのトレーナーや若手と一緒にアメリカのトレーニング施設を訪れました。自分のフィジカルを作り直し、走り方など基本から見直してもらったんですね。フィジカル要素を向上できましたし、ケアの部分も見直せました。ケガをきっかけに、よりアンテナを高く張ることができたと思います。こうやって毎年、自分の状態を確認しながらアップデートできれば、良いキャリアを歩めるのかなと思います。

2012年に優勝し、得点王とMVPを取った時の体重は71キロでした。海外の選手でいうなら、セルヒオ・アグエロ(アルゼンチン代表)のような体格だったと思います。体重を増やした上で大きな変化を感じたのは、「バランスを崩した際でも」思うようにプレーできるようになったことですね。それまではバランスが崩れると、プレーの軸までずれる傾向がありました。

2012年くらいからは、見栄えがある、いわゆるスーパーゴールと呼ばれるようなプレーが増えました。2013年ゼロックス杯・柏戦での先制ゴール、(プスカシュ杯にノミネートされた)2014年J1の川崎戦でのループシュートのような得点が増えたのは、フィジカル要素の向上が理由だったと思います。

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意外とアスリートの体を蝕む“あの”習慣

21年も現役生活を続けられたのは、間違いなくケガの少なさだと思っています。若い選手は特に、コンディションを崩すことなくキャリアを歩んでほしいですね。そのためには、日頃から身体の状態を把握し、ケアの仕方を理解することが大事です。睡眠は、もちろん大きな要素ですね。

それ以外にも、例えばクルマの運転姿勢に気を配るのも大事です。サッカー選手は、自家用車でトレーニング場に向かうことも多いと思います。広島時代に通った吉田サッカー公園は、市内からかなりの距離がありました。

悪い姿勢で運転を続ければ、若い頃は平気であっても、徐々に身体の歪みに繋がります。身体の歪みはケガの原因になりますし、疲労も蓄積されていくと思います。毎日のように行なうことなので、運転時の姿勢もコンディショニングの一環として捉える必要があるでしょう。

もっとも、今の若い選手は情報を多く持っていて、自立している選手が多いように感じます。キャリアの歩み方も、よく考えていると思いますね。楽しいことは楽しいこととして、それをいつやるのか。きちんと住み分けできている選手が多いと思います。

昔は……相当大変な話も聞きました(笑)。それこそ、対戦相手が麻雀をやっていたとか。広島に来たアウェーチームが、試合前日の深夜まで麻雀をやってたとか。「(試合は)ナイターだから、昼は12時ぐらいまで寝てられるな」と話してたとかね。そりゃ、そんな相手に負けるわけにはいかないですね(笑)。

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現役時代は、1日トータルで7~8時間眠っていました。シエスタ(昼寝)も必ず取っていましたね。昼寝をすると夜に眠れなくなる選手もいましたが、僕はそんなこと全くなく(笑)。

お風呂も好きで、真夏であってもバスタブに必ず浸かります。入浴することで、睡眠のスイッチをオンにできる感覚がありました。現役引退した今でも、5歳の三男と一緒にお風呂に入っていますよ。「今日はこっちの入浴剤を使おうね」って、一緒に選ぶのも楽しいです。

眠る際は、高反発のマットレスを好んで使っています。ライズTOKYOのスリープオアシスは三つ折りで、メンテナンスもしやすくてありがたいですね。寝汗をかいたら畳んで外して、日干ししたりスプレーを掛けたりしています。中3の次男が汗かきなのですが、彼も満足して使ってくれているようです。

眠りや休息の質はアスリートにとってとても重要だと思います。僕は現役を退きましたが、若い選手にはしっかりとこだわってもらいたいですね。

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