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ジャンルは偉大です

今回はプロ作家を目指されている方向けの記事となります。

小説を書いていると、自分が書きたいジャンルというのがありますよね。noteで小説を書かれている方を見ていると、純文学とか自分の気持ちを物語として書いている人が多い気がします。

それって絶対にいいんですよ。書いていて楽しい小説とか、心がほぐされる小説って、自分のために書くものですからね。

精神病の治癒の一環として小説を書くというのが勧められるぐらい、自由気ままに小説を書くことというのは楽しい行為なんです。

ただ一方、それが商業出版となると話が異なってきます。

ビジネスになると自分が好きで書いているだけでは読んでもらえる確率が低くなります。

やっぱり純文学は売れないんですよね。かつては文学というのが小説のメインでしたが、現状はマイナーなジャンルに位置します。

誰もが知っている知名度のある純文学の文学賞といえば芥川賞ですが、芥川賞作家で本がずっと売れている人ってほんとごくごく一部ですからね。

例えばここ三年の芥川賞作家の名前を全員あげてくださいと言われて即答できる人って、出版関係者でもいないんじゃないですかね。

もちろん純文学の素晴らしさは重々承知していますが、あくまで商業出版のビジネスとして話しています。

一般文芸で人気があるジャンルはミステリーです。

小説としてのレベルがたとえ同じだとしても、やっぱり売れるのはミステリーなんですよね。

それを証明するように、ベストセラー作家の名前をぱっと思い浮かべてもらっても、大半はミステリー作家です。

ミステリーは読書家の中では需要もあるし、ミステリーの賞もあるので取り上げてもらいやすいんですよね。

プロの専業作家になりたいと考える方でミステリー以外のものを書こうとするとかなり苦戦します。

とはいえそれ以外の人気ジャンルももちろんあります。

もし女性の方ならばお店グルメ系などのジャンルはおすすめですね。小説ってメインターゲットは女性なので、需要と供給がバッチリ合うんですよ。一般文芸に関しては女性の書き手はだんぜん有利です。

ライトノベルもいいですよね。シリーズにしたりアニメ化になりやすいので、ヒットすると一般文芸よりも格段に収入を得られます。

キャラ文芸という一般文芸とラノベの中間のようなジャンルもあります。ここでは難病もの、あやかしものとかが強いです。きちんと研究すればデビューしやすいです。

こんな感じで小説には需要の大きなジャンルと小さなジャンルというのがあるんです。たとえ小説としての面白さは上でも、悲しいかな人気ジャンル外の作品は読んでもらえないんですよね。

だからもしプロの作家になりたいと考えられている方は、自分が書きたいジャンルではなくても、人気ジャンルを選択肢に入れて執筆されることをおすすめします。

僕は星新一を読んで作家を目指しましたが、SF作家になろうと思わなかったのは、SFはジャンルとして日本では厳しいからなんですよね。

今日本のSF小説で面白いのがたくさん出ているんですよ。でもベストセラーにはほとんどなっていません。

SFが書きたいと思っても、売れる売れないを考えるとやっぱり二の足を踏んでしまいます。

俺はミステリーやラノベなんかは書きたくはない。純文学を書きたいんだ。それでプロになって売れっ子作家になるんだ。

そう言われる方もおられるでしょうし、その心意気は立派なんですが、それではどうしても勝算が低くなります。

そこでどうすればいいか。一番のおすすめは、自分が書きたいものを因数分解して人気ジャンルに組み込むという方法です。

例えばあなたが掃除機メーカーの社員で、掃除機の魅力を小説として表現したいと考えたとしましょう。

以前自身の専門を書くと新人賞をとりやすいと書きましたが、掃除機ならば誰ともかぶらない魅力的で斬新な題材です。

普通のやり方で考えるならば、掃除機メーカーの社員の成長物語です。お仕事ものですよね。

もちろん新人賞をとるには十分ですが、これでヒット作を狙うとすればちょっと弱いかもしれません。お仕事ものって残念ながらジャンルとしてそこまで強いものではないです。(映像化を狙うならいいんですが)

そこで掃除機を題材にしたミステリーを書いてみるのはどうでしょうか。

いやいやそんなのできるわけないだろうという方、実は掃除機ミステリーというのはあるんですよ。

これは刑事が掃除機に転生するというものなんですが、アイデアが面白いですよね。しかもミステリーと転生ものという人気ジャンルが二つも入っています。去年アガサミステリー賞を取り、話題になりました。

こんな感じで自分の書きたいものを因数分解して、人気ジャンルに組み込むだけで新人賞をとりやすいし、かつヒットする可能性が高くなります。

もちろん自分にとっての得手不得手があるのでうまくいかないケースも多いんですが、検討には値する方法かなと。

プロ作家を目指されている方はぜひ考えてみてください。



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