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読んだ本のこと

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子供の頃苦手だった「読書感想文」のリヴェンジです。
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#原田マハ

昭和生まれが気持ち良く読める原田マハ

昭和生まれが気持ち良く読める原田マハ

 久しぶりにマハさんに戻ってきました。今回は「たゆたえども沈まず」と「美しき愚かものたちのタブロー」の二作まとめて感じたことを書いてみます。

なぜ気持ちいいのか? この二作を読んでいる時、共通するある心地良さがあることに気付きました。それは、どちらも日本人がパリで、現地の人々と肩を並べて、時には尊敬を得ながら活躍するということがもたらす心地良さでした。なぜそれが心地いいのでしょう。

西欧への憧

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読んではいけない

読んではいけない

 万が一、今この記事を読んでいて「私も原田マハ読んでみようかな~」と思っている「マハ未経験者」がいたら、いやもしいたらですよ、この「いちまいの絵~生きているうちに見るべき名画~」から読んではいけません。

ありがちな題名 昨今「生きてるうちに(または死ぬまでに)○○すべき○○」というタイトルが乱発されています。「見るべき絶景」「観るべき映画」「食べるべきピッツァ(?)」「入るべき温泉」等々なんでも

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楽園から地獄へ

楽園から地獄へ

「楽園のカンヴァス」に続いて「暗幕のゲルニカ」を読みました。美術の素人が原田マハにハマっています。

章の日付はちゃんと頭に入れて 「楽園のカンヴァス」と同様、過去と現在が交互に登場しながら物語が進行し、最後にはつながっていきます。そして過去と現在、その両方に生きて登場する人物が一人だけいるのも「楽園…」と同じです。(正確には「楽園…」の方は三つの時代で構成されています)

 主人公は今回も日本人

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美術のド素人が原田マハを読んだら #2

美術のド素人が原田マハを読んだら #2

 前回の続きです。「ジヴェルニーの食卓」第2話から最終第4話まで、感じたことをあれこれ書いていきます。数あるマハ本の中でもこの作品にこれほど感動したのはひょっとして珍しいことでしょうか?

星屑から輝く星へ 前章マティスの物語で南仏の光を浴び瞳孔が収縮しているところから一転、今度は湿っぽい地下室へ連れ込まれるような落差に参りました。一見華やかに見えるパリの底辺にある残酷な現実、それを作品に落とし込

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美術のド素人が原田マハを読んだら #1

美術のド素人が原田マハを読んだら #1

 学校時代「読書感想文」というものに苦しめられた人は多いのではないでしょうか?私もその一人です。note を始めて半年以上が経ち、これまでいくつか駄文を投稿してきましたが、最近原田マハさんの本を何冊が読む機会があり、子供時代のリヴェンジをできないか…と考えたのでした

タイトルについて 今回は「いかにも」なタイトルをつけました。ネット上のコンテンツ(YouTubeや note 等)ではこのようなタ

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いとしの Henri

いとしの Henri

 拙文「美術のド素人が原田マハを読んだら #1 #2 」に続き今回も原田マハ、「楽園のカンヴァス」を読んで感じたことを書いてみます。

燃えよキュレター ある人物が、過去の栄光やスキャンダラスな恋愛、そういったものに蓋をして、今は市井に紛れて静かに暮らしている。しかしひょんなことからその蓋が自分の意思とは関係なくこじ開けられ、その人物の正体を知って周りは驚き興奮する、そしてついには表舞台に引っ張り出

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