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寄稿:MUSICSHELF プレイリスト(2006年秋)

読書の秋、リスニングの秋。
秋たけなわの10曲。

○○○○の秋という言葉が多いのは結局、1年の四季の中で一番過ごしやすいからということになってるからであって、夏だといかにも開放的あるいは行動的にならざるを得ないのだが、秋であれば暑くも寒くもなくインドアでもアウトドアでもOK的な、楽しめちゃう的な、感傷的な、物思いにふける的な、運動会や文化祭的な、食欲で味覚的な、松茸はやっぱり高いなー的な、そういった諸々なシチュエーションの中で音楽が鳴り響いてる、リスニングの秋なわけです。今回は秋たけなわの10曲ということですが、始めに惜しくもリストに漏れた曲を紹介します。「俺みたいに生きたらええねん featuring あき竹城/間重美(間寛平)」。

RCサクセション「甲州街道はもう秋なのさ」
76年、30年前の傑作アルバムより。RCファンじゃなくても清志郎ファンじゃなくても、このアルバムは聴くべきだろう。と、わざわざ書かなくても既に名盤ということになってる。国立に住んでた清志郎が仕事の帰り道に甲州街道を走りながら作った歌だそうです。

矢野顕子「ちいさい秋みつけた」
86年、20年前の傑作アルバムより。この童謡に限らないことだが、どんな曲でも矢野顕子の歌とピアノで奏でられてしまえば、こんなに素敵になってしまう。元AWBのSteve Ferroneのドラムと現在も共に演奏してるAnthony Jacksonのベースがニューヨーク・グルーヴィー。

大貫妙子「色彩都市」
82年のアルバムより。ジャケが「芸術の秋」してます。声と音楽性が割と秋っぽいんじゃないかと思ってます。デビューから30年を超すので他にも沢山の曲があるのだけれど、割と一貫して、そのようなものに感じます。と、長年聴いていて、秋の夜長にふとそう思いました。

太田裕美「九月の雨」
木綿のハンカチーフが有名ですが、これもヒット曲で秋の歌です。この人はアイドルとシンガーソングライターの中間というか、アイドルじゃない風のアイドルというか表現が難しいですが、存在自体が秋というイメージです。

山口百恵「秋桜」
秋桜は別名コスモスという。芸能界では引退っていいながら復活しちゃう人が多い印象ですが、この人と原節子っていう方は復帰しない。世の中で一番凄いディレクターというのは山口百恵を復帰させるために口説き落とせる人のことだと思います。

フィンガー5「メリー・ジェーン」
リードボーカルのあきらのソロアルバムの曲が収録ということで選びました。ジャクソン5のマイケルをフィンガー5のあきらは体現してると思いますが、つのひろで有名なこのバラード、つまり英語の曲だとより一層それが感じられて微笑ましいです。

松田聖子「風立ちぬ」
ヒットシングル「風立ちぬ」を含むアルバムタイトルも「風立ちぬ」。歌詞の中で「今は、秋」とここまではっきり言われたら疑いようもありません。アルバムA面は大滝詠一プロデュース。同じく秋風味な「いちご畑でつかまえて」等。

中森明菜「明菜から…。」
ベスト盤で充分ってなってしまいがちなんですが、ベスト盤に絶対に入らないであろう曲がこれです。歌ではなく語り、っていうか執拗に語りかけてきます。その雰囲気が本当にこの人にしか醸し出せないものになってます。秋だから、明菜から…。

八代亜紀「舟唄」
真面目に演歌を聴くことはないのだが、年取った証拠として、こういう歌も嫌悪感なく聴けるようになる。というよりは実はこの時代のヒット曲なら、小学生の時に聴いた歌謡曲黄金時代の曲なら、抵抗ないって話。名前はアキ、作詞はアキユウじゃなくてアクユウ。

Riow Arai「Kusakari」
このアルバムがリリースされたのは2001年の11月だが、これを機に以後5枚連続で11月にアルバムをリリースするサイクルになってしまう。つまり、自分にとってはリリースの秋であった。この曲は珍しく日本語タイトルなので印象に残る方が多いようです。


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