見出し画像

便利と不便のはざま

最近、田舎に引っ越しました。結構、この町、気に入っております。田舎と言っても、オーストラリアの主要スーパー四社があり、ホームセンターや日常雑貨の大手もあり、日常のことは、すべて事足りる、とても便利な町。それなりに、グルテンフリーに気を遣ったカフェもいくつかあって、実は、大きな都市の普通のカフェよりおいしかったり、雑貨もおしゃれだったり。結構に、優秀な町なのです。

でも、そんなに便利なのに、唯一のショッピングセンターもある目抜き通り5,6ブロックと、その通りに十字に交わる通り4つ、5つのあたりに、お店がほぼ集結していて、とてもコンパクト。そうそう、言い忘れたけれど、農場の多い地域でもあるから、カーボーイっぽい服を売っているお店もあって、刺繍の入ったジーンズや、デザインいっぱいのブーツが、とにかくかわいい。ミーハーだと思われそうだから、まだ、勇気を出して、かわいいものを、そのお店では買っていませんが…。

そんなに便利なのに、町の目抜き通りも、その他の道も、渋滞はなく、がらがら。それに、車で5~10分も走れば、ただっぴろい野原や牛や馬のいる牧草地が広がり、遠くには青くかすむ山々。たいそう、きれいでございます。町の中に川も流れ、川の両脇は、緑がひろがり、遊歩道になっていて、そこには、おびただしい数の、体が真っ白で、頭に黄色いはねっ毛のある、かわいい大きい野良オウムのキバタンが、飛び回っており、楽園のような美しさ。前に、少し離れた原っぱに、夕方に行ったときには、野良カンガルーの団体に遭遇。自然が豊かなのです。今日も、季節外れの向日葵畑を発見。美しさにうっとりです。

そういう便利さと自然の美しさに、いたく感動し、町が気に入っている私なのですが…。

不便なこともあるのです。毎日の食材や文房具、日用品には、事欠かない環境ですが、もうちょっとひねった必要性のあるものを探すのは、なかなか大変。一番身近な例で言えば、厚紙。前の職場ではふんだんにコピー室にあった、色とりどりの厚紙。私の仕事の必需品。今の職場にはなく、買おうにも、文房具のある店や100均を探し回るも、ありません。前に住んでいた大都市では、文房具の全国チェーンのオフィスワークスと言うのが、そこら中にあって、文房具は何でもそこで調達していて、厚紙もありました。しかし、わが新しい田舎町にはない。最終的には、同僚が、見かねて、週末に、「一時間以上車で走らなくてはいけない中都市に行くから。」と、そこのオフィスワークスで、買ってきてくれました。そして、しばらくして、人に聞きまくって、町で一番大きなニュースエージェンシー(新聞とか文房具とか売っている店)でも、ちょっと割高だけど、売っていることが発覚。見つけるまでに使った時間と労力は、莫大なものでした。

また、もう一つ、大きな不便の種は、この町には、アジア食料品店がないこと。大手スーパー2社には、INTERNATIONAL SECTIONなる棚が存在し、日本、中国、インド、イギリス、メキシコなどなどの食材が売っており、キューピーマヨネーズも、やきのりも、わさびも、そばも、うどんも、レトルトの味噌汁も、カレールーも、なんだったら、最近は、米酢、すし酢、とんかつソースなども、ちょっと怪しげな、明らかに日本や中国からの輸入ではない商品ですが、あることはあるのです。この前は、田楽味噌のチューブがあって、感動しました。お稲荷さんのおあげさんだって、ちゃんと甘辛く煮たものが、パックして、売っています。そうそう、しょうゆや、とうふは、すでにオーストラリアでは市民権を得ていて、普通に、International sectionじゃないソース売り場や、ベジタリアンの食材の売り場に、売っています。

ただ… 詰めが甘いのです。すし酢は、なんだか、酸っぱい中に苦さがあって、甘さが足りません。砂糖を足して、煮詰めなおしましたが、苦みが残り、作ったすしのご飯も、パッサパサになりました。ねちねちの日本風のお米を使っているに、なんというか、照りが足りないのです。そして、お稲荷さんは、ご飯を詰めるために、指で、まんなかをあけようとすると、ぽろぽろと崩れてしまい、結局、千切りにして、おすしに、かんぴょう代わりにして、巻きました。秋になり、そろそろ涼しくなって、なべの季節がきつつあるのに、ポン酢は、スーパーにはありません。

