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迎合しない「自分らしさ」

すっかりと秋めいてきて、カフェオレでも作ろうかと、煙草を吸いながらやかんを火にかける。 なんとなく あー、と思い出し。 ちょうど去年の今頃横浜で飲み会がありまして、元町に泊まって観光したのですよ。 チャーミングセールなるイベント二日目で、元町通りは年齢幅広くお客さんがひしめいておりましたわね。 その時に「珈琲氷のアイス珈琲(喫煙可)」という看板を見つけて。 入ってみたんですよ。 昔ながらの直階段を登り、茶すけた建て付けの悪いドアを開くと、案の定お客さんいっぱい。 空

    • 女大工というワシが思うこと

      なんて書くと熱いココロザシとかジョウネツとか想像するでしょうけど、はい残念。 今んとこ20〜30代の職人女性が増えてきているけど、今その先を歩いている48独女のワシが今思ってる事を書く。 仕事じゃなく、イチ女性としての雑感っす。 Twitterじゃ長くて途切れるんで。 ワシくらいの歳になると女性職人さんとてご結婚なされてて、お仕事は旦那さんととか、子供と二人三脚、なんて方ばかり。 現場で会ったとて、独身だと意外と会話のネタが無いのよ。 仕事で会う方々は大抵男性なもんで、

      • お前には優しさがない

        Twitterでは優しさに満ち満ち溢れている私ですが(異論は認める) 弟子の頃に親方にこう言われた事があります。 「お前には優しさがない」 何言ってんだ? そっちこそ優しさがないだろう⁈ そもそも優しくもされていないのに優しくしろなんて出来るわけないだろ⁉︎ と、当時の私は思っていた。 わからない事を聞いても無視され。 仕事すれば文句を言われ。 ちょっと冗談なぞ言えば怒られ。 他業種から転職した私は 「職人って心が狭い人達ばかりだな」と思っていた。 ただその心の狭さ

        • クロス屋さんの男の子の話

          今の仕事を受けているところは、他業種の職人さんをまとめている会社で。 監督さんが最近 「クロス業種の若い子が入社した」と前印象を話してくれてたのよね。 「所属のクロス屋さんと一日仕事をしてもらったんだけど、『あんなので大丈夫ですか?』って言われたんだよね。」 「そりゃまた随分だねぇ。」 「うん。○○さん病み上がりだから、あんまり動けないのもあるんだろうけど…」 何やら勝ち気な子だね、なんて話していて。 その後材料の運搬でその子と会った時の仕事ぶりを見て、なかなか卒のない子だ

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          元家具屋のおやっさんとかんな話

          店舗工事のおやっさんはとにかくマルチな方で。 デザイン科を卒業し、家具屋さんに丁稚入りした後に色んな職種を経て今に至る方だ。 ある日現場に置いてある私の鉋を見て 「おー!鉋持ってるの?見せて見せて!いやぁ鉋持ってる大工さんなんて久しぶりだよ!」 なんて事から鉋の話に。 正直私の鉋はまともな使い方をしておらず、見せるのも憚るような状態だが、それを一つひとつ説明してくれる。 「これはもう少し裏出ししなきゃね。刃の入りはきつめでいいね。でもこれなら硬木には使えないね。」 にこに

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          螺縁の夢

          螺 (ニシ) 動物。巻き貝で主としてアクキガイ科につけられた俗称 螺 (ツブ) 動物。ヒメエゾボラ,マルエゾボラの俗称 螺 (ニナ) 動物。比較的細長い貝に対する語 「ここのみんなは螺縁で繋がっているんですよ」 講師の女性は話す。 螺縁? 聞いた事のない言葉だと思った 「お互いを支えるではなく、その時に傍に居て…そしてまた離れる。その繰り返しだけど離れる訳じゃない。そんな繋がり」 そんなニュアンスの事を言った。 目が醒めて言葉を検索する。 やっぱり無い。螺とい

