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カスタマーサクセスがコンサルとの違いを考えてみた

お客様の課題を解決するために働くという点において、カスタマーサクセスとコンサルタントは同じような性質を持っていると思いますが、職種名が違うということは明確な違いがあるということで、何が違うんだろうと最近考えています。りんたろうです。

なんとなくですがこんな違いがありそうだなと、自分なりの考えがまとまってきたので、せっかくなのでnoteにしたためることにしました。
※あくまでnote投稿時点の知識と経験で私が考える違いであり、コンサル業界のことを詳しくはないので認識齟齬あるかもしれません。その時は優しく指摘してください。

相違点1 何に対して対価が支払われているか

まずはそれぞれのマネタイズの点で考えてみました。
コンサルタントはその人自身の知見・ノウハウに対して対価が発生しているに比べて、カスタマーサクセスはその人自身に対価が発生しているわけではありません(有償CSは除く)。あくまでサービスそのものの利用料として対価が発生しており、カスタマーサクセスはサービス利用に紐づいてくる人的支援の機能です。

よってカスタマーサクセスは契約したサービスの導入を成功させるために、人的リソースを投下したサービスのオプションの一つと考えられると思いました。
※もちろんLTVの向上、エクスパンションなどカスタマーサクセスの役割は多岐にわたると思っています。
導入成功のためのオプション、つまりオンボーディング期のオプションと考えれば、導入が終わり活用を開始するアダプション期に突入したお客様には、カスタマーサクセス不要なオプションとなります。つまり現場で言うところのお客様自身が自走するということはではないでしょうか。

昔々、契約から半年、1年と経過したお客様がいつも何かある度に連絡が来てしまうことがありました。いつまでも自走せず、カスタマーサクセスが支援しなければサービスを利用しないという、属人的で労働集約的な支援になってしまっていたことを思い出しました。お客様の利用なくしてサクセスは不可能ですが、不必要にお客様に工数を取られ過ぎていたことは否めません。
もしもこの時に、カスタマーサクセスの役割は「導入成功のためのオプション」「オンボーディング期に使うもの」という視点を持っていたらやり方が少し違っていただろうなと思います。

また最近「有償CS」という施策を耳にします。
カスタマーサクセスが無償のオプションであり、有償CSはその上位のオプションと位置付けるのならば、通常提供する支援よりも早く、深く、広く、サービス導入が完了することが命題であると考えられます。
よって有償CSを担当するカスタマーサクセスは、より他のカスタマーサクセスよりも、サービス導入支援に特化した動きが求められるのではないでしょうか。
もし導入支援に特化した動きができないのならば、有償CSとの差別化のために通常カスタマーサクセスの支援に期間等の制約を設けて差別化してもいいのではないだろうかと思います。

相違点2 方針決定者が誰か

次にどう進めていくかの方針を決定している人は誰かの視点で考えてみました。

コンサルタントお客様に対して「こうしましょう」という”どうあるべきか”を支援するスタンスであるかと思います。つまり課題解決の方針の決定者がサービス提供側にあります。
一方、カスタマーサクセスはお客様の「こうしていきたい」という”どうありたいか”を伴走し、支援するスタンスです。つまり課題方針の決定者がお客様にあります。

あるべき姿を提案するコンサルタントは、あるべき姿のためにさまざまな選択肢から最適解を選ぶ義務があると思います。それはすでに世にあるサービスを利用することも選択肢ですし、適切なものがなければ、システムをゼロから作ることも選択肢です。

カスタマーサクセスはこうしていきたい姿のために、提供サービスを使う前提でどう実現できるかを考え、お客様に提案をします。カスタマーサクセスは前述の内容を踏まえると、あくまで提供サービスに付随するオプションではあるためです。
そのため、カスタマーサクセスの提案では、提供サービスを使う制約がある以上、100%お客様が望む解決ができない可能性も存在します。そのためできること・できないことを正しく伝え、できることにフォーカスをして支援を行う必要があります。これが「期待値調整」と現場で言われていることではないでしょうか。

もしも自社サービスを使ってお客様のこうあるべき姿の提案する支援をしたいのであれば、自社サービスで複雑で多岐にわたる課題でも解決できるほどにサービスそのものが磨き込まれていること、カスタマーサクセスが支援するお客様の業界・職種・業務内容に対して深い知見を持っていないと成り立たないでしょう。コンサルタントにアカデミックで幅広い知識の取得に熱心な方が多いのも納得しました。

相違点3 課題解決時のタイムラインとインパクト

最後に課題解決までの期間と影響の視点で考えました。そもそもお客様の課題とは明確になっていないケースが多く、それは複数の問題が絡んで課題化していることが原因です。

コンサルタントは課題を分解し、課題を構成するそれぞれの問題に対して解決方針を策定するかと思います。
課題の分解時には、お客様自身すらも気づいていない問題がないか、他の影響ある問題はないかとつぶさに考え、あらゆる解決方針を打ち立てます。だからこそ幅広く調査分析と考える力が求められるのでしょう。
コンサルタントの支援の中に実行支援が含まれない場合は、お客様自身がコンサルタントから提示された解決方針を元に、お客様のペースでの解決を行うことになったり、プロジェクトを進めて行く中で新たな問題が発見されることだったり、予見してなかったことで支援のタイムラインが長くなる時もあります。その分解決時には問題点はすっかり解消され、課題だったものがスッキリ解決するため、お客様が感じるメリットは大きいものになります。

一方でカスタマーサクセスは提供サービスを使う前提があるため、課題を構成している問題全てではなく、特定の問題の一つが解決するまで伴走します。解決まで最速のペースとなるよう、課題解決のアクションにも伴走します。伴走というお客様でボールが止まることを避けるハンドリングにより、課題解決時までのタイムラインを短くすることができますが、多くの問題の一つを解決しただけであり、課題そのものが解決したわけではありません。現場関係者にしかメリットを感じていないなど、お客様が感じるメリットが限定的で大きくない場合があります。

この辺りのより詳しい話は、自分がよく参考にするライトサクセス・ディープサクセスの理論に近いものがあります。
ディープサクセスがお客様の組織にメリットをもたらすような大きな課題を解決することであれば、コンサルの業務に通じるものがあり、ライトサクセスが現場にメリットをもたらす課題を解決することであれば、現場で使う人のサクセスを短期間で感じてもらうカスタマーサクセスに通じるものがありそうです。

記事内では7割のSaaS企業がライトサクセス→ディープサクセスへの移行型のカスタマーサクセスであるそうですので、ディープサクセスへの移行タイミングで、コンサルティング的に周辺の問題も解決ができるようなカスタマーサクセスの提案or巻き込み力を発揮、もしくは他の課題を解決できるようなプロダクトの機能の用意がある事で、よりお客様に価値を感じていただけそうです。

今は3つの視点でカスタマーサクセスとコンサルタントの違いを捉えています。私がコンサル業界に詳しくなく、調べた範囲の知識での差分ですので、コンサル業を生業にしてる方からすればいやいや違いますよと指摘したくなるかもしれませんが、カスタマーサクセスの経験者の視点として思っていただければ幸いです。

最近カスタマーサクセスのコンサル化は避けた方が良いという意見を聞くことがあり、また一方で業界的にコンサル的支援を行った方がサクセスする場合もある意見もあり、サービスのターゲットや自社のフェーズによって、適切な意見が変わるものだと思いますが、どちらにせよカスタマーサクセスとコンサルタントの違いを意識する事で、適切なアクションに繋がりそうな気がしています。

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