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スタバでソイラテを頼むと思い出す素敵な上司の話

わたしはかつて、残業が月100時間を超える超ブラックな職場で仕事をしていたことがある。
それだけでも心が折れそうなのに、直属の上司と馬が合わず毎日意見が対立したり(建設的な議論は大歓迎なのだがそうではなかった)、挙句の果てにパワハラまがいのことをされたりしていた。

あのときは体も心もズタボロ、毎日明け方に家に帰ると、寝る間も惜しんで泣いていた。(今思うとあの頃は本当にどうかしてた)

当時、この状況をよく別の上司(Aさんとしますね)に相談していた。
Aさんは本当に話を聞くのが上手な方で、相談なのか愚痴なのかよくわからなくなっているわたしの話を、いつも「うん、うん」と聞いてくれていた。
それだけで嬉しかったし、「いざとなったら話を聞いてくれる人がいる」というだけでかなり救われていた。

Aさんは、昼休みに時々ランチに連れて行ってくれた。
誘ってくれるときはたいてい、仕事でトラブったり、直属の上司からキツく当たられたりしたあと。

ランチを食べたあとはいつもスタバに寄り、コーヒーやフラペチーノを買ってくれた。Aさんはいつも決まって、ホットのソイラテ。
天気が良いと、外のベンチに座って飲みながらたわいもないおしゃべりをして、また仕事に戻っていた。

このAさんとのランチのおかげで、満身創痍となりながらも、なんとか、なんとか仕事を続けることができた。

だが、ついに限界を迎えてしまった。

わたしは異動希望を出し、地方で働くことになった。

異動の1週間ほど前、Aさんにランチに誘われた。
ランチを食べながらたわいもない話をして、帰りにスタバに寄った。
わたしはアイスのスターバックスラテ、Aさんはホットのソイラテ。
買った飲み物をもって、職場に向かってゆっくり歩く。

するとAさんが、こんな言葉をかけてくれた。

「今までつらかったよね。よく頑張った。ここでずっと頑張ってきたことは俺が証明する。」
「新しい職場でも、きっとあなたを見守ってくれる人が現れるから、大丈夫。」
「これから先は、自分のしあわせのために暮らしてね。」

「ありがとうございます。頑張ります。」
わたしはこんな言葉しか返せなかった。
二人でゆっくり歩いて職場に戻った。
わたしは涙があふれそうだった。


あれから数年たった今でも、仕事でつらいことがあったときは、スタバでソイラテを頼んで、Aさんからもらった優しい言葉たちを思い出している。

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