人手不足のラーメン屋バイトは、やっぱり訳アリだった！

今はカフェで働いているのだけれど、私はその前はラーメン屋で働いていた。

店主は歳が近い男性で、友人伝いに、バイトが次からつぎにやめるから困ってるんだと言われ、助けるつもりで働くことにした。

それで、半年で辞めた。

全然助けになってない私がなんだか薄情みたいだけど、実はそのバイト、みんなが辞めるのには理由があったのだ！

一言で言うと、店主の性格に難あり‥！

とにかく、ブチギレやすい店主だったのだ。

普段はおとなしくて、腰が低い感じの雰囲気。
面接の時も、優しそうな人だな、なんて思ったくらいだ。

バイトの時も、最初は普通だった。
人からの紹介ということもあり、気を遣ってもらっているという気はしたけど、私から人見知りそうなおとなしい店主に話しかけて、打ち解けようと努力した。

ところが一カ月ほどたったある日、突然、ブチギレられた。

それは確か、レジがうまくできずにモタモタしていたからとか、そんなささいなことだった。

私はレジ打ちをバイトでやるのは初めてでなれておらず、金額を打ち込まないといけない旧式のレジに四苦八苦していた。
するといきなり「何やってんですか！」と、ブチギレられた。

呆然としているところで、キレながら店主がレジを代わってくれたが、私はそこはお客の前だし、「大丈夫ですか？レジ代わりますね」とか言うところじゃないのかな‥？って思った。

それからと言うもの、ちょいちょい、店主がよくわからないことでキレるように。

窓際に虫がいっぱい落ちているので、開店前に片付けようとしたら、「余計なことしなくていい！」となぜかキレられたり。

餃子を2皿、店主がつくっており、「違います。一皿多いです」と指摘したら、なぜか私のせいにして怒られたり。

客が少なすぎて、厨房でモノにあたって暴れる店主も目の当たりにしたし、ときには賄いも「自分で作れ！」とか言われてキレられたりもした。

そして私が働く間、高校生のバイトの子が2人入ってきて、瞬く間に辞めていった。
もちろん理由は、キレられたせいだろう。

いきなりよくわからないことで、高校生の女の子が、20も上の男の人にキレられたら、大変怖い思いをしたに違いない。

私も高校生だったら、怖くて泣いてしまっていたかもしれない。

しかし私は、経験豊富なアラフォーだ。

最初は、なぜキレているのかわからなくて、別の意味で怖くて、この人、いきなり刺したりするタイプなんじゃないかと、身の危険を感じたものだ。

だけど徐々に、たんにこの人がこういうキレやすい性格なのだとわかってからは、なんだか無性にハラが立ってきた。

とにかくいきなりキレられると、ビックリするのだ。
意味もわからないし、お客さんがビックリしてしまってるし、なんだか恥ずかしいし。

慣れてきたら、キレられても、「はいはい、すいませんでしたね！」とキレ返せるようにもなってきた。

なんとなく、こんなヤツに負けてなるものかと思ってしまう。
しまいには、キレるのを待って、絶対に次こそこっちがキレ返してやる！と闘志を燃やすしまつ。

仕事はたいしたことないのに、店主のせいで毎日気持ちが全く休まらず、臨戦態勢の仕事場。

だけどある日、私って、なんでこんなにムカつく人に、負けないと思って闘ってるんだろうと思ったら、なんだかエネルギーの無駄づかいに思えてきた。

そのことに気づいた時、そのバイトを辞めることにした。

考えてみれば、給料払いも悪くないし、仕事も難しくないし、お客さんもいい人だし、仕事仲間もいい人ばかりだった。

しかし店主の性格サイアク。

この一点だけで、なんだか働けないと思った。

今の仕事はカフェ店員。
全国チェーンなので、ルールは厳しいし、覚えることは多いし、体も疲れるし、給料も安い。
前のバイトに比べると仕事内容は遥かに大変だし、給料もイマイチ。

だけど、仕事場に変なヒトがいない。
仕事場の人が、みんないい人。

この1点だけで、仕事が続けられている。

仕事をする上で私がいちばん重視していることは、お金でもやりがいでも時間でもなく、ストレスのかかる人がいないっていうところなんだな。

そんなふうに思ったのだった。