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利用者の主訴に同意するな!

何故牛なのかは、後半で。

福祉現場で大切なこと
それは

同意と共感を使い分けること

人が生きている以上、感情や気分の浮き沈みがあるのは、当然。それは障害をもつ人も同じ。

障害をもつ人は、みんなココロが綺麗で、夢に向かってキラキラしながら、純粋に生きているといったステレオタイプの情報で、こうデザインをされていることも少なくない。

確かに1人の人間として「すげーな」と感心させられることもある。でも実際の現場は、利用者の負の感情に触れることもよくある。

「おどりゃー、うるせんじゃ!ぼけっ!殴るぞこら!」と叫ぶAさん。
こう言われたのは同じ施設利用者のBさん。
特にうるさい訳でもなく、ただ側を通っただけ。
Aさんの叫ぶ声を聞いたスタッフ。フォローの声かけをしました。


「もう。別にうるさくないでしょ。あなたが嫌いなだけでしょ。どちらかと言うとあなたの声がうるさいよ。殴ってもなにも変わらないけど、殴りたければ、どうぞ」

これが同意。
利用者の主訴を聞いただけで、思いを分かったように振る舞い、主訴に同意する審判的態度。


「どうしたの?話聞きましょうか?調子悪いの?そっかー。あるある。とりあえず、自分の部屋戻ってみようか。そっか。嫌か。じゃ、深呼吸してみようか。」

これが共感。
利用者の主訴から、考えられる思いの根っこを探して、共感する。対処が必要な場合は、複数提示して、一緒にやってみる。

これがやれると、やれないとでは、支援の質や濃さに圧倒的な差が出る。

わかったつもりが一番やばい。
利用者の行動や主訴に対して「もう!」と言い始めたら、更にやばい。

ちなみに
15年ほど前、事業所で外部講師を招き研修をしたのだが、最後の質疑応答で私が講師に
「もう!と言う癖を直したいのですがどうすれば良いですか?」の答えが「懐刀を多く持ちなさい」であった。

なるほど。
引き出しが多ければ、「もう!」は減らすことができるのかとふに落ちたのだ。

「じゃ、みなさんの前で宣言してもらいましょう」
「えっ?何をですか?」
「私は牛になりませんって」
「牛?」
「もう!って言わないこと」
「なるほど。私はこれから牛になりません!」

と施設長ほか、スタッフ20名近くいるなか、宣言させられたことが今も響いている。

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