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旅にまつわる音楽を聞きながら、記事をお楽しみ下さい♪

スペインの夜は、日本よりもだいぶ長い。
それは、ティーンエイジャーや学生のみではなく、働く人々にとっても、だ。

全員集合!同窓会ディナー

「Rina!いよいよ今夜は、マドリードのみんなで全員集合するよ!みんな早く、Rinaに会いたいって」
半年前に、ドイツ語の語学研修で知り合ったマドリード出身のスペイン人は、弟ハビだけでなく、他に4人もいた。全員ハビ同様、家族のように仲良くなった。

「そうなの?日本出国前はみんなともコンタクトを取ってたんだけど、こっちに来てからは全く携帯のチェックすらできてなかったんだよね。さすがハビ、本当にありがとう!」
「当たり前じゃん!今夜20時に、スペイン料理店に集合だよ。さっ準備しよう!」

昼の顔から夜の顔へ

夜にファッションや髪型を変えるのは、欧米ではよくあることだ。
「昼の顔」と「夜の顔」の変化を楽しむことも、ドイツ語語学研修で彼らから相当学ばせてもらった。


メイクと髪型に変化を加えたら、ハビや彼のお母様、お父様は絶賛してくれた。
「なんて可愛いの!Rina、撮影しなきゃ」
ベッドルームでの撮影は、みゆの助言通り、ゴヤの「着衣のマハ」気分で楽しめた。
そんなハビもベストの着こなしがとてもお洒落で、私達はモデル気分でスペインの中心部へと繰り出した。

ハビと、もうすぐ始まるウィーンでの留学生活のことなどをワイワイ話していると、懐かしい叫び声が聞こえた。
「Rina〜!」
「日本のお人形さん!」
「リナ・コラーダ!」
全て、ドイツ語の語学研修でついたニックネームだった。

新たについた、ユニークなニックネーム

彼らが想像する「日本のお人形」に私が似ていたのかはよく分からないが、バービー人形の日本人バージョンのようだと言って来た子もいた。

また語学研修中、彼らに勧められて大好きになったカクテルが、ラムベースに、パイナップルジュースとココナッツミルクを混ぜて作られる「ピニャ・コラーダ」だった。
彼らは、
「Rinaとピニャ・コラーダの組み合わせは、完璧そのものだよ!」
と絶賛し、新しいニックネーム「リナ・コラーダ」まで作られてしまった。

感動の再会に思い出話

私は4人の家族に半年分、熱く抱きしめられた。
頼りになる兄と姉、やんちゃな同志、可愛い弟2号、みんな半年前から少し大人っぽさが増した気がするが、心はあの頃と同じ、愉快、同時に温かいもので溢れていた。
「Rina、本当に会いたかった……僕達全員で集まるのも、実は半年ぶりなんだ」
「Rinaのおかげで今日、私達も全員集合できたのよ!ハビ、予約までありがとう」
「任せてよ、みんな。さ、”ボルツマンガッセ”テーブルに座ろう」
「ボルツマンガッセ」は、私達がドイツ語語学研修の時に滞在していた寮がある、道の名前だった。

「研修最終日の前日、“ボルツマンガッセ〜“て歌ったのが、昨日のことみたいだよ」
「本当……サッカーの応援歌みたいに、みんなで地下のパーティールームで歌ったよね」
「半分位は、歌っていうより叫んでたけどな」
「写真、見ようよ。うわっ、すごい顔……!」
夏の語学研修の思い出話は、昨日のように鮮明に思い出せた。

「そういえばRina、ドイツ語B1(初中級)レベルが受かったなんて、大躍進じゃない!ついにウィーンでの生活が、本格的に始まるのね」
「絶対奇跡だよ。夏は赤ちゃんレベル(A1-2=入門レベル)だったの、覚えてるでしょ?」
「うん。宿題、手伝ったの懐かしいな。で、途中で僕らがパーティーに誘って君が最後まで宿題が出来なかったり」
「やる気はあるのに、昼寝してたり」
「もう、恥ずかしいなぁ」
「それが、半年でB1!君はすごい!」
「僕らの誇りさ」
「おめでとう、Rina!」
サッカーの英雄を称えるかのような歓声で、彼らは乾杯をして私をお祝いしてくれた。

この熱さと温かさがこもったスペインの家族といることが、研修中も大好きだった。
語学研修の思い出話や、それぞれの新生活の話に花を咲かせながら食べた、とてもボーリューミーなパエリア、そしてトルティーヤ(スペイン風オムレツ)は、生涯忘れられないだろう。
あっという間に時間は経ち、時計を見ると22時を過ぎていた。

「22時」の捉え方

「最高の時間だったよ、みんな。今日は本当にありがとう!」
「……“だった“?Rina、ウィーンの語学研修の頃を忘れたの?」
「スペインの夜はウィーンよりも更に長いんだよ!」
「これからが本番さ!」
「え……ええ〜?!」
「まずは、僕とハビが最近特にお気に入りのバーに行こう」
「Rinaが来ること、もうバーテンに伝えてるもんね!」

そういえば語学研修時代、22時は2軒目に移る時間だったことを思い出した。
2軒目で彼らとテキーラを飲むと、私の体温は一気に、5度位上がったような気がした。

次々にそれぞれの家族の友人達もバーにやって来た。友人達にも
「君が噂のリナ・コラーダだね!」
と喜ばれ、私達グループの人数はどんどん膨らんで行った。

「誰が誰か、分からなくなってきた〜!」
「いいんだよ。Rinaがいてくれてるだけで、僕らはみんなハッピーなんだ」
「そうだよ。マドリードに来てくれて、本当にありがとう、Rina」
ウインクをしながら、こんなジーンと来るセリフが言えるのも、さすがラテン人だ。

午前0時……

あっという間に日は変わっていた。
夜中、さすがに解散かと思いきや、極めつけはマドリードで人気のクラブだった。
9cm以上のヒールで彼らと踊っていると、足は大きな悲鳴をあげたが、後日、たくさんの写真で見る私は、大好きな家族をはじめ、たくさんの魅力的なスペイン人に囲まれ、笑顔が弾けていた。

朝、私はスリに擦られることもなく、怪我をすることもなく、無事ハビの家で目覚めていた。長い夜の間、語学研修時代の家族や彼らの友達が、ドイツ語の語学研修時代と同じように、終始見守ってくれていたという。
少々(だいぶ?)クレイジーながらも、賢く、そして温かさで溢れた彼らが今も大好きだ。

スペインならではの、長い夜

「夜更かしなんて所詮、若者がすることでしょう」
とんでもない。
バーにもクラブにも、現役で楽しそうに飲み明かし、踊り明かすシニア世代もたくさんいた。
せっかくの、スペインの夜。
せめて一夜でも、人生の思い出にどの世代の方も、このスペインの愉快な「長い夜」を体感して頂きたい。
その日はしんどくても、それは後々、一生の思い出になるだろう。

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