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高松章浩シェフの生き方

ー食にたずさわる人の生き方に触れることで、再び、自分や他者、世界の広がりを感じるー【インタビューマガジン・Rinfinity】
初回の2023年3月は、名古屋市新栄のレストランa.ligne(アリーニュ)・高松章浩シェフにお話をお伺いしました。

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めぐり逢いがつくるレストラン a.ligne(アリーニュ)
店名a.ligne・・・それは私の名前(a)と点(.)の線(ligne)での繋がりを表しています。
『私と点(仲間や生産者さん、お客様)が線で繋がる』
『私達が点(夢や目標、着地点)へ一直線に向かって進む』という思いを込めています。
これまでとこれから
そのめぐり逢いが作り上げるレストラン
人とのめぐり逢い、食材とのめぐり逢い
これまでの沢山のめぐり逢いが今を創ってくれました。
これからもめぐり逢いとともに成長していきたいと思っています。

(a.ligne HPより)

仲間想いの学生時代

―高松シェフはどんな幼少・学生時代を過ごされたのでしょうか?

「京都生まれ・京都育ちです。
保育園の頃は、自分と仲良しの子が嫌がらせを受けてる姿を見たら、『相手のことをやっつけてやる!』みたいな気持ちで喧嘩したりしていた記憶があって、正義感が強かったのかもしれないですね。
小学3年生くらいまでは明るくて、クラスのムードメーカーみたいな感じでした。
そこから中学生の頃は特に目立つような感じではなかったんですけど、高校では部活のラグビーに熱中していました。
ラグビー経験のない人ばかりが集まる部だったんですけど、監督がすごい人で、全員素人だけど、強くなっていってました。
それで、3年になったときに、すごくうまかった同級生の一人が『辞める』って言いだして、それがすごく悲しかったんですよね。
『辞めないでくれよ』って泣きながらチームメイトと訴えたら、思いとどまってくれて、最後の大会まで一緒にやれたっていう思い出があります。
大学では勉強に集中するために、『ラグビーの部活には入らないでおこう』と思ってたんですけど、たまたま体育の授業がラグビーで『楽しいな』と感じて、迷った挙句にまたやることにしました。
結局やり始めると真剣になっちゃうので、大学時代もラグビーを頑張ってましたね。」

大学時代の飲食店バイトで「料理の楽しさ・うれしさ」を知る

―料理の道へ進むきっかけは何だったのでしょうか?

「初めてアルバイトしたのが、バーミヤンっていう中華料理のお店でした。
バーミヤンって、ソースの分量とか、作る工程の自由度が高いんですよ。
だから、『店舗によって味が全然違う』って言われてるんです。
そこでやってる中で、お客さんに『美味しい』って言ってもらったことがあって。
それがめちゃくちゃうれしくて、『料理作るのって楽しいな』と思うようになりました。
そこから『大学のバイトは全部飲食業にしよう』と思って、カフェ・イタリアン・お寿司屋さんでも働いたりしました。
その中で、一緒に働いたある方の料理をしている姿がすごく堂々としていて、料理のことを熱く語ってくれたんですね。
それで、『料理って、かっこいいな』と思いました。
だから、大学は土木専攻だったんですけど、卒業するころには全然興味がなくなってて(笑)、『料理しよう』と思って、料理の道へ進みました。」

妥協せず、自分のやりたいことをやるという未来

27歳のとき、かねてから決心していた「フランスに行く」という夢を実現し、帰国後は京都・大阪で経験を積み、2018年5月にオーナーシェフとして「a.ligne(アリーニュ)」をオープンされました。
現在は、同店舗2階にてアシェットデセール・ワインバーの「&a.(アンドエー)」も展開されています。
前を向いて歩まれる高松シェフに「未来」ついてもお伺いしました。

―今後の展望はありますか?

「なんか、未来を想像してみたときに、僕が悩みなく楽々やっている絵は思い浮かばないんですよね(笑)
あえてしんどい道を選んで、ずっとやっているんじゃないかな、という予感がします。
でも、それを楽しんでいると思いますね。
しんどいことがあったとしても、自分がやりたいことを楽しんでやっているというか。
今やっていることは、未来もやっている気がします。
成長はしているんだろうけど、そこでまた何か自分のやりたい新しいことを見つけて、妥協せずにやり続けているんじゃないかな、と思っています。」

楽な仕事はないのかもしれませんが、レストラン・飲食業という決して楽ではない業界において、「妥協せずに、やりたいことを楽しむ」という言葉が高松シェフらしく感じました。
色々なことを語ってくださった高松シェフですが、過去のこと・出会った人や言われた言葉などを鮮明に記憶されている印象があったので、それがご自身にとってどのような意味を持っているのか、最後にお伺いしました。

経験によって増やせる選択肢の中から、どの道を選ぶかを常に探す

―高松シェフにとって、「経験」とはどんなもの、どこに繋がっているものだと思いますか?

「やっぱり、経験値があることによって選択肢が増えるんじゃないかな、と思います。
経験のない中で、こうしようとか、これできるとかっていう考えにはならないと思いますし。
『経験していなかったら1択しか思いつかないけど、経験があれば4択から選べる』みたいなね。
それは料理にも通じてると思いますね。
経験があるからこそ、調理法とかプロセスの選択肢を増やすことができて、選択肢がない中で無理やりやってもいいものはできないんじゃないかな、と思います。
経験がないところに踏み込んで成功することもあるだろうけど、確率的には低かったり、時間がかかったりとか。
『目的に向かってどういう道で行こうか』を考えるのが、『料理の醍醐味』でもあると思いますね。
『基本はあるけれど、こういう道で行ってみよう』っていう選択は、自分の経験があるからできることだし、それが『料理が楽しい』と思うところでもあります。
料理に絶対はないから、自分の選択肢の中で、最終的に美味しく・綺麗にできる道を常に探しています。」

高松シェフ、ありがとうございました!


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