「言葉」に向き合うことは「自分」に向き合うことだと気づいた、人生28年目のある日。
わたしは悩んでいた。
社会人になってもう6年目。自分の好きな「本」にかかわる仕事ができていて、とても恵まれていると思う。
けれどすっかり日々の仕事にも慣れ、「予想の付く毎日」を送っている自分に物足りなさを正直、感じていた。
わたしはもっと、自分の好きな「言葉」「コンテンツの力」に向き合ったほうがいいんじゃないか。そこから何か見えるものがあるんじゃないか。
そんな漠然とした課題意識を持つ中で、阿部広太郎さん主催の「言葉の企画」という講座の存在を知り、参加を決めた。
「言葉」の力を磨いて、人に伝わる「企て」とは何かを考えていく。
考えてみれば「本」そのものも「言葉の企画」だし、本のPRや書店向けの販促を考えるのも「企画」だ。
自分の仕事は本来わくわくするはずの「企て」で満ちているのに、いつのまにか「業務」になってしまっていた。そんな自分の意識を変えるための半年間が、新緑の季節に、始まった。
◎自分をさらけだすことの怖さ
言葉の企画の第1回の事前課題として、「自己紹介」スライドをつくるという課題が出た。
条件は、「伝える」ではなく「伝わる」こと。
ーー自己紹介って、こんなに難しかったっけ?
勤務先や出身大学などの肩書きで判断されたくないな。
自分の好きなものを書くのがいいのかな。
言葉の企画なんだから、ビジュアル勝負だと意味がないんだろうか。
自分の思っていることをまじめに書いたほうが伝わるのかな……
考えだしたら止まらない。結局、とくにデザインにもこだわらず、わたしの悪いところがにじみ出たような、地味でまじめな自己紹介が出来上がってしまった。
阿部さんからいただいたフィードバックは、「書きたいことが多すぎる。もう少し余白と想像を信じていい」。
ず、図星~~~~。
情報を書きすぎるのは、不安のあらわれ。
多分わたしは、自分で自分のことがよくわかっていないから、むやみに言葉を重ねてしまうんだろう。
どうしてそんなに自己紹介でつまづくのか。
それはわたしが「自己を開示して人から評価をもらう」ことを、無意識に怖がってきたからだと思う。
だから言葉の企画に参加して、自分のアウトプットが大勢の人たちに見られることになるなんて、正直めちゃくちゃ怖い。
なんて内向的な人間なんだろうと、自分でもほとほと呆れている。
でもこの半年間で、少しでも自分を、自分の言葉を、企画を自分の外に出していきたいと思った。
自分をさらけ出すことはきっとずっと怖いけれど、なるべくたくさんの学びと自信を、自分の力として貯めていけたら。
◎伝えたい相手の気持ちに、徹底的になりきる
言葉の企画に参加しているメンバーは、71人。
講師の阿部さんを加えて、72人。
自分の勤務先の社員数よりも多い人数。高校のクラスメイトの倍くらい。
1人10秒だけ自己紹介しても、12分かかる(長い)。
事前に全員の自己紹介と企画書を読むだけで、最低でも5、6時間はかかったと思う。
一通り読み終わったあと、わたしはようやく気付く。
「長々と言葉を重ねただけでは、そもそも印象に残らない」
独りよがりな内容は、結局相手の心に響かない。
最悪の場合、ぱっと見の印象で読んでもらえないことだってありうる。
よくよく考えれば当たり前のことなのに、本当の意味で読み手、受け手の身になって自己紹介や企画書をつくることができなかった。
わたしは頭でだけ考えてわかった気になることがよくあるのだけれど、講座内で提示された「Less is more」という言葉がこんなにも腑に落ちたことは、今までなかった。
これだけでこの日、参加した意味があると思った。
◎思考の解像度を上げるための、言葉の訓練
最後に、印象的だと思った阿部さんの言葉を、ひとつ。
「素敵禁止」。
個人的に使いがちな言葉ランキングトップ5には間違いなく入る、素敵という言葉。とりあえず言っておけば、ポジティブな感じは伝わるよねという、取り急ぎの言葉。
阿部さんは、素敵という言葉を使うのはいついかなるときでもダメだ、と言っているわけではない。「なんとなくで伝えない」「自分の思ったことを適当にまとめない」ということだと思う。
なんとなくで伝えてしまうと、相手に受け取り方をゆだねすぎてしまう。自分の本当に言いたいことは伝わっていないかもしれない。
自分の思考をふんわりとまとめてしまうと、自分の価値観もふんわりしてくる。結局、何がしたいのか、何を考えているのか、何を大事にしているのかが、わからなくなる。
自分がなにをしたいのかわからない人間の言葉を、人は、信じようと思うだろうか?
「言葉に執着心を持つ」ことを意識する。
そして自分の思考の解像度をあげていこうと心に決めた。
◎伝わっていますか?
5月24日23時現在、ほかのメンバーのnoteはまだほとんど読んでいない。
影響されてしまって、自分の言葉じゃなくなるのが怖いからだ。
このnoteは、いまの自分にできる最大限の言葉を紡いだつもりだけれど、本当に伝わっているだろうか。
まわりからの評価を怖がり過ぎないことから、始めてみたい。
メンバーのみなさまへ。
伝わった、と思ったら、スキを押していただけると嬉しいです。
わたしはいまから、みなさんのnoteを見にいきますね。とてもドキドキします。
noteを読んでくれているみなさまへ。
おもしろかったとか、何か発見があったとか、わたしも同じだよ!とか思うことがあったら、スキを押していただけると嬉しいです。
#言葉の企画 マガジンもぜひ読んでみてください。言葉と企画に本気の人たちが書いたnote、おもしろいに決まっているので。
冒頭の「新緑」にかけて、さわやかな風の比喩で締めようかと思ったけれど、それにしては暑すぎる今日だった。
むしろ「熱気」で満ちているのかもしれない。
自分への挑戦が、誰かにも共感してもらえたらいいな。
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