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【ショートエッセイ】"もう若くないから"なんて思っちゃいない

午前5時30分、なぜだろうか。
今朝はどうも起きるのが辛い。
前日にスポーツをしたからでもなく、その日に会社に行って憂鬱なことがあるわけでもない。
体調が悪いのか、いや熱っぽくもないし、体はどこも痛くない。

無理やりに体を起き上がらせてみる。
布団の上に座ってはみたが、そこから立ち上がれない。
体が重くて仕方がない。

ぼくは猫背のまま頭を布団に向けて無の状態になる。
何も考えない。
自分の心のままに思考を任せる。
ぼくの心が映し出した映像は、若い頃のぼくの姿だ。

仕事が楽しくて、朝目覚めるのが待ち遠しい時があった。
あの頃は目覚まし時計が鳴ると同時に、布団から飛び起きたなぁ。
体調不良なんて微塵に感じることもなかった。

単身赴任していた時は、毎日深夜までの残業と自炊で疲れ果てていた。
でも弱音なんか吐かない、子供たちに誇れる親父になりたかった。
ただその一心で、毎日重い足を引き摺るようにして会社に行った。

仕事が捗らなくて徹夜することもあった。
明け方に家に帰って、シャワーと1時間ほどの仮眠をして会社にまた出掛け行く。
そんな日が何日か続いた。
眠そうな素ぶりなど誰にも見せなかった。

あの頃は若かったからできたって・・・。
見くびるなよ、まだやれる。
さぁ、立ち上がるぞ、俺っ!



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