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【本の感想】生態系を整えると環境が正常化するのか『自然を再生させたイエローストーンのオオカミたち』
昔から童話などでは必ず悪者。
家畜を襲い、時に旅人などの命も奪う。
遠吠えの声は忌み嫌われ、厚い毛皮が重宝された存在。
オオカミ。
彼らは野生的社会性を持って、群れで行動し、
人間のテリトリーで狩りを行うのもまた、怖れられる要因の1つ。
だからなのか、人々は躊躇なく命を奪い、いつしかオオカミは絶滅していった。
アメリカのイエローストーン国立公園にいたオオカミも同じ運命を辿った。つまり、人の手によって絶滅させられたのである。
『自然を再生させたイエローストーンのオオカミたち』化学同人社
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この本は、絵本として作られているけれど、大人が読んでも読み応えがある。
神秘の地とも言われるイエローストーン国立公園。この公園の生態系の頂点にいたのはオオカミだった。彼らがいなくなってからのイエローストーンは、エルクの数が増え、エルクの餌となる緑地がどんどん食べられ、緑が減ったことで他の動物が減っていったそうなのだ。
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そして、1995年のある日、追跡用の発信機をつけた14匹のオオカミがイエローストーン国立公園に再導入された。
そこからの自然の再生、再自然化という言葉をこの本では使っているが、が少しずつなされていく。オオカミの投入によってエルクの行動が変わり、緑が戻り、鳥や昆虫、ビーバーなども増え、生態系が戻っていく様子は美しい絵とともに感動を持って読み進められる。
また、さらりと触れられているが実際はかなりオオカミの再導入に反対した人たちもいたらしい。14匹のその後が詳しく書かれているページを読むと、ここでのオオカミを保護する法律ができたがお構いなしに、何頭も撃ち殺されている。
またオオカミの持つテリトリー意識がゆえに、縄張り争い、リーダー争いでまた何頭かが命を落としている。
しかし新しい命も誕生し、再導入もされ、再びイエローストーン国立公園の生態系の頂点にオオカミが君臨しているのだ。
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この絵本は、まるで良質なドキュメンタリー映画のようだ。
実は人という存在は、生態系にとって悪なのではないか?とまで考えさせられてしまう。
それらについて書いた本もあるようだ。
環境の復活や変化は割と短期間で起きることは、最近の日本でも起こっていることで、あってはならないことが、このような結果を生むことに複雑な思いを抱いたのは私だけではないだろう。この絵本は、ちょっとそんな気持ちを、解決はしないけど落ち着かせてくれる本でもある。
自然科学系が好きな家、ダーウィンが来た!などが好きなお子さんにもオススメ。
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