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人の数だけある音楽、その人だけの映画音楽 ~ 1966年から1994年まで : いつか見た青い空・・イルカの日・・ブレードランナー・・ふたりのヴェロニカ・・ナイトヘッド等など

映画サントラ盤を買わなくなった原因

今でも映画音楽や劇中主題歌が大量に作曲されています。私の場合、まだVHSテープが主流だった1990年代前半までは音質の良いサントラCDを買っていましたが、その後はあまり買わなくなりました。
買わなくなった大きな原因として、90年代後半には映像と音質の良いDVDBDが市場を席巻して、アマゾンなどでも簡単にお手頃価格で手に入るようになり、今やネット配信でいつでも視聴できる状況になっているからだと思います。
そういうわけで、CD店舗に出かけて購入する必要も薄れていますし、そもそも、店舗自体が無くなるか、売り場面積を大幅縮小して品揃えも乏しくなっています。
1990年代半ばまでは、まだ、実物販売のCD店舗が個人経営も含め多く残っていました。ここ福岡市の中心部である天神にも、ジャンル別に3フロアに
分かれて輸入盤を多く扱っていたTOWER RECORDがあり、足しげく通ってはお目当てのサントラCDを探して買っていました。

(その店舗も今や10分の1に縮小・・・代りに増えたのは、トレンドショップや全国展開のチェーン店ばかり )

音楽の嗜好の違い、音楽の無限さ

音楽以上に個人の嗜好の差が大きいものは他にないと感じます。年齢層や時代の風潮によっても好まれる音楽の傾向はかなり違うと感じます。
また、言語に依る詩や小説、視覚に依る絵画などと違って、音楽は脳にインプットされる情報量が少ないようですが、想像力への働きかけは絶大ではないでしょうか。
音楽も含めてそもそも世界中から聞こえてくる「音」には、国・地域・民族・文化によって無限に分かれた音調・音階そして響き・調べがあると思われ、極論すれば、人の数だけ「音」は無限にある、と思うのです。

人の数だけ「音」がある、その人だけの「音」がある

「音」は無限にある、と考えると、共通言語や知覚認識のレベルを超えて、人の数だけの「音」があり、その人独自に好む「音」もあると思うのです。

そこで私だけの「好みの音」のひとつとして、どんな映画音楽CDを「好みの音」として買ってきたのか、過去30年以上にまで遡っていくつか列挙したいと思います。
ただ、あまりにも個人的な思い出で、あまりに独りよがりな嗜好に偏ったセレクションですので、多くの方々はご存じない、聴いても良いとは思えない
音楽ばかりかもしれませんが、一曲でも耳に残る音があれば幸いです。

それでは、公開年度の順に紹介します;


いつか見た青い空 a patch of blue 1966年 

作曲ジェリー・ゴールドスミス Jerry Goldsmith の、あまりに繊細で優しいピアノタッチが心に沁みます。

内容:盲目の白人女性と黒人男性の出会いと別れを丹念に描いた心温まるストーリー。10代の頃、淀川長治日曜洋画劇場で一度見ただけですが、
音楽が心に残り、ずっと後年になって、輸入盤を買いました 。

Youtube :映画の静止画の編集映像 1分半ほどhttps://www.youtube.com/watch?v=ddgF4sua7M8


真夜中のカウボーイ Midnight Cowboy 1969年

作曲ジョン・バリー John Barry の音楽。アルバム内にある fun city という曲は、夜の社交界のような華やかな雰囲気と背徳的な匂いを感じて印象に残ります。

内容:映画史に残る有名な映画。二人の男のコミカルかつ哀しい話です。

Youtube ; ジョン・バリー自身のオーケストラ演奏とイメージ動画、11万回再生、100以上の海外コメント、約4分
https://www.youtube.com/watch?v=DKiOn5drYRw



女王陛下の007 On Her Majesty's Secret Service 1969 

これもまた、ジョン・バリー John Barry の音楽。ルイ・アームストロングの歌う「愛はすべてを越えて : We have all the time in the world」が特に素晴らしく、随所でオーケストラでも美しく哀切感あふれる旋律が流れます。

内容:007シリーズの中でも、この作品だけは、結婚したヒロイン( 女優はダイアナ・リグ、ボンドガールの中では一番好きでした)が死ぬという結末で、際立った異色作でした。

Youtube : 映画のシーンの見事な編集で構成された動画、74万回視聴、600以上の海外コメント、約5分 
https://www.youtube.com/watch?v=YptQFiintYQ


恋のエチュード: Les Deux anglaises et le continent ( 二人のイギリス女性と大陸 ) 1971年

作曲ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue。古典的とも言える、典雅で気品あふれる劇中音楽です。

