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【読書】『金の角持つ子どもたち』中学受験の小説を塾講師が読む

中学受験を頑張る子どものことを書いている小説があるというので、早速読んでみました。

『金の角持つ子どもたち』という本です。
主人公の俊介はサッカー少年。
でも、これ以上サッカーで上にいけないとわかりサッカーを続けることを諦めます。
そして、その時に知った中学受験をしないと入れない国立の日本最難関の中学の存在。
(うん、きっと名前違うけど筑駒よね)

その学校には科学部があり、かなり優秀と知ります。
俊介には、自分で背負っている原罪があります。それは妹の美音の聴覚障害は自分の責任だということ。
だから妹のために科学者になりたいと考えるのです。そのために中受がしたい!塾に通いたい!と言うのです。とはいえ家族は、俊介の本当の気持ちは知りません。
(6年生になってから言うんだからすごいです)

でも俊介の家は、普通のサラリーマン。
とても経済的に余裕がある状況ではありません。それをなんとかしようとする母。
母親にも自分の過去に対して抱いているものや、働くことで見つけた夢などが出てきます。

俊介が中受のために通う塾代を捻出するために働く母。
最初反対していた父親も、俊介の頑張りに応えるために、お給料の高い部署に異動し頑張ります。
父親は塾に通う前に言います。
塾代は出せてもその後の学費はどうするんだ!
でも国立志望と聞いて、少し変わります。
塾代も、塾によっては6年生で200万近くかかります。お母さんのパートでは賄いきれません。この小説の父も母も自転車操業、必死に漕ぎ続けます。

さて、俊介の破格な頑張りは塾(Pアカ..これってWアカよね)の先生たちも目を見張り、そして持てる力を注いで一緒に頑張ります。

でも足を引っ張る表面的にしかものを見ない大人たちが、勝手なことを色々言います。

一日中勉強させられて可哀想。
6年生の夏休みなんて2度と来ないのに。

とかなんとか。
わかるけど。頑張ってる人に失礼。
ほっとけ。まじなんなんですかねー、
意見だけ色々と無責任に、言いたい人ってどこにでもいますよね。

それにしても俊介の頑張りと、成績の伸びは、若干小説だから、ってのも感じます。
ま、実際6年生から頑張ってぐんぐん伸びる子見てるので、否定はしません。
もっと前から走ってたらもっと上に行けたのにって内心見てました。

この小説は、大人の描き方を、まだまだ深くえぐってほしかった部分もあります。

引きこもりだった弟のために、頑張る塾講師。
彼は頑張っているこども達の額に、金の角が生えるのが見えるのです。そこだけなぜか不思議なんです。

確かにこの12月、6年生は目の色が変わります。変わる子が多いです。
変わらない子もいます。1月に前受けして、不合格もらって初めて目が覚める子も、います。

ここに出てくる子たちは、塾内でもトップクラスなので、ずっとギア入れっぱなしで頑張ります。
ここまでやれる子は、自分の意志で中受する!って決めてる子です。

俊介はそのタイプです。サッカーでも一緒だった仲良しは、受ける学校を1ランク下げます。(国立なので筑附か、お茶附?お茶は男子は高校上がれないから違うかな)

まぁいずれにせよ、随分と精神年齢が高い子たちが揃ってるな、というのがこの小説の軸になっています。 

それから塾の先生が素晴らしい。
こんなに素晴らしいのかな、ちょっと褒めすぎじゃないかしら?と感じます。
ビジネスとして生徒を見ていない部分が、というのでしょうか。
不合格を2月にとらせる可能性のデメリットについては、俊介に関しては彼の性格とやりたい気持ちの強さにおっ被せています。まぁ他の学校受けさせようとする父親の意見を、割とあっさりスルーしてますし。

では結果は如何に!
これは流石にここには書けませんよね笑

私は一気読みでした。
視点が多角的で、構築される小説なので、
読みやすかったです。

ご興味のある方はぜひ!
中学受験の読解問題には…出ないかなー

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