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振り幅が激しい画家「藤田嗣治展」へ、



変幻自在のスポンジのような男。

藤田嗣治


''乳白色''をベースとした画で海外の人びとを圧倒させた画家・藤田嗣治の没後50周年を記念として東京都美術館で開かれた大規模な個人展

「藤田嗣治展」


へ足を運んできました。


この展覧会の存在を知った夏前から
とても、行くのを楽しみにしていた。



10代の頃から美術を学び、
渡仏しモディリアーニなどをはじめとする偉大な画家の近くで絵を描きながら

ニューヨーク、南米、ヨーロッパなど
世界中を渡り歩き様々な影響を受けながらも

''フジタにしか描けない絵''

というのを失わずに人生を生きた
日本を代表する素晴らしい画家です。




今回は史上最大級の展覧会ということで
約100点以上もの作品がフジタの生涯を辿るように展示してありました。


乳白色を用いた裸婦の絵をはじめ

14匹の猫を描いた「闘争 」

フランスの風景画

フジタが最も愛した女性・マドレーヌの絵


など、人物画から動物、風景画、自画像まで
ジャンルを問わない幅広い作品の数々を残してくれたフジタ。


フジタの画家初期〜晩年に至るまでの作品を順々に見ていった時に驚いたのは

時代によって絵の雰囲気が全く違う

ということだ。



作品には自分の色がでる。
それは、良い意味でも悪い意味でも作成者の色や雰囲気がすべてを通して無意識のうちに統一されている、ということ。


対してフジタは

一時期の絵のタッチや描き方は似ているものの
時代によってそれぞれ全くの別人が描いているような、
それ程に全作品において絵の雰囲気に統一感がないのである。


ここまで振り幅が大きい画家はフジタだけではないだろうか。



その振り幅が大きくなったのも
フジタ自身がまるでスポンジのような吸収力があり

周りの人間や環境に''影響されやすい''人物だったのではないかと。


渡仏後、間も無く
エコール・ド・パリ
(パリで芸術活動を行なっていた画家たち)のとの交流があったフジタ。

その中でもイタリアの有名画家、
アメデオ・モディリアーニとは親交が深く、彼の特徴的な女性の描き方にフジタは影響され、
パリ時代ではモディリアーニの絵を連想させるもの寂しげな女性や、少女たちの絵を描いていた。


それから幾年も経った頃、
中南米を訪れたフジタは今までのもの寂しげなタッチや乳白色の裸婦の柔らかい色使いの描き方とはガラッと変わり

中南米らしい原色(赤や緑、黄色等)を使用し、ハッキリとした強いタッチでの作品を描くようになる。


中南米時代の展示室に入った瞬間、
今までとのギャップに驚いて瞬きが出来ないほどだった。振り幅大きすぎる、というか、良い意味でその土地に染まってしまう男なのだな、と。



日本の秋田を訪れた時は
まさに、日本人らしい繊細でおしとやかなタッチで秋田美人を描いていたり、と。

ゴーストライターいるんでねぇの、というぐらい作品の振り幅が激しい。



フジタの絵は、その土地にあった雰囲気をしっかりと絵に吹き込み、あえて自分らしさを出さないことで唯一無二の画家になった。

パリ、ニューヨーク、中南米、、、など
世界中をまわった彼だからこそ
''統一感のなさ''をつくり出せるのだと思いました。



ただ、フジタが唯一。
全ての作品に統一させていたものがあります。


それは「視線の使い方」。


私も教えて貰った時、確かに!!!と驚いたのですが

フジタの絵で2人以上の人間や動物たちが描かれているとき

ほぼ、
その絵の中にいる人間や動物たちの視線は交わっていないのです。


と、いうのも
フジタの作品の中でも有名な「闘争」では

14匹の猫たちの視線は、それぞれ14箇所に置かれています。

交わっているようで、猫たちはそれぞれ全く違う場所に視線が向いている。

他の作品も、視線を意識して見てみると
ほとんどの作品で視線が交わっていることがなかった。

フジタは、絵の構図の美しさを登場人物の視線を上手く使うことによって表現していた…

真の画家は、頭脳とセンスが秀でているのだなぁと改めて感動させられました。



晩年、彼はフランスでキリストの洗礼を受け
レオナール・フジタとして生涯を終えました。

洗礼後に描かれた作品は、
自分をキリストの宗教画に登場させたりと
すこし皮肉めいているような印象を受ける作品も。

「礼拝」
(左から2番目の修道着を纏った男がフジタ。)


ちなみに私は吹き出しそうになりました。



ユーモアもあり、画家としての引き出しをたくさん持っていたフジタの作品をじっくりみることが出来、大満足でした。
より、彼のことが好きになれましたし、こんなに大展開されているのもなかなか無いので、あと一度ぐらい行きたいな。


そんなわけで、藤田嗣治展のことを書いてみました。

ボッティチェリ展で行った以来での、東京都美術館だったのでとても楽しかった。
やっぱり、美術館大好きな場所です。


まだまだ開催していますので、
是非足を運んでみてください。


上野はいいところ!!!!!!!!!!!!



ではでは

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