内容:一人のフランス男を、姉妹が好きになる話です。F・トリュフォー監督作品の中では、最も好きな映画です。

Youtube :フランス語版の予告編で2分ちょっとです。https://www.youtube.com/watch?v=zdl8lNFUCsA


イルカの日 The Day of the Dolphin 1973 

音楽は、ジョルジュ・ドルリュー Georges Delerue。テーマ曲は一度耳にしたら忘れられない、哀切感と郷愁にあふれた美しい旋律です。

内容:イルカを軍事目的に使おうとする映画らしいです。実は、私はこの映画を観たことはなく、ただただ、あの有名なテーマ曲のみを聴きたくて輸入盤を買いました。

Youtube :6万回視聴 約2分半。
https://www.youtube.com/watch?v=F9CChpp1YfE


カンバセーション The Conversation 1974年

デヴィッド・シャイア David Shire の音楽担当。劇中に流れる、サティ風の淡々として単調な音階の繰り返しのようなピアノ音が印象深いです。

内容:盗聴のプロの話ですが、現代社会の暗部を覗かされたような怖さがありました。

Youtube : 約3分半の編集動画
https://www.youtube.com/watch?v=Lp9JZSvOMcw


オーメン The Omen 1976年

ジェリー・ゴールドスミス Jerry Goldsmith の、悪魔ミサの呪いに満ちた音楽は、その年のアカデミー賞をもたらしました。

内容:悪魔の子がこの世に生まれ、ついには世界の支配者となってゆく姿を戦慄とともに描いています。

Youtube :
45万回視聴、700以上の海外コメント、スペインのテネリフェという観光地のオーケストラ・ライブ動画で約12分。やはり、こういう音楽は西洋人のお家芸だとつくづく実感させられます。

https://www.youtube.com/watch?v=nmOHzeTsBUM 

 

ディアハンター The Deer Hunter 1978年 

スタンリー・マイヤーズ Stanley Myers 作曲によるテーマ曲「カヴァティーナ」がとても有名で、いろんなメディアシーンで今でも使用されています。
ギターの繊細な音色が耳に残る、あまりにも美し過ぎる曲です。 

内容:ベトナム戦争が題材の、映画史に残る傑作です。

Youtube:3分ほどの編集映像です
https://www.youtube.com/watch?v=BM5Il-A6qEQ


ブレードランナー Blade Runner 1982年

ヴァンゲリス Vangelis の音楽は、シンセサイザーが基本の音作りなので、音色の無限に豊かな拡がりがあり、このような近未来SFにはピッタリです。
劇中に流れる音楽の一部は、彼のオリジナル・アルバムからの引用です。この映画の成功の50%は、彼のイマジネーションあふれる繊細で豊かな音楽のおかげです。

内容:一言ではまとめにくいです。公開当時は一般には受けなかったが、やがてカルトムービーとなり、いまや、近未来都市を描く際の原型であり、
偉大な手本となっている、映画史に残る名画です。

Youtube :
主な場面を音楽とともにうまく編集されている映像で3分半ほど、560万回視聴、1880以上の海外コメント
https://www.youtube.com/watch?v=ccJJ0uxigVA


ふたりのヴェロニカ La Double Vie de Véronique 1991年

ズビグニエフ・プレイスネル Zbigniew Preisner の音楽。重厚な宗教曲から旋律の美しい小曲まで、不思議な万華鏡のような映像に合わせてさまざまな音のタペストリーを披露してくれます。

内容:自分とそっくりの女性を目撃した若きヒロインの青春を一編の詩のごとく描いた傑作で、タルコフスキー亡きあと、私にとって最も印象深い映画となっています。

Youtube :
児童たちに人形芝居を見せるシーンで、音楽とともに際立って美しく印象に残る名場面です。3分ほどですのでぜひご視聴を!この映画の特質を実感できるはずです。126万回視聴!!

https://www.youtube.com/watch?v=TEVlDb43v-4

さて、海外映画はここまでです。

続いて、日本映画より、2本だけ挙げます;


紫式部 源氏物語 1987年 日本映画

細野晴臣の音楽担当。シンセサイザーと琴を巧みに使った、幽玄で神妙な音響空間が広がる不可思議音楽です。

余計な一言:
ちょっとパフォーマンス好きだったかな、の故坂本教授と比較すると、さらにもっと想像力と創造性がある「芸術家」は細野晴臣のほうであると、細野氏のユニークなコンセプト・アルバムを数多く聞いてきた私は思うのです。

内容:ニッポンで初めてのCGアニメという触れ込みで話題になり、当時の劇場公開で見ましたが、画面が暗すぎてどうもピンときませんでした。ただ、音楽だけが妙に残響音のように耳に残り、気になって、後年にCDを買いました。

( 今でも時折、車で流します。私にとっては、創作ヒントの源泉あるいは発火薬のような音です。)

タワーレコードの以下のサイトに入り、 下方にスクロールすると全曲の視聴画面になります

https://tower.jp/item/2479779/


ナイトヘッド:1994年 日本映画

超能力者という、人と違う宿命を背負った兄弟を、豊川悦司と武田真治のアンバランスな魅力を持った男優たちが演じているサイキック・ホラー物。ただ、それだけに終わらない奥深いテーマも潜んでいました。
兄の破壊的パワーの凄さを示すために、惨劇の後の光景を見せる演出の巧みさ、首だけが激しく震える異人たちの不気味さ。
とりわけ、得体の知れぬ何かを常に感じさせる不気味な音響効果および音楽担当は蓜島邦明。視覚、聴覚、そして心に直裁に迫る何かが、この映画にはありました。

以下の動画はわずか1分でかなり画質が悪いですが、エッセンスは伝えています。
https://www.youtube.com/watch?v=HnYRVZOfDKo


最後に

以上、CD盤を持っているものだけから選びました。他にもたくさんあるはずです。思い出の映画音楽といえば、個人差がとてもある選択になると思います。私の挙げた作品のどれかひとつでも共鳴される曲があれば幸いです・・。

追記 
以上に挙げた海外映画音楽の作曲家で、ジョン・バリーとジェリー・ゴールドスミスは、気に入った曲がとても多い二人です。サントラCDもけっこうな数を買いましたが、厳選すれば、上記に紹介した作品となります。

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