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‘すぺしゃる’の向こう側 (1)


愛を探しに出た ぼくとりゅう。旅の向こうに もっと大切なものが あった。本当の幸せになるを手に入れる方法を 見つけた ぼくの冒険物語。

1)ママの「とくべつ」、ぼくの「とくべつ」
ぼくのママは、「とくべつ」が、好きだ。
「今日は、とくべつ。すっごくおいしいケーキを、買ってきたの。」
「今日は、とくべつだよ。となりのまちに、おもしろい公園をみつけたの。行ってみよう。」
「見て、見て。このおもちゃ、ママのとくべつ。のぞいてみて。すっごくきれいでしょう?」

ママの「とくべつ」ということばを聞くと、ぼくも、おにいちゃんも、おねえちゃんも、おとうとのたつやも、すごくわくわくする。ふつうの日が、突然、カラフルな虹色になったような気になるから。そして、ママが、「とくべつ」っていうものは、ほんとにすごくて、いつも、「わあぁ。」って、ドキドキするものばっかりだ。

ママの「とくべつ」の中で、今のところ、ぼくの一番は、すごい万華鏡のおもちゃ。まるいつつの先に、もう一つ、小さい円い筒が、横からついていて、その小さい筒を、くるくる動かすと、万華鏡のなかに、いろんな形と色が、くるくる、くるくる、きらきら、きらきら、かわっていって、きれいで、ぼくは、時間を忘れて、ずっと、「わあぁ。。。。」って、しあわせな気分になる。

でも、その「とくべつ」な万華鏡は、「とくべつ」なときにしか、見られない。ガラスでできていて、ぼくたち、子どもだけで見て、落とすと危ないのだそうだ。だから、宿題を終わらせた時とか、お手伝いをした時とか、がんばった時に、ママが、「とくべつ」に使わせてくれる。

ぼくは、本を読むのは好きだけど、算数のドリルと漢字の練習は、あまり好きじゃない。だから、ぼくは、「とくべつ」な万華鏡で、「とくべつ」に遊べるように、算数と漢字の宿題をするときには、「万華鏡!」、「万華鏡!」って思いながら、がんばる。。。時もある。

学校でも、ぼくには、「とくべつ」がある。それは、理科の実験の時。いつも、いつもじゃないけど、ときどき、先生が、「今日はすごいの、やってみよう!」って、実験をしてくれる。このまえは、先生が、キャベツから紫の水を作って、いろいろなものをいれた実験が、ぼくの「とくべつ」だった。レモンをいれたら、紫が、赤になった。粉せっけんをいれたら、靑緑になった。すごくきれいで、ふしぎだった。どうして、そうなるのかは、よくわからなかったけれど。先生は、「もっと、大きくなったら、どうしてかわかるよ。」って、言った。友だちが、「いつ?」って聞いたら、先生は、「そうだなあ。5年生か、6年生かな。」って言った。ぼくは、早く5年生になりたいなと思った。

もう一つ、ぼくが、学校での「とくべつ」って思うのは、図工の時間。絵を描いても、楽しい。色をぬっても、きれい。工作をしても、おもしろい。図工の時間は、なにをしても、いつも、わくわくする。終わったあと、「ああ、楽しかった。」って、思う。

こんなふうに、ぼくの毎日は、家でも、学校でも、ふつうのなかに、ときどき、「とくべつ」が、きらきら、ちりばめられた感じだ。ぼくのなかで、「とくべつ」なものは、ほんとに、「とくべつ」なんだ。

つづく…









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