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変化を受け入れる柔らかなこころ

 今年は激動の一年だった。自分にとって何が大事かということを問われ続ける一年だった。50歳を過ぎて、ただでさえ一般的には“更年期”という時期にいる。

 私の師匠は言う。

更年期も老化のひとつ。
老化というのは、ひととして正しい過程にいるということなのだから
忌むべきものでも、抗うものでもないんだよ。
ただ正しいこととして受け入れればいい。

 その言葉を聞いて、私はハッとした。老いていく身体。それは忌むべきものではない。抗ってもいけない。それはそれとして、付き合いかたを覚えていけばいいのだと思うと、とても気が楽になったのを覚えている。

 私自身、これまで50年生きてきて、変化そのものには良いも悪いもないということを学んできた。そこに意味づけするのは自分自身であり、その後の展開によるものだ、と。

 それなのに、今年のような激動の中にあってはその変化についていけず、ただ振り回されて疲弊してしまった。器が変われば、中身が揺れるのは当たり前だ。しかしその波はいつか凪ぐ。

 この一年間を振り返って、10大ニュース的なことを考えた時、私は大変なこと(苦労したこと)ばかりを想起した。たとえば、休職したことや退職を決意したことなど。でも、それって本当に悪いことばかりだったのかな。「仕事を辞めたい」とちゃんと言えたこと、それは悪いことなんだろうか。そう捉えなおしてみることにした。荒波に翻弄されて忘れかけていた学び。

変化そのものには良いも悪いもない。
それは流れの中のひとつであり、その後の展開次第だ。

 年末になって、ようやく私はそれを思い出した。ただそれを受け入れればいい、と言った師匠の言葉も。

 変化は忌むべきものではない。受け入れ、付き合っていくべきものなのだ。それを思い出せるくらいの柔軟性を、自分のこころが取り戻したのだと思うと、悪くない年の瀬だと思う。


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