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【ショートエッセイ】ヒーローショーの虚像とぼくの罪

息子がまだ幼稚園に行く前の小さかった時のこと。
ぼくらはウルトラマンと怪獣の着ぐるみショーに出かけた。
当然ながら息子の喜ぶ顔が見たかったからだ。

息子と他のちびっ子たちは、着ぐるみショーに大興奮。
ウルトラマンがピンチになると大声で声援を送っていた。
最後はウルトラマンが◯◯◯◯光線を腕から発射して、怪獣をやっつけて、お決まりのハッピーエンド。

ショーが終わって息子がポツリと言った。
「何で◯◯◯◯光線が見えないの?」
ぼくは咄嗟に言った。
「テレビでは見えてるけど、本当は見えないものなんだよ」

息子の夢を壊すようなことは言えなかったから、仕方がないと思いつつ、嘘をついたことに少し心が痛んだ。

息子は着ぐるみを本物のウルトラマンと思っていたが、他の矛盾には気付いていなかった。
例えば空を飛ばないとか、人間が変身しないとか、怪獣が小さいとか・・・。

あの時はどうすればよかったのだろう。
やはり子供に嘘をつくのはよくない。
かと言って、本当のことを言うには残酷すぎる。

そもそも嘘で固められた場所に、純真無垢な子供を連れて行っている。
(適切な表現ではないことをお詫びします。)
最初からちゃんとした説明をしてから連れていくべきだった。
子供を喜ばせたい一心だったが、ぼくが浅はかだった。

息子はあの時のことをどう思っているだろうか。
後になって、ぼくに嘘をつかれたとわかって、心を痛めなかっただろうか。
ヒーローショーなんて行くんじゃなかったと後悔しただろうか。

まぁ、ヒーローショーに行ったこと自体、覚えてないんだろうな。


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