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ヘルスケア業界のITエンジニアとはどんな職種か

(1)ヘルスケア業界
就職活動のシーズンであるため、今回の就職活動に関する記事を描きます。
まず、私は最初に就職したのが誰もが知っている大手SIerのITエンジニアとして入社しました。そこで、病院向けの電子カルテの要件定義を主に担当しました。その後、何度か転職をして、医薬品の安全性管理のコンピュータシステム、医薬品の治験のためのコンピュータシステム、医薬品の研究のためのコンピュータシステムの開発、導入、維持管理(保守)を経験しました。そこで、今回は医療、医薬品、医療機器を含む広くヘルスケア(ライフサイエンス)業界のことを少しお話したいと思います。

(2)医療業界
医療業界は、病気やけがを治療し、人々の健康を維持するためのサービスを提供します。大きく病院、診療所、歯科診療所、薬局があります。そこで、医師、看護師、薬剤師、検査技師などの職種の方が働いています。よく病院と診療所(クリニック)の区別がつかない方がいますが、大きな差異としては病院には入院のためのベッドがありますが、診療所にはありません。
ITエンジニアの目線でこの業界を見ると、規制はありますが、製薬業界のような強い規制はありません。しかし、それ以上に業界の慣習が多く、それが参入障壁となっています。しかし、そこを越えて病院の中のコンピュータシステムの仕事ができれば、患者さんに貢献という他の業界では味わえないやりがいがあります。他の業界と比較すると、圧倒的に商売っ気のない社長が多いに思いました。HL7、SS-MIX2等学習しなければならないことは少なくないのですが、製薬業界に比べるとシンプルで学びやすいと思いました。

(3)製薬業界
製薬業界は、主に製薬企業が医薬品の研究、開発、製造、販売を行っています。製薬業界の場合、研究と開発が明確に分けられていて、担当する部署も異なることが多いです。
研究のITを担当すると、特許に関する規制が大切で、それ以上に化合物の管理、実験記録の管理はシンプルそうに見めて、とても難しいです。おそらく化学の素養がないと、プログラムの設計も手が出ないと思いました。
開発のITを担当すると、主に品質管理に関する規制が多く、文書管理、バリデーション、品質管理、逸脱管理、電子データ・電子署名の取り扱い、eCTD、CDISCなど覚えることも多いのですが、研究に比べるとまだとっつきやすいと感じています。
製造・販売後のITを担当すると、品質管理に関する規制は開発同様にあって、それ以上に有害事象の管理や規制当局への報告に関する業務知識が必要になってきます。また、日本特有の製造販売後調査という業務もあって、それらの業務知識も必要ですが、研究・開発に比べるとさらに参入はしやすい印象を持っています。さらに、製造管理、営業・マーケティング向けのコンピュータシステムも必要になってきます。

(4)医療機器業界
医療機器業界については、何年か前に薬事法が改正されて、薬機法になった時に、この法律の対象に医療機器が加えられたため、医薬品と同じような規制の適用を受けることになりました。私はこの業界の経験がないので、医療機器についてはこのくらいの知識しかありません。但し、この業界は世界的に競争力のある製品を持っている企業が多く有望な業界なのだろうなと思っています。

(5)まとめ
ITエンジニアの立場から見ると、この業界は規制や業界特有の習慣が多くまた、病院の教授など担当する方がアクの強い方く、これらがキャリアを通じて大きな障壁となりました。半分以上の方が自分から去っていきましたし、病院の教授などから出禁をくらって泣く泣く去っていく方もたくさんみてきました。しかし、一度それらを越えて、成果が出せるようになれば、参入障壁の高さからライバルがあまりいないので、安定的にキャリアを積むことができるのではないかと考えています。

ぜひ、ヘルスケア業界のITエンジニアを就職先の候補として考えて頂ければとおもっています。


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