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‘すぺしゃる’の向こう側 (19)ファンタスティック マジック

愛を探しに出た ぼくとりゅう。旅の向こうに もっと大切なものが あった。本当の幸せを手に入れる方法を 見つけた ぼくの冒険物語。

19)ファンタスティック マジック
森の中を歩いていると、「ごきげんよう!」と、変なかっこうのお兄さんが、近づいてきた。お兄さんは、四角い帽子をきて、金の長い変なジャケットを着て、変な長いステッキを持っていた。目は、大きくまんまるで、髪はボサボサ、変な長くて細いひげをはやしていた。
「君は、どこへ行くんだい?こんな森の中で。」
ぼくは、変な人だなとは思ったけれど、失礼かなと思って、
「こんにちは。どこに行くかわからないけど、とりあえず、歩いています。」
「どこに行くか、わからない?つまり、どこに行きたいか、わからないの?それとも、行きたいところがあるけれど、それが、どこにあるのか、わからないの?」
ぼくは、じっと考えて答えた。
「何をしたいかわかるけど、どこでできるか、わからないんです。」
「ほう、じゃあ、何がしたいんだい?」

「きらきらを集めたいんです。」
「きらきら?だれの?」
「うーーん、たくさんの人の?」
「どんなきらきら?」
「うーーーん、みんなが、わくわくして、目がきらきらするようなきらきらです。」
「ふーーむ。じゃあ、どんなことをして、みんなのきらきらをほしいんだい?」

そう聞かれて、ぼくは、答えられなかった。きらきらがほしいという気持ちは、いっぱいなんだけど、どうやっては、わからない。今までも、なんとなく、気が付いたら、きらきらを集めてきたから、改めて考えると、何がしたいかは、よくわからなかった。ぼくが、考え込んで、じっとしていると、お兄さんは、
「よろしい。私に、ついてきなさい。とっておきのきらきらを、教えてあげよう!」
にっこりと笑いながら、軽やかに、歩いていった。ぼくは、足早に、お兄さんに置いていかれないよう、歩いて、ついていった。

お兄さんは、森をでて、町はずれにある、小さいカフェに入っていった。そして、カフェの店主っぽい小太りのおじさんに、
「ごきげんよう!」
と言って、勝手に、二階への階段を、タンタンタンと、軽く、のぼっていって、ぼくに手招きをした。

二階は、小さい家になっていて、どうやら、お兄さんの家のようだった。お兄さんは、リビングの真ん中にあるテーブルにおいてあったカードをしゃかしゃかと混ぜて、ぼくの前に、一枚ずつ、置いた。(注1)
「5枚のカードがあるね。それぞれ、1から31までの数が、書いてあるね。君の誕生日が書いてあるカードは、どれ?」
「AとBとCとE」
ぼくは、カードをよく見て、答えた。
「そうか、君の誕生日は、23日だね。」
お兄さんは、即座に、答えた。
「え?なんで、わかるの?」

「ファンタ―スティックなマジックだからねーー。」

おにいさんは、ウインクした。
「じゃあ、お母さんの誕生日は?」
「AとC」
「5日だね。」

え? 

「お父さんは?」
「AとBとD」
「11日。」

「どうして?」
ぼくは、すごく驚いた。お兄さんは、
「ファー――ンタスティック マジック!」
と叫んで、壁のほうへ。

壁にかかっている時計をさして、
「好きな時間をえらんで。でも、ぼくに言っちゃいけないよーーー。」
ぼくは、4時に決めた。お兄さんは、続けて、
「決めたかな。そうしたら、ぼくが、時計の数字を、この長いステッキで、トントンするから、その数字から数え始めて、21になったカードが、君の選んだ時間にくるよ。さあ、数えてみよう。」
お兄さんは、長いステッキで、時間をとんとんしはじめた。
「9時、8時、7時、6時、5時、4時、3時、2時…。」
ぼくは、4時から、指をおって、21を数え始めた。ぼくの指が、21を数えたとき、おにいさんのステッキは、4時をさしていた。

「え?どうして?」

不思議で、不思議で、ぼくの目は、きらきらになってしまった。

おにいさんは、にやりと笑って、
「知りたいかい?それじゃあ、ぼくの助手をするかい?」
ぼくは、その日から、おにいさんの助手になった。

つづく…

(注1)参考資料:入江田翔太(2018)東大式 頭が良くなる算数マジック、幻冬舎(東京)⇒ 私は、これを買って、遊んで、感動しました!(笑)




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