コンピューター関係のものも、なかなか、必要なものが見つけられないのです…。私のプリンターのインクは、この町のどこにも、売っていません。私のiPadPro 11のカバーの角が割れたけれど、どこにも、ありません。両方、古い型のものはあるのですが…。

私が使っている自然化粧品も、プロバイオティックスも、売っていません。紅茶党の私が、愛飲している紅茶の専門チェーン店、2社ともありません。そして、私のサイズの女性用靴も、町の2つの靴屋さんにはありません。唯一、ダイエーやイーオンみたいなところの、安い靴屋さんには、子供と大人のはざまの私のサイズがありますが、スリッパやビーチサンダル以外は、あまりほしい靴はないのです。

そして、家具関係の大きなチェーン店も、文房具のチェーン店も、手芸雑貨のチェーン店もないですし、私のお気に入りの服のブランドたち(Uniqloも含め)もありません。IKEAも、Uniqloもない! なにより、ダイソーがないので、折り紙が買えません。

ダイソーは、日本国内もオーストラリア国内でも、ネット販売不可! これ、100ドル以上とか買ったら、ネット販売、絶対してほしい。マジックスポンジ、かわいいはし、おりがみ、水イオン洗剤、プラスチックの靴ケース、その他、いろいろ。ダイソー、ありがたし。声高らかに言う、

「ダイソーよ、ネット販売してほしい!」

オーストラリア中の大都市以外に住んでいる日本人、および、親日家で日本文化推奨派のオージー、そして、アジア系の、ダイソー愛好者、折り紙好きのアート大好きオージー、顧客の可能性は無限大です!ビバ ネット販売!!!だれか、ダイソーの社長に伝えて!

コホッ! 熱くなりすぎました… 

引っ越しの際、大きな本棚が、引っ越し過程で壊れたので、保険で、買いなおしを保証してくれることになっているので、私の住む町から、1時間ちょっとの中都市に、車で行って、家具のチェーン店に、品定めクエストに向かいました。でも、せっかくだから、私の町にないもので、必要なものを、一気にそろえてしまえと、がんばりました。

まずは、安めの家具チェーン店、手芸チェーン店、よくわからんアウトレットの店(なんと、あんまりオーストラリアではみかけないDKNYなど日本でおなじみのブランドが安く売っておりました~。これは、みっけもの)、そして、中都市で一番大きなショッピングセンターへも行きました。お気に入りの紅茶を買い、アジア食料品店で、存分に欲しい日本の食材を買い、靴屋とデパートで、私サイズの靴を買い(引っ越しを機に、古い運動靴などを処分したら、新しい町でずっと買えず、不便だったのです!)、フードコートで豚骨ラーメンと餃子を食べ、ぐるぐる、ぐるぐる、思う存分、ショッピングセンターを徘徊しました。

そして、かなり疲れているのに、そこから、真っ暗な闇夜に、1時間ちょっとかけて、車で、家路を急ぎました。まっすぐな、まっすぐな一本道です。迷いようがありません。道路の両側、全く、家はありません。闇の野原があるのみ。対向車も、10分か20分に1台か2台。後続車は、帰る工程で、たった2台現れ、それぞれ、途中で、右折していき、わが町まで帰ったのは、私一人でした。まっすぐな、真っ暗な道を、時速100㎞で、突っ走ります。外套はありません。でも、反射鏡が、ずっと道の両脇と、中央分離帯にあって、車が道をそれることはありません。途中、雨がざっと降ったときは、ちょっと泣きそうでしたが、ほぼ、全行程、ただただ、高速で走り切りました。

家に帰って、1時間のドライブで半解凍になってしまったサバやさんま、高菜やたくあん、お稲荷さんの皮を、急いで、冷凍庫、冷蔵庫に入れ、買ってきたお茶を淹れ、買った靴を眺める。至福の一時です。ショッピングセラピーです。

