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【読書日記】おいしい食の日本史と表裏一体の女性史

この本は、とても社会学的に興味深く、読みだしたら一気読みでした。
まずは、近世以前は肉食を禁じていたが、果たしてどうだったのかという考察から明治になってからの肉食についてなるほど!というところから始まります。

文明開化といえば牛鍋を囲んでいる断髪姿の男性の絵を思い出す方も多いでしょう。あれ?あのころは豚は?
豚一殿と呼ばれている最後の将軍。徳川慶喜は豚肉がお好き。

あんぱんについての記述も。書いてないけど、饅頭の文化のある国なので、あんぱんが考案されるのも時間の問題だろうし、みんなが好きになるのも当然のように思えます。

それから大正時代の洋食ブーム。そういえばこのころに流行った洋食が今はもはや和食のように食べられている、というのも面白い。
とんかつ、カレーライス、コロッケ。ごはんとお味噌汁が一緒に出てきますよね。

そしてここから本は、女性と台所とのかかわりから食が変化していく様子がかかれていきます。
台所の変化、間取り、ダイニングキッチンの誕生と、専業主婦の存在。そこから食へのこだわり。また仕事をするようになる女性たちと、世代間の料理の分断。

余談ですが、自分のことで考えても、母は広い家に引っ越ししてから料理に凝ったと思います。まあ掃除のほうが好きな人ですが。
一緒におせち料理を毎年作ったりしていましたが、今は私は手抜きで済ませます。でも手抜きじゃないと思うの。これで十分。凝った料理はプロの技を食べに行けばよいし。

というわけで、デパ地下ブーム。エスニックや、平成のスイーツブームなどについてもこの本には書かれています。

視点変わって食ドラマの変遷も。
クッキングパパも以前読んでいたけれど、美味しんぼには、はまらなかった私。
時々見るのが「孤独のグルメ」。五郎さんのおいしそうに食べる姿と独り言がたまらない。この本によると、生き方の多様性や、お店と馴れ合わない姿などの切り口が実は隠されているらしい。

そんなふうに考えたことなかった!
そしてまた、令和はどんなご飯革命が起きるのでしょうか。

著者によれば、第二の時短ブームらしい。
あの時短調理器とか、確かに欲しいものね。

しかしそれよりなにより、食材も、総菜も、なにもかも値上がりしているところで、健康と美味とお財布のバランスをうまくとって、時間とも戦いながら食事をするってものすごく大変じゃない?って最近思っています。
さてこの本のつづき、世の中どうなっていくんでしょうね。

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