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ビジネス書のような小説📖『ランチのアッコちゃん』 柚木麻子 著📖

今回は、柚木麻子 著『ランチのアッコちゃん』の読書感想記事です。


●あらすじ

彼氏に振られて自信をなくしてしまい、食欲をもなくしてしまう派遣社員の20代の美智子。そんな美智子を見た上司の黒川敦子部長(通称アッコちゃん)に来週1週間のランチをお互いに取り替えっこしようと持ちかけられるというお話と他3編のお話です。



●第一話 ランチのアッコちゃん

自分に自信を持てない美智子がキャリアウーマンのアッコちゃんから半ば強引に、1週間だけお互いのランチを交換する事を持ちかけられます。「No」とは言えなかった美智子は流されるがまま、作ってきたお弁当とを交換からランチ代と地図を渡されて毎回違う場所に行ってランチをとります。
そこで兼ねてからアッコちゃんと交流のある知人たちから仕事以外でのアッコちゃんの魅力を知る美智子。次はどんなランチなのかワクワクするようになる美智子は、ある問題に取り組んだ事で出たひらめきによって自信と食欲を取り戻していくお話です。


●第二話 夜食のアッコちゃん

次の派遣先で人間関係に悩む美智子。そこへ飲食のワゴン販売業を起業したアッコちゃんと再会する。アッコちゃんの情熱に惚れた美智子は彼女の元で働きたいと言うが、まずは研修として1週間のワゴン販売を行う事になる。そのワゴン販売の時間帯はなんと夜中だった。


●第三話 夜の大捜査先生

90年代後半の輝かしい女子高校生時代を謳歌しきった。あの頃の自分はどこに行ったのだろうとかつての自分を彷徨いながら合コンに明け暮れる日々を送る野百合。合コンの帰り道、女子高生時代に度々飛行に走ろうとする野百合を追いかけ回していた恩師の前園先生(通称ゾノセン)と出会う。今も現役で生徒を追いかけるゾノセンから、その生徒を野百合も一緒に探して欲しいと頼まれる。


●第四話 ゆとりのビアガーデン

社内から派生したベンチャー業の社長を任された雅之。なかなか業績が上がらない事に焦りを感じていた彼は、社内で「使えない」社員と評していた玲実の存在にイライラしていた。そんな彼女は入社して3ヶ月で退職してしまうのだが、なんとその1年後に社内ビルの屋上にビアガーデンを開業して戻ってくる。あっけらかんな玲実に雅之は認めようとはしなかったが、いわゆる『ゆとり世代』の玲実なりに考えた働き方を知るうちに、雅之は社長としてのあり方や社員とのコミュニケーションとはなんなのか気づいていく。


●最後に

まずアッコちゃん素敵✨ちょっと強引でもこうして手を引っ張ってくれる人と出会うって本当に奇跡な事ですよね。一歩間違えればお節介またはパワハラ扱いさせる事案ですが、美智子にとってとても素敵な出会いでしたでしょうね。

また、タイトルにもある通り、この物語は小説でありながら、ビジネス書のような要素も含まれています。

第二話でアッコちゃんは飲食のワゴン販売の営業時間あえて夜中に選んでいます。これは需要を考えた結果なんですが、言われてみればそうだよなと気づいたお話でした。

第四話に登場する玲実もそうです。「使えない」社員と評価された彼女はその事を真正面から受け止めます。
彼女のすごいところは、社長に酷い事を言われたのにも関わらず、そんな客観的に見つめ、それでも自分にもできる事がないかと考えに考え抜いた結果がビアガーデンの開業でした。

どんな事も冷静に分析して行動に移す、そして過去を引きづらない玲実はとても魅力的な女性です。

そんな彼女と自身のビジョンを追求するアッコちゃん、そして最初は頼りなかったけど段々成長していく美智子にとても勇気づけられました。


仕事を頑張る人への『ビタミン小説』と銘打っているのも納得のお話です。


私にとってもメンター的存在な本のひとつになりました。

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