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落語は この仕事の流儀に通じる

この社会情勢でしばらく日常が止まっていましたが、対策しつつ、また着物で落語の楽しみが戻りつつあります。

座布団の上で、扇子と手ぬぐいだけで表現する

落語は大道具や小道具を使ったり、動き回ったりすることはありません。基本的には座布団の範囲内で、扇子と手ぬぐいだけで、おかみさんや子どもになったり、走ったり食べたりの表現をしてしまいます。ただ一人で座ってしゃべるだけで、何でもできて、何にでもなれるのです。

そのシンプルさがかえって、私たち聞き手に見えていないものを脳内で補完させ、想像力を膨らませます。そぎ落とし、研ぎ澄まされた表現により、聞き手の頭の中に世界を作り上げていく、ここに共感し、感動するのです。

落語も研修も、心が動いてこそ

私の研修では、操作をお伝えするだけではありません。受講者様が操作方法を知るだけなら参考書などで自習するので十分だからです。実務の中での流れや場面を具体的にイメージして、どのような状況で困ったことが起こるのか、どうすれば対処できるのか、またはどんなことができれば解決するのかを一緒に考えていきます。

そうしてその場面での解決策の一つとしての方法をお伝えしたとき、より深く印象に残り、理解が進むと考えます。「なるほど!」と膝を打ち、心が動いて腑に落ちてこそ力になるのではないでしょうか。

研修会場では落語家さんよりは広い場所を動けますし、ネットや動画でお伝えする場合はまた違った表現も可能ですが、どの方法でも、受講者様の頭に豊かな世界を作り上げてお伝えできるよう、表現力も磨いていきたいと常に考えています。

落語家さんと聞き手、そして講師である私と受講者様の間に作られる世界には通じるものがあると感じます。そこが落語に引き込まれる一番の理由です。

ひそかな楽しみ

研修中に「失礼します」と言って上着を脱がせていただくことがありますが、この瞬間、羽織を脱いで本題に入る落語家さんと重ね、ひそかに噺家の気分を味わっていたりします。というのはここだけの話です。



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