【ショートエッセイ】タイムマシーンにお願いしたい唯一のこと
もし一回だけタイムスリップすることができるなら、ぼくはどの時代を選ぶだろうか。
子供の頃かな。
何のしがらみもなく、ただ毎日遊んでいた。
人間関係に悩むことなく、ノルマと言えば宿題くらいだ。
それもやらなかったからといって、責任を取らされることもない。
親に面倒を見てもらって、お気楽に過ごしていた。
しかしそれだからと言って、戻ったところで何になる。
得るものが何もない。
高校の時かな。
学校の成績はそこそこだったけど、医大に行きたいって夢があった。
必死に勉強してけど医大には手が届かなくて、夢を諦めた。
もしあの時医大に行っていたら、ぼくの人生はどうなっていただろうか。
それなりに苦しむことはあるだろうが、子供の頃の夢が叶ったんだから、充実した毎日を送っていたはずだろう。
しかし戻ったところで何になる。
あの頃以上に勉強したとしても、ぼくの頭で医大にパスする可能性は極めて低い。
それに今の人生もそんなに悪くない。
それじゃ新入社員の時かな。
頑張れば何でもできると思っていた。
それこそ社長になれるとか、自分が会社を大きくするとか、世界で活躍する技術者になるとか・・・。
露天風呂付きの豪邸を建てて、週末は庭でバーベキューをして・・・、そんな夢があったから激務にも耐えられた。
でも今のぼくじゃ、あの頃のぼくに笑われるな。
それにあの頃やっていた激務はもうごめんだ。
やっぱり仕事に慢心していた若い頃かな。
ぼくにも会社に行って仕事ができる喜びを感じていた時があった。
毎朝目が覚めることが待ち遠しかった。
仕事に慢心し、技術を極め、毎日が充実していた。
ぼくの人生の中で、ぼくが一番輝いていた。
もう一度あの頃のように輝いてみたい。
でもそれよりも、もっと叶えたいことがある。
ぼくの子供たちがまだ幼い頃に戻って、もう一度抱きしめたい。
その一瞬のためだけでいい。
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