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満月下の19ふたり

今日のバイトは、「今晩はラーメン食べに行こう…!」とばかり考えていた
夏の大セールの余韻が残る店内で、セールのタグを取りながら。

18時
やっと、終わりだ、さぁっ、行こう!

「お疲れ様です。お先に失礼します。」
爽やかに挨拶しながらも頭の中は、ラーメンばかり……

どこの店に行くのかも、どのメニューを頼むのかも決めていた。

19歳の女の子、おひとり様で店内に入っても別に誰も見てきやしない
のびのびと気分がいい

「鶏白湯ラーメン」これこれ!!
前、食べた時美味しかったやつ!

「えぇっと…この、”とりはく…ユ”?ラーメンください…」

「あぁ、”とりぱいたん”ですね」

入ってきたときの威勢はどこへやら
ちょっと赤面して、はい、それをお願いいたします…とつぶやく。
あぁ、マスクしていてよかった。

とりぱいたん!!次、頼むときは威勢よく頼もう

とか、考えていると、
テーブルの上の携帯電話が鳴った
見慣れたアイコン
仲のいい大学の友達から

「ねぇ、今ヒマ??秋吉テイクアウトしてうちで食べない??」

とのこと。

秋吉は福井県民のソウルフードともいえる人気の焼き鳥屋さん

友達「あ、今、一人ラーメン中なの…?かっこいいね~!!
明日ならって?いや~明日は無理だなぁ……」

秋吉食べたい!!
でも、ラーメン頼んじゃった……

ちらっとカウンター奥の厨房に目をやると、
店主さんが私のとりぱいたんを作り始めたとこだ。

ん~~~~~~~!!!!!!

「ねぇ、ラーメン食べてから行っていい!!?」

「お、おう、別にいいけど(笑)」

私の食い意地っぷりにちょっとウケてるのが伝わってくる

よし、きーまり!!


ラーメンを食べ終え、秋吉を注文し、買い物していた彼女を迎えに行って、秋吉取りにいって、彼女の家へ
行きなれた部屋だ

彼女の部屋に向かう車の中で、
「ねぇエクレア食べていい?溶けてきたかも」と急に言われた。

さっき買い物したときに買ったそう
「いいよ、食べね」

「あ、アンパンマンチョコも食べていい?ごめん、2つ買わんかった。
買えばよかった。」

「いいよ、大丈夫。気にせず食べね。」

彼女のしっかりしているところと
幼げな可愛いさがあるところがなんとなく好きだ

私は
エクレアと焼き鳥15本とチョコレート VS 焼き鳥5本と鶏白湯ラーメン
どちらがコレステロール高いんだろうと考えていた。
どっちもどっちかもしれない

あれ~~そういえば、2人ともダイエット中じゃなかったかなぁ。


今夜は満月で、車の中で彼女は月の写真を撮りたがっていた。

「ほら、今、綺麗に前に見えるじゃん。今撮れるんじゃない?」
「ガラス越しじゃなくて、ちゃんと撮りたいの」と彼女が言った。

”月が綺麗ですね”

そう伝えれる人は2人とも居ない
お互いの恋愛事情はもう把握済み

「いたらいいねぇ、月が綺麗ですねって言える人」
「今、私に言えばいいじゃん。今、一緒にいるんだからさ。」

てな、会話をしたのだが、どっちがどっちのセリフだったかな。

彼女の部屋に入ると、すぐに思ったことが
散らかっているという印象
事前にその旨は聞いていたのだが…

大学のボランティア活動の一環で
一泊二日、子供たちと海に行っていたらしい

散らかっているというより、スーツケースの中を床に全部出したよう
サングラスだったり、貝殻の入った瓶だったりを見ていると、
あぁ、楽しいイベントだったのだなぁと伝わってくる

秋吉食べながら、彼女の録画したバラエティー番組を2人で観る

私はテレビをほとんど見ない人間だ
幼いころからという訳でも無く、一人暮らしを始めてから。
一人でテレビを観ていても余計に孤独を感じなんとなく観なくなった

特にバラエティー番組となると、全くといって観ない
観るとしたらごくたまに、やるせない夜の暇つぶし程度

わざわざ録画までしたバラエティー番組を
彼女と笑いながら観るのは好きだ。

別れ際に彼女は
最近、バイトの先輩と体験したというホラー話をした。

「もう!やめてよ~~今日これから一人で運転して帰んなきゃいけないのに~~。私ホラーまじで苦手!!」と、私が怖がると、

「月が綺麗ですねって言いながら帰ればいいじゃん(笑)」と彼女が言った

「わかったよ、
○○(友達の名前)に向かって言いながら帰るわ(笑)」と私は部屋を後にした。

運転しながら私はどうnoteを書こうか考え始めていた。


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