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重力の光 石原海@資生堂ギャラリー  感想

銀座にある資生堂ギャラリーで開催されている「shiseido art egg」というプログラムに入選した石原海さんの展示に行ってきました。

石原は、愛、ジェンダー、個人史と社会をテーマに、実験的な映画作品やヴィデオインスタレーションに取り組んでいるアーティストです。現実の出来事を軸に、フィクションや物語的な要素を加えて構築する作品は、現代社会の一面や心の機敏を丁寧に捉えます。出典:パンフレット

このような映像を主に使用した作家さんなのですが、今回の重力の光では彼女が通っている北九州の教会のみなさんと作り上げた30分の映像作品、「重力の光」が主体となっていました。

この「重力の光」はキリストの受難のストーリーを教会の関係者の方々が演じており、その合間にそれぞれ出演している人々がどうやってキリストに出会ったのか、教会へやってきたのかがその人個人の背景とともに語られます。

私はこの作品を鑑賞していて、インタビューパートの中に流れた「教会は自分のような弱い人を受け入れてくれる」というような一言に少し引っ掛かりを覚えました。

というのも、確かにキリスト教は弱さを抱える人のためにもあると思うのだけれど、だからと言ってその人が「弱いから」「強くないから」という理由だけで教会へ行き、信じたのではないと思うのです。

この「重力の光」に出演している人々は、過去の過ちや抱えた傷など、自分のどうしようもない弱さを受け入れて、それと向き合うことができた「強い人」だから教会へ行くことができたのだと思います。

「自分の弱さを受け入れる強さ」

社会を生き抜くために鎧を身に纏わなければならなかった人たち(言葉・暴力・刺青)が自分がそれまで着込んできた鎧や持っていた武器から手を離してありのままの自分として生きる強さをイエス・キリストを通して手に入れたのではないでしょうか。

題名の重力の光がどんな意味をもつのか本当の意味はわかりませんが、自分はこの作品を通して、重力を持った光(キリスト教・教会・信頼できる人)に引き寄せられる人々を描いたんだろうなと感じました。

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