家具は、その場で買わずに、じっくり検討するために、写真を撮って帰ってきました。でも、翌日の朝、その安売り家具屋さん、昔は、組み立てて売ってくれていたのに、今は、全部、IKEA同様、自分で組み立てる形になっていることに、ネットで見て判明し、がっくり…。小さい本棚は、自分で組み立てたことはあるけれど、今回は、高さ180㎝の本棚。難易度がぐっとまします。そして、我が家にやってくるヤスデやくもが服の間に入れないように、きちんと引き出しがしまるたんすも購入しようと思っていたのに、タンスも、自分で組み立てるタイプって…。自分で作ったら、きっと、引き出しがうまく収まらないさぁ…。なので、家具探しは、ふりだしにもどる…。この町をよく知っていて、家の改装とかをよくする友人に相談すると、中古家具のお店に行ったら、もう組み立ててあるのがあるんじゃないとのこと…。こんどはは、私の住む、この町で、家具クエストです。

そして、来週は、車で2時間半の大都市に出向き、Uniqlo, IKEA, Daiso, プロバイオテック、化粧品、そして、日本人の美容院のクエストがあります。ダイソー以外は、ネットでも買えるのですが、服はサイズや形が合うかどうかのチェックが必要だし、プロバイオティックは要冷蔵でネットショッピングに不向き(日本の冷蔵宅配、バンザイだわ!)、化粧品もネットで買うほどじゃなくて1つだけ買いたいし、髪は自分の頭を持っていかない限り、切ってもらうのは無理。

今まで、ずっと大都市に長く住んでいて、「これを買うのは、ここ。あれを買うのは、あそこ。」と、何も考えずに、買い物に出かけていたことを、いまさら気付いて、愕然としました。すべてが、10分から遠くて30分以内で、そろっていたのです。歩くように、息をするように、逆上がりができるようになるように、クロールが泳げるようになるように… 自動化していた私の買い物生活。でも、新しい町では、たった一つのものを買うだけでも、どこにあるか探して、町になければ、1時間も2時間半もかかるところまで行って、やっと探せて…その労力たるや…。全く新しい経験、例えば、「芝刈り機を買って芝を刈る」もあり、私の新しい町での日々は、エネルギー消費量が半端ないのです。

でも、でも、とりあえず、住む家はあるのです。ソファもソファベッドも私のお気に入りなのです。(ベッドのマットレスは、引っ越し前に、捨ててしまうかと思っていたけど、捨てなくて、正解!新しいベッドを、気に入ったものを探そうとすると、また、一苦労!)カーペットクリーニングも終え、もうちょっとしたら、家具をそれぞれの部屋に入れます。そうしたら、きっと、リビングもすっきりします。そして、今日も、自然は、ただただ、美しいのです。

今はまだ、エネルギー消費量が過ごすぎて、この不便さを、Enjoyするところまでは達していません。でも、この町の日常の便利さと自然の美しさ、時折経験する、微妙に、欲している物が売っていない不便さを、天秤にかけたら、私は、断然、そこそこ便利な日常と自然の美しさを選択します。そして、たぶん、ほぼ一通り、不便を解決する方法がそれぞれ見いだせれば、こんどは、また、オートマティックに、エネルギーを大量消費せずに、買いたいものが買えるようになるのでしょう。

忙しい時、大変な時は、今、いっときだけ、エネルギー過剰消費になっているだけ。徐々に、自分の経験値があがることで、状況は刻々と変わっていきます。あわてふためいて、状況にのみこまれないよう、息を整えて、じっくりと、クエストを楽しみながら、経験値をあげていきたいものです。そうしているうちに、今、不便と感じていることが、難なく息をするように解決できるようになり、不便が消えてなくなってしまうことでしょう。便利も、不便も、結局、私自身がどう感じるかで、作りだしたまぼろしの判断です。

みなさんは、新しい環境で、不便を感じたことはありますか。そして、不便が、NOT不便になる経験をしてきましたか。

画像1

追伸:奮発して、「金曜日の靴」を買いました。レインボーカラーに、ころっとしたフォルム。刺繍糸も、赤、黄色、緑。 一目ぼれして、中都市の靴屋さんで、買ってしまいました。これから、毎週、金曜日には、この靴をはいて、「明日は、週末!」という気分を盛り上げて、楽しく仕事に臨もうと、気持ちのアンカー(ある気持ちに持っていく道具)として、使用することにしました。お気に入りの靴を履いたら、やっぱり、ワクワクするじゃないですか!




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?