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紫苑の園:感想

果たしてどうしたらここまで純粋で美しい物語をかけるのか。「紫苑の園」は23歳の若さで早逝した作家、松田瓊子の代表作です。

この本に出会ったきっかけは、新聞か何かに題名だけ載っていたのが目に入ったことです。それから何日も「紫苑の園」という文字が頭から離れなかったので図書館へいって借りてきました。

表紙はどこかで見たことある絵柄だなと思っていたら中原淳一さんが担当されていました。(イメージにぴったり!)

物語のあらすじとしては

秋になると紫苑の花で覆われる家に住む夫婦のもとに父を失い、病弱な母が療養所へ入ることになった香澄がやってきた。23歳の若さで世を去った著者が、少女たちの世界を可憐に描いた愛と純真に満ちた傑作。出典:https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336023858/

というような感じです。

一言で感想を表すなら、「とにかく透明で甘い」ということでしょうか。この物語は綺麗すぎて、おそらく好き嫌いが別れると思います。可憐な容姿とさらに純真で誠実な心の持ち主の主人公は、ほぼ出木杉くんです。

そして、紫苑の園のメンバーと過ごした日々も平和そのもので母親の死以外は少女たちの楽しい日常が生き生きとした文体で描かれています。

あまりにも綺麗で眩しい世界が広がっているこの作品は、疲れた暗い現代人の心の中にそっと明かりを灯してくれる、そんな小説だと思います。


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