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          トミさんの思い出

          新築大工時代に、トミさんという左官職人さんがいまして。 どしんと恰幅の良い、一見すると強面(座頭市の某俳優によく似てる)なんだけど、常にひょうきんで周りを和ませてくれる方でした。 ある日現場に来て 「おはよー。おまえ、こうゆうの好きだろ?」 と買ってきてくれたのは「いちごミルク」 「オレも買っちゃった♪一緒に飲もうぜ。みんなにはあげないよ〜笑」 「おおこれ美味いな!もうちょっと飲みたくなるな、この中の空気でも良いやチュッチュしよー(紙パック)」 なんて事を強面でニコニコ話す

          トミさんの思い出

          床柱と年配大工と辞める若大工

          「昔は和室にびっちり1カ月掛けてやってたんだよ。今なんて全部作りものだけど、昔はぜーんぶ手でミゾ掘ってねぇ。 仏間だって農家の家はデカいんだよ。 天袋、仏壇、地袋の敷居鴨居全部掘って、そのあとに襖も大工で作ってさぁ。…」 年配大工さんの話は面白い。今となっては滅多に、いやほぼ手掛けられない和室の話は本当に貴重だ。 「あのぅ…曲がった床柱って、どうやって芯を出すんですか?」 年配大工さんと若大工さんの顔を見ながら聞いてみる。二人とも何故かニヤリ。 「あれはねぇ……」 「どうでも

          床柱と年配大工と辞める若大工

          ことといはし

          ビルに映る夕焼けの色に目移りしながら車を走らせて 信号を右に曲がると急に空が広がる 茜色に染まった雲を突き刺す棘にみえた こととい橋。言葉を問う。 柔らかな響きの橋と、空に向かう棘 アンバランスな組み合わせに東京を感じる この橋の往き交いにどれだけの言問が交わされたのだろう たくさんの最期の言葉を聞き受けて、橋は問うているのかもしれないな 佇むその棘に向かって、何処に行くの、と

          ことといはし

          心音(こころね)

          まだSNSが始まって間もない頃からこの言葉を使っている 正確には「しんおん」だけど、詩を書くときの語呂が良く、自分の中では「こころね」と思って書いていた 鼓動の音、行きている証、そこに在る意識 誰もが自分の心音を抱えて生きている そしてその音は触れ合わなければ聞こえない 肌を重ねた時に感じるその音は、自分と重なる事はなく、共鳴する たくさんの出会いの中で、自分と同じような心音を探して耳を傾ける 同じにはなれなくても、その音が心地いいと思える誰かを 今、側にいる人はど

          心音(こころね)

          いつものつぶやき

          一度手放したものと同じオーブンレンジを買った。 そうだな、スコーンにしよう。 はるかの皮を砂糖で煮詰めて細かく刻んで…ああウイスキーのつまみに買ったナッツも入れよう。生クリームもあったな。 レシピなんて覚えてないから、適当に作って… 焼き上がったスコーンは美味しいけれど、ホロホロ崩れやすく食べづらい でも美味しいからいいや。 手嶌葵なんて聞きながら、しんみりと暗くなる部屋の中でなんとなく思う 幸せだな。 ん… いや、今までもこうやって過ごせていたから、辛くは

          いつものつぶやき

          つたえたいこと

          言葉ってものは一番便利なツールだけど、あいまいさや、その時の気分によって沢山の色が付いてしまう その色がうまく表せなくて、沢山の本を読んで、文章の言葉をそのままを使う私は「ちょっと変わってる」という認識をされていて 「言語障害」なんて笑われて、悩んだ時もあった 本で見る言葉は綺麗で、主人公の切なさや喜びを静かに見守る 読みながら主人公になりつつも、ちょっと離れたところに私がいて、創作と現実を行ったり来たり。それが楽しくて まさに今で言う厨二病だけど 現実に戻ればいつも

          つたえたいこと