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Introduction. 愛してくれると、信じたかった。




寂しかった。


女性用風俗を利用するのはこれで3回目。

3回目で、私は出会ってしまった。



初めて女性用風俗に足を踏み入れたのは、20歳くらいだったと思う。


まだ学芸員になる前で、近代西洋美術史を研究していた。

ろくに愛など知らないくせに、

愛を主題にした絵画を目の前にして途方に暮れていた。


好きな人が居たこともあるけれど、自分から告白する勇気はなかった。
告白されたこともあるけれど、その人を好きになれる自信もなかった。

そのくせ、人並に、男でも女でも、誰かに触れてほしい欲求があった。



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父親には別に家庭があった。



私より15歳年下の異母兄弟たちの存在も、最近になって知った。
父は隠し子の存在を最後まで隠したまま、母と離婚した。

父親の不倫と両親の離婚、いつの間にか他人になった父。ヘビースモーカーの父親が台所で母親を怒鳴りつけ、私は部屋の片隅で、実弟と身を寄せ合って耐えた。


子供の頃の、強烈に覚えている記憶だ。


別の家庭があると知ったとき、「捨てられた」と思ったが、それは違う。

もうずっと前から、父親の心の中で私は小さくなっていただけだ。

人は裏切るものであり、思い出も愛情も簡単に捨てるものだという単純な事実は、その後の私の人生をつけ回した。

父は私たち姉弟を釣りやキャンプに連れて行ってくれたし、運動会にも来てくれた。



でも、それとこれとは別なのだ。

恋愛となると、人間は本当に愚かになる。

私は知っていたはずだった。



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