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コーヒーキャラメルの循環

おばあちゃんは、孫にいろんなものを食べさせたいみたいです。

「りおちゃん、このお菓子食べる?」
恐らく、一日に3回以上はこの言葉を聞きました。母方の祖父母に会いに行った12月。おばあちゃん家のありったけのお菓子を紹介されました。

今はお腹いっぱい、じゃあ持って帰りなさい、とビニール袋にお煎餅やお饅頭がザーッと詰め込まれていきます。

次に、これは食べる?と目の前に広げられたのは、コーヒーキャラメルでした。ガムや飴を好んで食べない私は、遠慮がちに少しもらおうかな!と伝えます。

私の"少し"とおばあちゃんの''少し"は全く違いました。おばあちゃんの手がUFOキャッチャーのようになり、ザクッと2回、個包装のキャラメルを掴み上げます。

全部で15個くらいでしょうか。お煎餅やお饅頭の隙間を埋めるようにして、コーヒーキャラメルがビニール袋の中におさまっていきます。

正直、この量は食べきれないと思いつつも、おばあちゃんの孫への想いを感じ、持って帰ることにしました。

「いや〜、こんなには食べれないね」
袋からザーッと出したキャラメルたちは、ナマズ(=旦那)にもフラれてしまいます。

夫婦揃ってキャラメルを口の中で溶かしながら、この子たちの行く末を考えました。

私は、物を貯めるのが好きではありません。減らないお菓子は、食べてくれる誰かに渡したい主義です。

よし、年始に実家に帰るから、両親に持って行こう。私がそう閃くと、でもこんなにキャラメルなめるかな〜と不安そうなナマズ。

キャラメル好きな人は食べるでしょ、と再びビニール袋におさめていきます。

迎えた2024年。ビニール袋に入ったキャラメルたちは、電車に揺られ実家に到着しました。

「こんなにはいらない」
なんと、母親にもフラれてしまいました。少しだけ食べるわ、とビニールから2個ほど取り出します。この時点で残り8個。

この子たちはどうなるのかしら、と思った矢先「明日実家に帰るから、残りのキャラメル持って行くよ」と母が提案します。

ん?

んん?

母の実家ということは、私の祖父母の家ということです。つまり、このままいけばコーヒーキャラメルは、元のお家に帰るのだと気づきます。

それもそれで面白いと思い、母にはこの子たちの出発地が祖父母の家であることを伝え、好きにしていいよと言いました。 

母は、じゅんかーん!と楽しそうに笑います。

数日後、祖父母の家へ新年のご挨拶に伺いました。お仏壇に手を合わせようとすると、供えられているコーヒーキャラメルを発見。

この子たちは長旅をしたキャラメルたちだ思うと、ニヤニヤが止まらないのでした。

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