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【映画感想文】『ロックフィールド―伝説の音楽スタジオ』

2022年1月に公開されたドキュメンタリー映画『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』をいまさらながら観に行った。あらすじは以下公式HPをご参照いただきたい。


観に行けて良かったと感じた点を以下に綴りたい。

スタジオが農場

「ロンドンから西へ230キロ。ウェールズ、モンマス郊外の農場の中にある音楽スタジオ」と表記されるように、「ロックフィールド」はウェールズの広大な自然の中に位置する畜産農家の息子2人が、その土地を利用して始めたスタジオである。経緯については以下トレーラーと公式HPをご参照いただきたい。

このトレーラーにあるように、ブラック・サバスオジー・オズボーンは次のように語っている。(動画の23秒過ぎを参照)

We'd never been to a studio, we'd never been to a farm!(スタジオに行ったことが無かったし、農場にも行ったことが無かったんだ。)

(※筆者自ら英語を聞き取ってみたため、誤っていたらご指摘ください。)

バーミンガムの下町から来たと語るオジー・オズボーンは本編で「初めて(畜産の)馬を見た」とも語っていた。

ブラック・サバスがスタジオの建物が揺れるくらいの爆音でレコーディングを行っていたというエピソードは、周りに自然しかない農場のスタジオだからこそ許されたことであり、それがバンドの演奏スタイルへと繋がっていったのだというから面白い。

「ロックフィールド」で誕生したブラック・サバスの「Paranoid」を貼り付けたい。(1970年UK Singles Chart 最高位4位、U.S.Billboard Hot 100 最高位61位)


映画『ボヘミアン・ラプソディ』とリンク

そして、特筆すべきはクイーンである。映画『ボヘミアン・ラプソディ』でクイーンご一行がド田舎のスタジオに連れて来られ、そこで『ボヘミアン・ラプソディ』が作曲される場面は記憶に新しいが、そのスタジオこそが「ロックフィールド」なのだというから驚いた。

フレディ・マーキュリーがピアノで作曲している最中、ブライアン・メイとロジャー・テイラーはフリスビーで遊んでいたという微笑ましいエピソードもあった。

願わくば、ブライアンとロジャーによるインタビューも聴きたかったところだが、それはこの映画では叶わなかったのが少々残念であった。


クスリにハマるミュージシャン

この広大な自然で史上初の宿泊型スタジオを経営していた「ロックフィールド」だが、数カ月どころか数年かけてスタジオに滞在していたバンドも少なくなかったようだ。

その間、作曲を進めるよりも、クスリやハッパを試す日々が続いたというバンドも多数いた。スタジオの周囲には警察官が警戒巡回していたという。

ロックバンドの楽曲制作の歴史を語る上でこういったクスリの話題は切っても切れないということがよく分かった。


リアム・ギャラガーの口が悪い

オアシスのリアム・ギャラガーもインタビューに答えていた。5秒に1回「fuckin'」を口にしていたのが印象的だった。どうやらそれが口癖のようだ。

オアシスのギャラガー兄弟の仲の悪さは良く語られているが、この「ロックフィールド」でも本格的なケンカをしたというエピソードが語られていた。

しかし、昨今の音楽に関してリアム・ギャラガーから真面目な意見もあった。

「パソコンで音源を送り合う音楽制作は味気ない」

(※オフィシャルパンフレットより文章引用)

とのことだ。

「ロックフィールド」で作曲するように、スタジオにメンバーが集まり、アイデアを出しながら作曲していくスタイルを、最近はあまり取られなくなったということなのだろう。

ちなみに、私の記憶が正しければ、この音源を送ることについてリアム・ギャラガーは「fuckin' mail」と表現していた。

「ロックフィールド」で誕生したオアシスの「Wonderwall」を貼り付けたい。(1995年UK Singles Chart 最高位2位、U.S.Billboard Hot 100 最高位8位)


スタジオ目線の洋楽ドキュメンタリー映画

ここ数年、洋楽ミュージシャン自身の歴史を伝える伝記映画やドキュメンタリー映画が多数製作・発表されている。しかし、今回の映画を鑑賞して、こういったスタジオ目線で洋楽の歴史を紐解くことの重要性を感じた。

また、アビー・ロード・スタジオを題材にした映画『If These Walls Could Sing』の制作も発表されたらしい。

ポール・マッカートニーとリンダ・マッカートニーの娘、メアリー・マッカートニーが監督をするのだという。

今後、スタジオ目線の映画としてこの映画の公開にも期待したい。


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