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ジェイクギレンホール顔圧映画(コヴェナント 約束の救出感想)

『コヴェナント 約束の救出』(2023)ガイリッチー監督、過去作品『スナッチ』『オペレーションフォーチュン』

あらすじ

2018年、アフガニスタン。タリバンの武器や爆弾の隠し場所を探す部隊を率いる米軍曹長ジョン・キンリーは、優秀なアフガン人通訳アーメッドを雇う。キンリーの部隊はタリバンの爆発物製造工場を突き止めるが、大量の兵を送り込まれキンリーとアーメッド以外は全滅してしまう。キンリーも瀕死の重傷を負ったもののアーメッドに救出され、アメリカで待つ家族のもとへ無事帰還を果たす。しかし自分を助けたためにアーメッドがタリバンに狙われていることを知ったキンリーは、彼を救うため再びアフガニスタンへ向かう。

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感想(ネタバレあり)

アメリカ軍基地帰還シーンの迫力が凄まじい。
帰還する際、主人公のジョンキンリーの視点で進んでいく。敵がどこから出てくるかわからない状況に置かれた主人公の視点は『ローンサバイバー』に近い。また、こちらは敵の姿に気付いているが、向こうは気付いておらず、音を立てないようにやり過ごすか、ステルスアクションするか、どちらも緊張感高くかなり観ていて面白い。『メタルギア』やってる時のような緊張感がある。
上記の視点とともに、敵が主人公達を察知していることを観客は示される。主人公達は気付いていないが観客は彼らに迫っている危機に気がついている、という状況作りが成されている。「主人公視点しか共有されないシーン」と「主人公が知らない情報を観客に示されているシーン」の使い分けがうまかった印象。具体的に言えばタリバン側が主人公達を「生きて連れて来い」と命令を受けていることを示すことで、彼らが殺されず、生かされた状態で危機がやってくることを想起させる。観客視点で緊張感が続く効果があったと思う。
ある意味ガイ・リッチー監督ぽくないハードな戦争映画のではあるが、ここの編集のテンポの良さは『スナッチ』を想起させる。特に、一度帰還した後帰還するまでのジョンキンリー視点の朧げな記憶シーン。それまで通ってきた印象的な場面をテンポ良く観せられる。もう一度あの環境に戻らなければいけないと主人公のエモーショナルが高められていく、その納得度を高めているシーンである。

物語の内容について、あまりにもアメリカ側に都合の良いように思える。『ローンサバイバー』とほぼ同じ線路を走っているように見える。ラストにも示されているように事実としてアメリカは既にアフガニスタンから撤退している。このような状況で2013年から何もアップグレードされていないように観える。ただ、2021年にアメリカが撤退してからこの映画は2年後に公開されているわけだが、アメリカ軍に協力したにも関わらずパスポートがもらえず危機に晒されている、という一つの社会問題を急速に表層に押し上げた。物語自体にあまり変わり映えしていないように観えるものの、この映画自体がある問題を解決していない体制批判となっているのではないか。
だとしてもそもそもアメリカ視点で物語が進行してしまっているが故にあからさまにタリバンにヘイトが向くように作られている印象があるのも事実である。撤退している以上どちらかに正義があるような描き方には注意が必要だと思うが、そのあたりに対する配慮はなかったように観える。

その他、良かった点としてジェイクギレンホールの特大顔面を映画を通して何度も観ることができる。これまでこんなにジェイクギレンホールの顔を眺めたことがあっただろうかというくらい映画館のスクリーン目一杯にジェイクギレンホールが映って面白かったです。

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