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小さくて大きな一歩

 私は打たれ弱い。見た目は図太そうなのだけれど、自分の中にいる小さくて幼い自分をできるだけ人に見せないようにして生きている。それだけのちっぽけな人間だ。

 だからいま考えているビジネスプランも「えっへん!」と自信満々なところがありつつ、いざ外に出した時に“誰かに嗤われたら、もう立ち直れない”なんてことも同時に感じていたりする。

 自分の思いを他人がどう思うかなんてコントロールのしようがないし、外に出さない限り知りようがないってこと、頭では分かっているのだけれど、自分が傷つくかもしれないリスクを考えるだけで足がすくんでしまう。弱っちいなぁ、自分。

 全然、領域の異なる人たちに「今、こんなこと考えているんですよ~」とかいうのは平気。だって彼らは「ふうん」って感じで、詳細がイメージできないから、たとえ一般論でもって多少ディスられたとしても、私の心にクリーンヒットしない。
 要は“顧客になり得る人に「そんなもん、ただの絵に描いた餅だよ」と笑い飛ばされること”が恐ろしいのだ。

 とはいえ、5月に入ったのだし、そろそろ動き出さないとなぁ…と思っていた。ビジネスプランもほぼ7~8割くらい出来てきたし、あとの1~2割は市場に出してみて、頭の中と現実をすり合わせていく時期に入ってきているのだ。

 まずは知り合いの顧客候補のところに行って、自分の頭の中をさらけ出して、相手にもぶっちゃけ話を聞かせてもらって、実際の顧客ニーズをつかみたい。それをもとにプランに微調整をかけていきたい。
 そう思いつつ、こわくて電話をかける気になれない。「明日、電話しよう」という言い訳を探している。長い付き合いの中で、相手が私の言うことを嗤うような性格の人ではないことが分かっているのにビビっている。ほんと情けない。こんなんで起業できるんか、私。

 で、とうとう他のことをしていても、電話(でアポを取ること)が気になって仕方がなくなってきて「ええい。こんなに他のことが進まなくなるくらいなら、電話しちまえ~」となって、今朝、ようやく電話でアポを取ることができた。相手は私がどんな話をするのか主題すら知らない。それでも「どうぞ、どうぞ」と時間を取ってくれた。

 約束の日はちょうど来月に入ってすぐくらいで、まだ少し時間がある。どんな風に話を切り出し、どんな意見をもらうか、少し整理しておきたい。とりあえず、今日はアポを取り付けた自分をほめる

 電話一本なんて他人から見れば小さな一歩だけれど、私にとってはビジネスプランを具現化するための大きな、そしてとても大切な一歩なのだ。

 退職する前は一日に何本もアポやタスクをこなしていた。だけど、それは今回のような“自ら起こしたアクション”とはちょっと種類の違うものだ。だから簡単には比べられないし、比べようもない。

 たかが一本の電話、されど一本の電話。

 ほら、朝ドラのヒロインみたいに何だかよく分かっていないけど、とにかく情熱はあって、周囲が「これは何とかしてあげたい」って思う“巻き込み型ヒロイン”っているけど、あんなタイプになれたらどれだけいいだろう…頭でっかちで不遜なんだよな、私。子どもの頃から。

 まあ、キャラだけはどうしようもないから、こんな私のままで生きていくしかないし、今までやれなかったことを今日はがんばった自分を知っているのは私くらいなんで、自分で自分をほめる。これ大事。

 


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