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これからは優しさと美しさの時代

いつもお世話になっています。作家の浜口倫太郎(@rinntarou_hama)です。

ちょっと前に放映された『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞』を見ていて、気になるシーンがありました。

(なんかnoteの入りが全部お笑いな気がしますが……まあ好きなんだから仕方ないですよね)

この番組で加賀谷というお笑いコンビの賀屋さんが、ある番組に出演したシーンを流したんです。

賀屋さんがコメントをしたら、周りがシーンと静まり返ったところです。いわゆるスベるというやつです。

それを見ていた爆笑問題の太田さんが、「周りにあれだけ芸人がいるんだからなんとかしてやれよ」とつっこんだんです。

芸人がスベるというのは、目の前で人が転ぶような行為です。どうにかそれを救って、笑いに変えてやれば怪我しないですみます。

ただ怖いのが、助けにいって自分もスベる危険性もあるんですよね。賀屋さんのあのとんでもないスベり方だと、自分も一緒に転んで後頭部を強打する可能性がありました。二次被害の危険性大です。だから他の芸人さんは黙ってスルーしたんですよね。

それを太田さんはひどいと感じたからの発言でしょう。

でもふと思ったんですが、太田さんの若い頃って、他の芸人さんがスベったら喜ぶ人が多かったんですよね。

スベった芸人をフォローするなんてとんでもない。自分だけ笑いを取れればいい。そういう価値観だったんです。

でも現在は、スベった芸人をいかにうまく救ってあげるかも芸人の技量の一つになっています。

自分が怪我をする覚悟で転んだ芸人を救う。そういう人が売れる傾向にあります。今田耕司さんや麒麟の川島さんは、そのレスキュー能力が抜群に高いですよね。

人を傷つけるような攻撃的な笑いはよくない。優しい笑いが求められている。最近はお笑いの世界ではそう言われていますが、これもその一環なのかなと。

いわゆる舌鋒鋭いタイプのタレントさんの影響力が薄れていっているのも、優しさが求められている時代だからなんですよね。

SNSなどで他人に対して口汚く罵ったり差別発言を撒き散らす中年男性がブロックされたり、パワハラがことさら嫌われるようになったのも、優しさの時代に入っているからかもしれません

さらにここ最近のお笑いの一番の変化は、ルッキズムですよね。

ブス、チビ、ハゲといういじりはお笑いの代表的なものですが、そういう発言がここ二、三年でパタリとなくなりました。

そういう直接的に人の外見を揶揄する表現では笑いが取れなくなっている。

でもそれって逆に、美しさに価値を置く時代に変貌してきたということでもあります。

今のアイドルって、10年前のアイドルと比べてルックスがとんでもなく上がっているじゃないですか。

新海誠監督のアニメ映画が評価されているのも、美しさにあると思います。いたって普通の都会の風景を、新海アニメはまるで絵画のように美しくフィルタリングしています。

お笑いは時代を映す鏡といわれていますが、この『優しさ』『美しさ』に対する価値が上昇していることが、バラエティー番組を見ているとよくわかります。


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